2013年10月11日 (金) 掲載

◎エゾシカ食害 桧山で増加 対策協議会 年明け立ち上げへ

 桧山管内でエゾシカによる農作物被害が年々増えている。昨年度は初の100万円台に上り、今後も増加する見通し。被害の拡大防止に向けて、桧山振興局は、来年早々にエゾシカ対策協議会を立ち上げる方針を固めた。現在、道内でエゾシカ対策の組織がないのは桧山管内のみだった。

 エゾシカの食害は、十勝、釧根などの道東に多く、道内全体での昨年度の被害額は約63億円。このうち渡島、桧山、後志管内では計6800万円だった。

 道内全体では昨年14万3000頭が捕獲され、推定の生息数は59万頭。桧山管内の生息数は本格的な調査が行われていないため不明だが、桧山振興局には管内のハンターから「(目視などで)確実に増えている感触がある」と情報が寄せられている。

 桧山の農作物被害は大豆や小豆、水稲で多く、せたなや乙部、上ノ国の3町で増加が目立つ。同振興局によると、管内のエゾシカは明治期に食用で捕獲され、ほぼ絶滅したが、強い繁殖力や他地域からの流入などで増えたとみられる。

 同振興局環境生活課によると、エゾシカの平均寿命は12歳で、雌は2歳から毎年出産を繰り返し生涯で10頭前後を産むという。好条件では5年間で倍に増える計算。「被害が目立つ各地ではササなどを食べて、一帯の自然環境を破壊している場所もある。桧山はまだ深刻ではないが、早いうちに対策を取ることが必要」(同課)。

 桧山のシカは草木が茂る場所に生息し、夏場は探し出すのが困難で、猟銃などの捕獲は冬場に限定されることが多い。

 シカの個体増加により、農作物被害のほか、道路への飛び出しで通行車両への衝突など交通事故の危険性も高まる。

 同振興局は、桧山エゾシカ対策協議会設置を、例年2月ごろのヒグマ対策協議会に合わせて準備したい考え。同課の坂村武課長は「初期段階では、管内のエゾシカの現状を伝え、まずは越冬場所などの把握や情報共有を進めたい。問題が深刻化する前に手を打ちたい」としている。(田中陽介)



◎立派なリーキできた 道南農試が研究 最終年度

 【北斗】道総研道南農試(北斗市本町)は10日、試験圃(ほ)でリーキ(西洋ネギ)の収穫を行った。研究は最終年度となり、土から重量感あるリーキが次々と顔を出した。

 道南で盛んな長ネギの技術を応用できる新作物として、同農試が2011年度から3カ年計画で研究。細淵幸雄、植野玲一郎両研究主任が中心となり、今年は約2eに約2000本を植えた。

 職員、パート約10人が分担し、手で丁寧に引き抜いた後、水洗いして汚れを落とす作業をした。食用となる根元の白い部分が20a、直径が4aほどあり、市場流通する輸入品と比べても遜色がないという。

 植野さんは「今年は病気が少なく収量も高いようだ。十分に太くて長いリーキがとれており、輸入品と対抗できる」と話す。

 煮込み料理などに使われる食材だが、国産はほとんど流通していない。道南で生産を拡大し、輸入品との置き換えを目指す。(山崎大和)

 



◎函教大の語学センターに日本語学習支援コーナー

 道教育大函館校マルチメディア国際語学センター内(八幡町1)に今月、日本語教育の書籍や教材をそろえた「多文化共生支援・こどもの日本語支援リソースコーナー」がオープンした。外国にルーツをもつ子どもたちへの支援として開設。スムーズに学校生活が送れるようにサポートする。

 子ども向けの絵本やひらがなことばカード、反対ことばカードなどを置き、日本語関連書籍約60冊を用意。「学校教育におけるJSLカリキュラム」に対応した国語、理科など各教科の授業作りの本や教科につなげる学習語彙(ごい)など教員向けの教材も充実させた。今後は利用者のニーズに合わせて書籍や教材を増やしていく。

 函館日本語教育研究会(JTS)会員で、同センターの伊藤美紀副センター長が、教材を自費で出して日本語を教えるボランティア会員の話を聞いたのをきっかけに開設。伊藤副センター長は「日本語ができない子どものための教材を揃える必要性を感じた。今後はホームページ上で書籍リストや本の内容などを紹介していきたい」と話す。

 開館時間は午前9時〜午後6時(月〜金曜日)。(平尾美陽子)


◎久根別小、上磯小の吹奏楽部を子ども観光大使に任命

 【北斗】12、13の両日、富山市で開かれる東日本学校吹奏楽大会に出場する久根別小と上磯小の両吹奏楽部に対し、市は10日、子ども観光大使に任命した。

 子ども観光大使は、市内の児童、生徒が大会や修学旅行で道外を訪問した際、市をPRする活動をする。本年度創設した制度で、認定は石別中3年生、谷川小6年生に続き3例目。「北斗市に恩返しがしたい」と両部が市に申し出た。

 総合文化センターで行われた認定式では、両部の役員児童合わせて7人が出席。高谷寿峰市長が久根別小の佐藤詩唯奈部長(6年)と上磯小の吉田悠人部長(同)にそれぞれ認定証を手渡し「市のPRに協力してくれてうれしい」と激励した。

 佐藤部長は「笑顔で頑張ります」、吉田部長は「感謝の気持ちを表しPRします」と決意を述べた。

 両部員とも13日の大会に出演した後、PR活動に取り組み、久根別小は午後2時に富山空港で、上磯小は午後6時半すぎ、東京タワーで、市の観光地をデザインしたティッシュペーパーを配る。(鈴木 潤)