2013年10月16日 (水) 掲載

◎函館商工会議所、松本会頭が2期目続投

 10月末で任期満了を迎える函館商工会議所の松本栄一会頭(73)が11月以降の2期目も続投することが固まった。15日に函館市内のホテルで開かれた常議員会で表明。29日に開かれる議員総会で正式に選任される。副会頭人事については、若手経営者を起用することで調整作業を進めている模様だ。

 常議員会は非公開で行われ、20人が出席。松本会頭は席上、次期会頭について続投の意向を表明すると、満場の拍手を浴びたという。ほかに候補擁立の動きがないことから、29日に開かれる議員総会では役員らの推薦を受ける形で会頭続投を受諾する。任期は2016年10月末まで。

 関係者によると、松本会頭は高齢を理由にぎりぎりまで後継候補の選定を行ったが、候補者に就任要請を固辞されたことや周辺の説得もあり、続投を決断したという。

 取材に対し、松本会頭は「思うようにいかないこともあったが、会議所の内部改革などには道筋をつけることができた。6年で考えていたことはだいたいできるのではないか」と語る。また、2年半を切った北海道新幹線新函館開業を見据え、「青森県の3都市(青森、弘前、八戸市)との連携を強化する。次は盛岡、仙台」と述べた。

 副会頭人事については、将来の会頭候補の育成を念頭に、複数の若手経営者に就任を打診しており、顔ぶれが変わることが予想されている。

 松本会頭はホンダカーズ南北海道会長。10年に会頭に就任した。「南進政策」を掲げ、函館企業の本州進出を後押しているほか、新幹線開業に向けた青函連携にも力を入れている。(松宮一郎)



◎相乗りタクシーで函館山へ、ロープウェイ点検で運休

 函館山ロープウェイが法定点検で運休するのに合わせ、函館観光コンシェルジュセンター(函館市東雲町、遠藤浩司社長)は、相乗りタクシーを運行する。マイカーが規制される期間の交通渋滞緩和を目的とした実験的なサービスだ。同社では「観光客に多くの選択肢を提供することも観光地としてのサービスのひとつ」と話している。

 函館山ロープウェイの点検期間は10月16〜29日の2週間。そのうち、最も交通渋滞が見込まれる18、19、25、26日の4日間については午後4時から同9時までマイカー規制を実施する。

 往復の相乗りタクシーを運行するのはこの4日間。時間は同4時15分〜同8時45分で、規制と同時間帯。山麓駅前に乗り場を設置し、利用者が4人となった時点で、山頂に向けて出発する。山頂で夜景を30分間楽しんでもらった後、山麓駅に向かう仕組み。

 今回はタクシー会社3社が協力。登録旅行業者の資格を持つ同社の旅行企画という位置付けで、料金は1人1200円(3歳未満は無料)。ロープウェイの往復普通運賃(1160円)とほぼ同額にした。同社の小林功事業部長は「バスの混雑が嫌で、普通のタクシーも高いと感じる人がターゲット。個人客が増加しており、一定のニーズはある」とみている。

 問い合わせは同社(電話0138・26・0300)へ。(松宮一郎)



◎練習船「銀河丸」寄港

 独立行政法人航海訓練所(横浜市)の練習船「銀河丸」(6100d)が15日、函館港に寄港した。今月4日から12月10日まで続く航海実習の最初の寄港地で、実習生146人を含めた約200人が19日まで西ふ頭に停泊する。

 同船は4日に神戸を出港し、函館を出た後は、新潟や別府、高松などを回り、12月10日に東京で実習を終える。高専の学生や清水海上技術短期大学校の学生が操船や船内保守などの技術を学んでいる。

 実習生で清水海技短大の池崎彰仁さん(19)、坂本湧貴さん(20)、蛯子貢平さん(20)、濱谷悠太さん(20)の4人は函館や北斗出身。8月下旬に同訓練所の大型帆船「日本丸」でも函館に寄港。今回が学生生活最後の乗船実習となる。

 坂本さんは来春からタンカー運航会社に就職が決まり「即戦力とはいかなくても、実習中に知識や技術面を鍛えたい」と話す。池崎さん、蛯子さん、濱谷さんもそれぞれフェリー会社への就職内定済み。蛯子さんは「船の仕事は技術職なので、就職に備えて基礎知識を身につけていきたい」と話していた。航海を終えた後は来年3月の国家試験に備える。(今井正一)


◎「冷凍」だったんそば始めます、七飯の「大中山ふでむら」

 【七飯】七飯町のそば店「大中山ふでむら」(筆村千恵子社長)は、冷凍だったんそばの開発に乗り出した。同店の人気商品のだったんそばを冷凍にして製品化。さらに町内の宅配事業者と連携し、家まで配達するという新サービスも展開する計画だ。筆村社長は「時間に余裕のない主婦にぴったり。そばによる新しい生活を提案していきたい」と意気込んでいる。

 同社のだったんそばは森町産。無添加で豊かな風味が特徴。2001年にメニューに加え、生そばの販売も行ってきたが、日持ちしないことが課題だった。そこで道立工業技術センター(函館市桔梗町)と共同研究を開始し、賞味期限を5日、2週間と延ばしてきた経緯がある。さらに販路を拡大させるため、冷凍めんの製造に取り組むことにした。

 風味が落ちないように、これまでのめんとは製法を変えるなど試行錯誤を繰り返している。今後、同センターと共同で保存試験、細菌検査を行うほか、日本食品分析センターにカロリーや糖質などの検査を依頼し、完成を目指す。

 天使大学(札幌)と同センターの研究で、ごはんや一般的なそばよりも血糖値の上昇を抑える効果があることも分かっている。筆村社長は「安全、安心で体に優しい食べ物としてアピールしていきたい」と話す。

 冷凍したそばは、つゆを加えて温めるだけ。手間も時間もかからないため、家事や介護などで忙しい主婦をターゲットに宅配も始める。味はうめおろし、カレーそば、かしわそばの3種類を用意。「家にいながら、時間をかけずに店の本格的な味を楽しんでもらる」と筆村社長。

 同店の計画は先月、中小企業庁の小規模事業者活性化補助金に採択された。来年3月までに宅配サービスの開始を予定している。

 冷凍することで賞味期限の問題もクリアし、土産品としても最適になった。筆村社長は「北海道新幹線開業を見据え、町の特産品としても売り出していきたい」としている。(松宮一郎)