2013年10月17日 (木) 掲載

◎新井満さん 市文学館に直筆原稿寄贈

 【七飯】ヒット曲「千の風になって」を訳詞した七飯町大沼在住の作家、新井満さん(67)が、2011年11月に出版した「希望の木」の直筆原稿を函館市文学館(末広町)に寄贈した。11月17日まで館内で展示している。

 希望の木は、同年3月の東日本大震災の津波被害に遭った約7万本の防潮林「高田松原」=岩手県陸前高田市=の中で、唯一生き残った「一本松」をつづった散文詩。

 松原を人間社会の家族や仲間としてとらえ、孤独に陥った一本松が、悲しみを乗り越えて、希望の木として生きる姿を物語にした。

 新井さんは常に4Bの鉛筆か筆ペンで原稿を執筆する。希望の木は大沼の自宅で創作し、400字詰め原稿用紙20枚につづった。

 文学館では、出版社に出稿した時の原稿がそのまま展示されている。一部、出版時と異なる言い回しや文章も見られ、直前まで加筆、訂正していたことがうかがえる。

 新井さんは「活字の文と生原稿の違いに着目しながら見てほしい」と話す。

 同館の藤井良江館長は「価値のある直筆原稿を寄贈していただきありがたい。大切に保管していくとともに、多くの市民に見ていただくよう呼び掛けたい」と話している。(鈴木 潤)



◎道学校給食調理コン 函館から野崎さんと向山さん出場へ

 学校給食従事者の魅力ある献立づくりや衛生管理、調理技術の向上につなげる北海道学校給食調理コンクールが18日に、札幌市内で初めて開かれる。函館市内から、千代田小学校栄養教諭の野崎茜さん(23)と桔梗中学校で調理員を務める向山由紀子さん(56)が出場。函館産のコンブや野菜を使用したメニューで挑戦する。

 道教委と北海道学校給食会の主催。書類による一次審査を通過した札幌や十勝地方の5組が出場する。

 コンクールで競う献立は、ご飯に合う地場産食材を使用し、給食として大量調理が可能なもので、児童、生徒への献立の狙いが明確に伝わるもの。1食あたりの単価が道内中学校の平均価格278円以内などの制限があり、調理時の衛生管理やチームワーク、試食によるおいしさなどが評価される。

 野崎さんらは主菜に北海道の郷土料理「石狩汁」、副菜に函館産の間引きコンブを使用した「昆布と大豆の甘辛煮」、七飯産のリンゴを添えるメニュー。ジャガイモやニンジンといった函館や近郊産の野菜をふんだんに使用している。  普段の大量調理とは違い、コンクールでは8人分を用意。2人は打ち合わせをして、役割分担や時間配分などを確認し、本番に備えている。

 野崎さんは「地場産食材の活用が広がっている函館の取り組みを知ってもらういい機会。他地域の取り組みも勉強して魅力ある給食を作っていきたい」と話した。向山さんは「普段と違い、人目のあるところでの調理なので緊張はしますが楽しんできたい。地場産のおいしさをアピールしてきます」と話していた。(今井正一)



◎職員給与削減を提案 函館市、市労連に6・5%

 函館市は16日、来年度の職員給与の6・5%独自削減案を函館市役所労働組合連合会(市労連、長谷川芳樹執行委員長)に提案した。

 市は2015年度に民間との整合性を持たせた新たな給与体系の導入を目指しており、今回の提案は新制度ができるまでの時限措置となる。

 このほか、50歳以上の職員が対象の勧奨退職制度を廃止し、国に合わせて45歳以上を対象とする早期退職制度を導入することや、来年1月から人事評価に基づく55歳以上の昇給抑制を提案。継続協議となっている、持ち家に対する住宅手当支給の廃止も改めて提案した。市は今回の見直し提案で、約9億9000万円の削減効果を見込む。

 長谷川委員長は取材に対し「消費増税や、国が今後示す地方財政計画などの動向を見ながら協議したい」と話している。

 今年1月の労使合意で、市は本年度の職員給与を平均6・5%削減したほか、退職手当を段階的に引き下げ、15年度以降15%削減。持ち家に対する住宅手当の支給額も月額7000円から5500円に減額している。(千葉卓陽)


◎山本教育長を再任 函館市教委

 函館市教育委員会(橋田恭一委員長、委員5人)の本年度第10回定例会が16日、市役所で開かれ、教育長に山本真也氏(58)を再任した。2期目で、任期は同日から4年間。

 山本氏は1954年名寄市生まれ。北大工学部卒業後の78年に函館市役所入りし、企画部次長、都市建設部長、交通局長(現・企業局交通部長)を歴任。11年5月、多賀谷智前教育長の任期を引き継ぎ、一般行政職出身者で初めて教育長に就任。1期目は函館アリーナや日吉多目的グラウンド(仮称)の建設、市立小・中学校の再編計画などを手掛けている。

 このほか、教育委員長に橋田氏(72)、委員長職務代理者に河村祥史氏(59)をそれぞれ再任した。橋田氏、河村氏の任期は1年間。(千葉卓陽)