2013年10月26日 (土) 掲載

◎松前病院 参与創設 条例案を可決 質疑なし、町民「納得できない」

 【松前】町議会第5回臨時会が25日開かれ、町立松前病院に管理者(院長)の権限で非常勤参与を置くことができる内容の条例改正案を原案通り可決した。町議会は今年6月、同様の内容を含む条例案を否決した経緯がある。同日は質疑が一切なく、傍聴した町民が閉会後に説明を求めるなどして声を荒らげ、議場内は騒然となった。

 同病院に関しては、運営をめぐって設置者(町)と管理者の間で対立が深まり、木村真司院長ら医師計7人が相次いで辞職願を提出している。同日は議案の提案説明を前に、石山英雄町長が発言し「このような事態を引き起こし、多くの皆様に多大な心配や不安を与え申し訳ない」と陳謝した。

 可決されたのは「松前町病院事業職員の給与の種類及び基準に関する条例」の一部改正案。主な改正は、病院に「非常勤参与」を新たに置く内容で、参与は「副管理者」と規定し、院長の権限で採用が可能なほか、50万円を上限とし報酬も決定できることなどを盛り込んだ。

 6月には、町が病院に「経営アドバイザー」を置く内容の条例改正案を提案したが、町議会が否決。9月には「経営アドバイザー」などの項目を削除する議員提案の修正案を可決していた。

 同日、条例改正案の審議では、議員からの質問や討論は全くなく、全会一致で可決した。傍聴に来ていた町民は閉会後、「今の審議では納得できない」などと述べ、町や議会に説明を求めた。(小杉貴洋)



◎チョウ「アサギマダラ」、横津岳から九州へ飛ぶ 1200キロ 函館工業高生物部と道南虫の会が発表

 長距離を移動するチョウとして知られるアサギマダラの移動調査を続けている函館工業高校生物部(山下寿春部長)と道南虫の会(対馬誠事務局長)は25日、8月に横津岳(七飯町)で印を付けて放した個体が今月20日に福岡県北九州市で確認されたと発表した。同部は「北海道から九州への南下を確認できたのは初めて。今後は移動経路についても調査したい」と意気込んでいる。

 同会によると、アサギマダラは大きさが10センチほどのチョウ。春に北上し、秋に南下する習性をもつ。北海道には毎年5月中旬ごろに飛来し、10月まで観察できるという。

 今回確認されたのは、同部前部長の木村航君(17)が8月11日に横津岳山頂で印を付けた個体。この日は計7人が47匹に「ハコダテ」とマーキング。そのうち木村君は10匹に「ハコダテ・WK10」などと記した。

 約70日後の今月20日、直線距離で約1235キロ離れた福岡県北九州市で印の付いたアサギマダラが見つかり、同22日に地元テレビ局を通じて同部に連絡が入った。木村君は「これ以上うれしいことはない。小さな昆虫がこんなに長距離を移動することに改めて驚いた」と喜びを語る。

 同会などが移動調査を始めた1999年以来、松前町から愛知県(2008年)、七飯町から山口県への南下(11年)が記録されているが、北海道から九州への移動が確認されたのは初めて。同部現部長の山下君(17)は「マーキングしたチョウが一匹でも多く、九州や沖縄で見つかることを期待したい」と話している。(森裕次郎)



◎シカ肉解体 プロの技学ぶ 調理製菓専門学校

 函館短大付設調理製菓専門学校(野又淳司校長)は25日、同校でエゾシカ枝肉の解体を行った。調理師科の学生26人が、普段あまり見る機会がない職人の包丁さばきにくぎ付けとなった。

 西洋ゼミの特別講座で、昨年に続いて2回目。枝肉は函館で捕獲した3歳の雄(半身)。わな師の渋田喜徳さん、シカ肉の卸・販売業の渋田孝さんが提供した。道南でもシカによる農業被害が増えており、被害を防ぐために食文化として根付かせることが課題だ。

 朝妻精肉店(千代台町)の朝妻豊史専務が、ヒレやロース、バラなど部位ごとに手際よく切り分け、学生たちは職人技を学んだ。

 その後、5班に分かれて肉をレアで焼き、市内のプロの料理人6人が提供したレシピに基づくたれ、ソースを付けて試食。高橋和也さん(19)は「包丁の持ち方、切り方とも見事というほかない。1回では覚えられません」と感心しきりだった。(山崎大和)


◎「もてなし」向上へ研さん 全道の観光ボランティア集結

 道内各地の観光ボランティアが一堂に会する「観光ホスピタリティ全道会議」が25日、函館市内のホテルで開幕した。全道各地から22団体約230人が参加。互いに交流を深めながら、地域のホスピタリティ(もてなしの心)や魅力の向上のための方策を探った。

 北海道観光ボランティア連絡協議会の主催。函館開催は9年ぶり2回目。

 弘前市で人気のまち歩き「弘前路地裏探偵団」のガイド役、西谷雷佐さんが「新幹線開業を契機としたホスピタリティの推進」と題し基調講演。「観光客が知りたいと思ったことを伝えるのがおもてなし。見せ方を工夫し、旅の記憶に残るようなガイドをすることを心掛けている」と述べた。

 函館の事例紹介もあり、函館国際観光コンベンション協会ホスピタリティ委員会の斉藤利仁委員長が、ハード、ソフト両面での取り組みを語った。

 講演終了後、参加者はバスで香雪園と五稜郭に移動。函館の観光ボランティアが案内して回るエクスカーション(体験型の小旅行)を行い、ガイド技術を披露した。26日は西部地区の散策ツアーを行う。(松宮一郎)