2012年9月8日 (土) 掲載

◎45・6メートル長〜い太巻き 谷川小全校児童が挑戦

 【北斗】谷川小学校(村国寿英校長、児童143人)は7日、北斗市産の食材を使用したロング太巻きづくりに挑戦した。1年生の教室からロビー、理科室まで並べたテーブルに全校児童が一列に並び、約2時間かけて、長さ45・6メートルの太巻きが完成。拍手と笑顔に包まれた。

 地域に理解を深めるふるさと教育や地産地消の一環としての取り組み。過去に約16メートルの太巻きを作った記録があるが、全校児童で作ったのは今回が初めて。市内久根別の飲食店「味処せき乃」を経営する関野則夫さん(63)が指導した。

 市の協力で酢飯に使った「ふっくりんこ」は40キロ、具材としてキュウリの提供も受けた。PTAの母親たち30人以上が参加し、前日から米研ぎなどの準備を進めてきた。

 太巻きの具材は、キュウリや卵焼き、かんぴょうなど。巻きすの代わりにクッキングシートを乗せたすだれを使用。関野さんの指示に従いながら、児童たちは横一列に並んで太巻きづくりを開始し、ご飯を載せたノリに具材を並べ、合図で一斉に巻き上げて完成。村国校長の発声で万歳をして、大記録達成を喜んだ。6年生の井平光紀君(12)は「巻くときが難しかったけれど楽しかった」と話していた。

 村国校長は「子どもたちが一つのことをみんなで成し遂げたことがなによりうれしい。市教委や保護者にも感謝申し上げたい」と話した。関野さんは「低学年の子もいる中で、みんなよく頑張った」とねぎらっていた。(今井正一)



◎南極観測船「しらせ」 10年ぶり函館入港

 海上自衛隊の南極観測船「しらせ」(1万2650トン)が7日、函館港港町埠頭(ふとう)に入港した。函館への寄港は10年ぶりで、岸壁で歓迎式典が行われたほか、寄贈された「南極の氷」が市役所に展示された。

 しらせは南極地域観測協力を行う国内唯一の「砕氷(さいひょう)艦」で、全長138メートル、幅28メートル。「宗谷」「ふじ」「初代しらせ」に続く4代目で、函館市制施行90周年を記念して市が誘致した。

 式典で片岡格副市長は「市民の関心も高く、待ち望んでいた」と歓迎し、「函館の魅力を十分に楽しみ、今後の航海への英気を養って」とあいさつ。ミスはこだての平井利沙さんから花束を受け取った松田弘毅艦長は「一般公開には将来を担う青少年に多く来てもらいたい」と述べた。

 また、松田艦長からはしらせで南極から持ち帰った20センチ角の氷(約5キロ)が贈られ、この日限り市役所1階の正面玄関に展示。来庁者らはじかに手で触ったり、氷に入った数万年前の気泡がはじける音を聞いたりと興味津々。市職員の女性は「かき氷にしたらおいしそう」と笑顔で話した。

 しらせは8、9の両日は午前9時〜午後2時(9日は午後3時まで)、係留中の港町埠頭で一般公開され、船内にも南極の氷が展示されるという。10日午前10時に鳥取県境港に向けて出港する。(森健太郎)



◎函館—小樽間事業形態 2030年めどに結論

 【札幌】北海道新幹線の札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される函館線函館—小樽間(253キロ)の事業形態を話し合う「北海道新幹線並行在来線対策協議会」(座長・高橋はるみ知事)が9日、道庁で開かれた。道は、札幌開業の5年前となる2030年度をめどに、鉄道存続やバス転換といった方向性を決定する考えを示し、渡島、後志のブロックに分けて今後検討を進めていくことを決めた。

 協議会には高橋知事と、渡島、後志管内沿線15自治体の首長らが出席。渡島からは中林重雄函館市副市長、高谷寿峰北斗市長、中宮安一七飯町長、佐藤克男森町長、川村茂鹿部町長、伊瀬司八雲町副町長、白井捷一長万部町長が参加した。

 高橋知事はあいさつで各自治体に対し、昨年末の経営分離同意への内諾に改めて謝辞を述べるとともに、「沿線住民の足の確保が肝要な課題。皆さんと知恵を出して解決していかなくてはならない。きょうは時間をかけて議論するスタート点になる」と述べた。

 協議会では並行在来線に対する国の支援制度をはじめ、先行他県の取り組み状況、鉄道やバスなど事業形態ごとの将来需要予測などを調査。第三セクターでの鉄路維持が決まった江差線五稜郭—木古内間での進め方を参考に協議する。

 その上で沿線を取り巻く環境の違いを考慮し、函館—長万部間(渡島)、長万部—小樽間(後志)でブロック会議を設置。結節点の長万部町は両方の会議に所属する。当面は担当課長による幹事会とブロック会議で協議し、開業5年前をめどに結論付けを目指す。

 協議会では白井長万部町長が「函館線は北海道開発とともに歩み歴史的意義は高い」として、新幹線と並行在来線の連携や、鉄路を活用した旅客運行の検討を求めた。

 一方、余市町の嶋保町長は、町内で鉄路存続を求める署名などを踏まえ「今までの活動と北海道の発展から最終的に判断したが、しっかりと鉄路存続を発言していく」と述べた。(千葉卓陽)


◎人工知能で小説創作 未来大の松原教授ら

 SF作家星新一さん(1926—97年)の得意ジャンル「ショートショート」(400字詰め原稿用紙20枚以内の短い小説)の作品を基に、同様の小説をコンピューターに創作させる研究が動き出す。人工知能(AI)研究の第一人者で、公立はこだて未来大(中島秀之学長)の松原仁教授(53)ら研究者6人が取り組む。感性をコンピューターに再現させる試みで、成果が注目される。

 ショートショートは、起承転結やオチがあるなど筋立てが分かりやすい上、1000作以上と作品数も多いことから対象に。政治情勢や流行などの要素も少なく、コンピューターには比較的扱いやすいという。

 5年以内に、コンピューターで作風を分析するとともに、新しいショートショートの創作法を見いだす。優れた作品を完成させ、文学賞にペンネームで応募したい考え。

 松原教授は「星さんの作品を参考にはするが、引っ張られず、星さんにはなかった個性を作り出し、そして超えたい」と意気込む。

 チェスや将棋で勝つなど人間の理性に関しては格段の進歩を遂げたAI。ただ、生まれつき人間が持つ感性が反映される小説は不得意とされ、「ショートショートを生み出せれば、コンピューターにも感性を扱えるという証拠になる」と松原教授。

 プロジェクトは松原教授が統括、同大の中島学長、角薫教授、迎山和司准教授のほか、名古屋大と法政大教授もメンバー。(山崎大和)


◎小中 いじめ24件 市教委報告

 函館市議会第3回定例会は7日から一般質問が始まり、6氏が登壇した。市教委は市立小中学校で昨年度認知したいじめが24件あったことを報告した。全国各地でいじめ問題が深刻化しているのを受け、山本真也教育長は「調査の数値のみに目を向けるのではなく、不安を抱えている子ども一人一人への対応が大切」と述べた。

 松宮健治氏(公明党)の質問に答えた。

 市教委によると、昨年度の認知件数は前年度比71件減。文科省がいじめの定義を「心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」と幅広くした2006年度以降で最少だった。

 いじめの内容は、からかいや悪口が小学8件、中学11件と最も多かった。次いで仲間外れと無視が同3件、同4件と目立った。このほかパソコンやメールなどを使った誹謗(ひぼう)中傷が中学校で2件あり、たたく、蹴るといった軽度な暴力は小中各1件認知された。深刻な暴力はなかったという。

 最少となった要因として市教委は、道教委が昨年度から年2回実施しているいじめの実態調査により面談の数が増え、いじめに発展する前に解決したケースが多かったためという。

 松宮氏は「いじめをなくすための教員の研修と、学校間での情報共有をしっかり取ってほしい」と述べ、山本教育長は「今後も生命の尊さや他者への思いやり、夢や希望を持って生きることの大切さを子どもたちが実感できるような教育活動を積み重ねていきたい」と答えた。

 このほか金沢浩幸氏(市政クラブ)、道畑克雄氏(民主・市民ネット)、工藤篤氏(市民クラブ)、本間勝美氏(共産党)、藤井辰吉氏(市政クラブ)が質問に立った。(後藤 真)