2012年9月6日 (木) 掲載

◎今夏の函館観光 震災前の水準に

 今夏の函館市内の主要観光施設には国内外から多くの観光客が訪れ、軒並み前年の入り込みを上回った。昨年は東日本大震災の影響で大幅に減少したが、観光、宿泊施設ともに2年前の水準に回復し、震災の影響から脱しつつある。関係者は「この調子を維持していきたい」と話し、秋の行楽シーズンにも期待を寄せている。

 主要観光施設では、函館山ロープウェイ(元町)と五稜郭タワー(五稜郭町)がともに前年を上回った。ロープウェイの利用者は、6月が9万6141人、7月が11万6725人、8月は18万5252人と推移。6、7月は2010年の同月を下回ったが、8月は約1万7300人上回った。「今年は夏休みに入ってからの利用が伸びた。国外は台湾からが好調だった」という。

 五稜郭タワーの8月の利用者は11万7223人で、10年の同月より約200人増加した。「まだ弱めの動きだが、震災前の水準に戻りつつある」と手応えを語る。9月以降について「豪華客船の入港が続くなど期待できる材料は多い」とする。

 一昨年の7月にオープンした箱館奉行所(五稜郭町)は、オープン効果が薄れ、昨年7〜8月に比べて2割ほど減少したものの、市外からの来館者数は好調だという。

 函館湯の川温泉旅館協同組合によると、湯の川温泉街の客足は平年並みに戻ってきているという。金道太朗理事長は「デフレや価格競争などで単価は下がっているが、観光客は戻ってきている。台湾の定期便が開設されるので、個人客の取り込みを図っていきたい」と話す。

 函館駅前の顔、朝市の売り上げも上向いている。函館朝市協同組合連合会は「例年はお盆過ぎには客が減るが、今年は駅前に人の動きがある」と話した。(松宮一郎、金子真人)



◎青函トンネルに送電線

 北海道電力が、青函トンネル内(全長53・85キロメートル)に新たな送電線の敷設を検討していることが5日、分かった。津軽海峡には本州の電力会社と電力を融通し合う既存の海底ケーブルがあるが、増設で電力のさらなる安定供給体制の構築を目指す考えだ。

 津軽海峡には現在、電源開発(東京)が所有する「北海道・本州間連係設備(北本連系)の海底ケーブルが3本あり、本州側と最大60万キロワットを送受電できる。北電などは電力の安定供給を目指し、送受電の上限を90万キロワットに高めることを決定しており、ケーブルを敷設しやすい青函トンネルが有力候補に挙がったと見られる。

 同社では複数案を検討中で、「青函トンネルは選択肢の一つ」としているが、同トンネルを活用すれば、工事費節約などの効果が見込めるほか、北本連系の災害発生時のリスク分散も図ることができるという。

 同社は、送電線の増設を2013年に着工し、20年の運用開始を目指しており、すでに関係自治体などには説明を始めているほか、運行面で支障がでないかを今後、JR北海道などと協議するという。

 東日本大震災後、北電は北本連系を通じて本州側に電力を送ったが、今年5月の泊原発停止後は本州側から供給を受けている。(松宮一郎)



◎被災地に絵本送り1万5000冊

 函館のボランティア団体「被災地の子どもたちに絵本を送ろう!」函館プロジェクト(森越智子、岸本和子共同代表)が東日本大震災の被災地支援を地道に続けている。昨春から東北3県に送った絵本、児童書は今年8月末で1万5000冊を超えた。今も配送希望者が相次いでおり、関係者は「いつまでも本を必要とする人の支えになりたい」と明るい声を出している。

 同プロジェクトは、函館の絵本作家森越さんと、絵本の読み聞かせ活動をしている岸本さんが「絵本を通じて生きる希望を持ってもらおう」と昨年4月に発足。寄付金などを活動費に、道内外から寄せられた絵本を各地の小学校、保育所など170カ所以上に送り続ける。

 昨年に続き、この夏も「ふくしまキッズ夏季林間学校」に参加した子どものためにと、臨時図書室を七飯町の流山温泉内に開設。自由に読んでもらうだけでなく、帰り際に絵本の配送希望者を募るチラシを手渡したところ、その保護者や周囲の子育て支援団体などから希望者が相次いだ。岸本さんは「絵本に親しむ子どもの姿が活動の励みになっている」と振り返る。

 今月5日は活動拠点の函館市地域交流まちづくりセンター(末広町)で、25人が400冊の配送準備に汗を流した。小学校低学年向けの本に人気が集まる半面、数多く残る高学年向けの児童書や、新たな送り先の開拓をどうするかなど課題は多いといい、岸本さんは「潜在的に絵本を読みたがっている子どもはたくさんいるはず。被災者に知り合いがいる函館市民も気軽に紹介してほしい」と話している。

 絵本の配送希望者は森越さん電話0138・32・6224。(長内 健)


◎ソラカラちゃん8日に来函

 日本航空(JAL)は8日、東京スカイツリーのロゴを描いた特別機「JAL×東京スカイツリージェット」を函館空港に運航させる。同ツリーの公式キャラクター「ソラカラちゃん」も“来函”し、市内各地でPRイベントを行う。

 同ジェットは375人乗りで、主に羽田と札幌、大阪、福岡、沖縄を結ぶ路線で運用しているが、函館空港で8日に行われるエアポートフェスタに合わせて、1日限りで運航する。

 「ソラカラちゃん」は同日午後2時45分に函館空港に到着。空港到着ロビーに移動し同3時5分までイベントを行う。五稜郭タワー展望台では午後4時半〜同50分、同タワーのキャラクター「GO太くん」も参加する。函館山山頂には午後6時〜同20分に登場。

 ソラカラちゃん、JAL客室乗務員と記念撮影ができるほか、オリジナルのうちわも配布する。(松宮一郎)