2013年10月22日 (火) 掲載

◎松前病院 参与を創設…町長 条例改正案提出へ

 【松前】町立松前病院の設置者・町と管理者(院長)の対立が深まり、木村真司院長ら医師7人が相次いで辞表を提出していた問題で、町は25日に開かれる臨時会に、病院の人事面に関する管理者の権限を強化する内容の条例改正案を提出する。石山英雄町長は「病院を何としても守らなくてはいけない。(院長が)理想とする環境に近づけることで、(医師たちの)辞意撤回を願っている」と述べた。

 今回提案するのは「松前町病院事業職員の給与の種類及び基準に関する条例」の一部改正案。病院に「非常勤参与」を新たに置く内容。条例に関連した規定、内部基準では、「非常勤参与」は「副管理者」と規定し、院長の権限で採用が可能なほか、上限(50万円)以内で院長が報酬額を決定できるとしている。石山町長は「非常勤参与」について「管理者の補佐をしていただく立場」と説明する。

 同条例に関して、町は6月の定例会にも「経営アドバイザー」の新設などを含む一部改正案を提案したが、議会側が反発し否決。9月に「経営アドバイザー」などの項目を削除した改正案を修正可決した経緯がある。

 同病院の人事を巡っては、前事務局長らの再雇用問題で町と院長の溝が深まり、4月には採用に関する覚書を両者で締結していたが、内容が履行されていないなどとして、木村院長が9月下旬に辞職願を提出。その後、21日までに7人の医師が辞意を表明した。

 石山町長は「病院を守らなければならないということは町と議会側の共通認識。(議会側にも)理解していただけたと思う」と話す。これに対し、木村院長は「一度失われた信頼関係は取り戻すことが難しい」とした上で、「このような事態は予見できたはず。これまで町長部局や住民の代表である議会の協力や理解が得られなかったことは残念」と話す。



◎函館けいりん 最終日も熱いレース

 函館けいりんは21日、本年度の最終日を迎え、市営函館競輪場では1367人のファンが今年最後のレースを楽しんだ。

 4月16日の「第8回藤巻兄弟杯争奪戦」(FTナイター)で開幕し、計55日間開催。このうち51日間をナイターで実施した。

 最終戦は「スポーツニッポン杯争奪戦」(同)で、第11レースのS級決勝で、新田祐大選手(福島)が圧倒的な強さで優勝を決めた。

 この日の車券売上金額は約3億1322万円で、本年度の合計は約145億1531万円となり、当初予算の140億円を上回った。

 訪れていた市内の会社員(52)は「昨年のような大きなレース(高円宮記念杯)はなく、あっという間に終わった感じがする。来年はガールズ競輪の実施に期待している。競輪場がにぎわってほしい」と話していた。(山崎純一)



◎TFT—HAKODATE 来月から活動本格化

 世界的な食の不均衡問題の解消を目指した学生団体「TFT—HAKODATE」(矢田部創代表、23人)が11月から本格的な活動をスタートさせる。北大水産学部や道教育大函館校の学生がメンバーで、市内の米穀店の協力を得て、利益の一部をウガンダやエチオピアなどの給食事業支援に充てることなどを計画している。北大水産学部3年の矢田部代表(21)は「活動を広げるため、もっと多くの学生が参加してくれたらうれしい」としている。

 矢田部代表によると、世界では約10億人が飢餓に苦しむ一方、先進国を中心にほぼ同数の人々が食に起因する生活習慣病にかかっている現実があるという。  TFT—HAKODATEは今年7月に設立。12年に設立されたTFT—HOKKAIDO(札幌)に参加していた矢田部代表が「函館でも学生の力で活動したい」と公立はこだて未来大のドミニク・バゲンダ准教授(ウガンダ出身)らの協力を得て、趣旨に賛同する学生を集めた。副代表の道教育大函館校2年、岡崎航さん(19)は「自分が食べたメニューが誰かの命をつなぐことになるのは素敵なことだと思った」と参加の動機を語る。

 11月からは本格的な活動を開始。「ふっくりんこ」や「ゆめぴりか」など道産米を中心に扱うヤママル田中米穀店(亀田町7)と提携し、1カ月限定のTFTプログラム「RICE FOR TWO」をスタートさせる。客がコメ5`を購入するたびに、同店が利益の中から20円を寄付する。同店の田中ユサさん(52)は「学生が自分たちで考えて実行していることを応援できれば」と協力を決めた。

 矢田部代表は「さまざまなイベントに積極的に出展し、認知度を上げて活動への理解を得られるよう努力を続けたい」と意気込んでいる。ホームページはhttp://tft−hakodate.jimdo.com/ (森裕次郎)

 ◆TFT Table For Two(=2人の食卓)の略。日本発の社会貢献運動で、2007年にNPO法人TFTインターナショナル(東京)が設立された。取り組みの根幹となるTFTプログラムは先進国でヘルシーメニューを提供し、売り上げの一部(20円または数%)を寄付金としてウガンダやエチオピア、ケニアなど5カ国の学校給食事業の支援にあてるしくみで、食の不均衡問題を解決する1つの方法として提案している。


◎蒜沢川河畔 緑豊かに…NPO、七飯の園児と植樹

 函館のNPO法人「北の森と川・環境ネットワーク」(影山欣一代表理事)は21日、蒜沢川河畔林(函館市桔梗町)で植樹活動を行った。河畔林の再生を目指すプロジェクトの一環で、近くの認定こども園「どんぐり」(七飯町大川7、斎藤恵園長)の園児42人が一緒にクリなどの苗木を植えた。

 植樹は本年度で7回目。どんぐりを皮切りに、22日に函館三育小、25日に函館中の沢小の児童も参加する。

 同NPOによると、砂防工事に合わせて両岸に順次植樹。昨年度までに49樹種4800本を植え、本年度は21樹種266本を植える計画だ。地元の樹木から種を採取し、畑で苗高30a以上に育てるため、根が丈夫で活着率が95%超という。

 植樹場所は函館側の左岸で、クリ、キタコブシ、ヤマザクラ、サンショウの苗18本を用意。掘った穴に苗を入れ、子どもたちがショベルで丁寧に土をかぶせた。また、植えた木の周りに石を置いて保護した。

 中谷流唯ちゃん(5)は「植えるところが楽しかった。大きく育ってほしい」と笑顔。影山さん(70)は「初年度(2007年度)に植えた木々は既に森になっている。間伐もしながら、豊かな森を取り戻したい」と話していた。

 道と砂防工事計画について基本合意し、2004年にNPO認定を受けた。再生プロジェクトは18年度までの15カ年計画。(山崎大和)