2013年10月6日 (日) 掲載

◎菜の花酵母で地酒づくり…函高専と小西酒造

 兵庫県伊丹市の酒造メーカー、小西酒造(小西新太郎社長)は、函館高専(岩熊敏夫校長)が作った菜の花を原料とした酵母を使い、函館産の日本酒づくりに着手する。今春から亀尾地区で生産した酒米「吟風(ぎんぷう)」を用いた地酒の生産に取り組んでおり、早ければ年内にも、菜の花酵母を使った地酒を販売する。

 同社などは亀尾地区の休耕田約8400平方メートルで、今年5月から吟風の栽培を開始。近く4トン弱を収穫し、純米吟醸酒1・8トンを生産する。1・6トン分は同社の自社酵母とかけ合わせて生産し、残り200キロは菜の花酵母を使い、年内から年明けをめどに約900本を販売する意向。

 菜の花酵母は同高専の小林淳哉教授の研究グループが、約3年間さまざまな植物で酵母を探し求めた中で菜の花に行き着いた。現段階では無償で酵母を提供することにしており、岩熊校長は「地域貢献ができればと取り組んできた。開発を進めてもらい、酵母をよりよいものに変えてほしい」と期待を寄せる。

 同社は1550(天文19)年創業の老舗で、国内最古の醸造元。北海道産を100%使った日本酒は初めてで、小西社長は「柔らかい感じの味に仕上がり、非常に期待が持てる」と手応え十分。「函館産の海産物は酒に合う。地元の人に愛され、土産に買ってもらえる地酒づくりにチャレンジしたい」と話している。

 小西社長らは9月30日に工藤寿樹市長とも会談し、「いい酒を作ってほしい。函館の酒とわかるようなネーミングを」と激励を受けた。関係者によると、12月か来年1月に試飲会を予定し「市民に発表する場を設けたい」としている。(千葉卓陽)



◎秋の函館山パチリ…花しるべな会・藤島斉さん撮影のコツ伝授

 函館山を歩きながら草花の写真を撮影する「フォト&ウオーク」(函館市写真歴史館)が5日、函館山旧登山道で開かれた。写真愛好家ら30人が参加。「函館山 花しるべな会」会長の藤島斉さんとともに、かわいらしい姿を見せる草花を探しながら、秋の函館山を満喫した。

 藤島さんは大阪在住のライターで、函館山の豊かな野草に魅せられ、植物写真を納めたエッセイ集「花しるべ」を出版するなど、函館に拠点を置いた活動をしている。同館で同日から写真展「函館山花しるべ」(11月3日まで)が始まったのに合わせて企画した。

 藤島さんは撮影のコツとして「角度を意識すると立体的に撮れる。(花に感動して)心が動いた時に撮るといい写真になる」などと話した。この時期の函館山には秋の麒麟草(アキノキリンソウ)、大文字草(ダイモンジソウ)、鳥兜(トリカブト)といった花が咲いている。藤島さんが名前の由来や特徴などを説明しながら散策し、参加者は撮影を楽しんでいた。

 参加した市内日吉町の浜野茂さん(69)は「藤島さんが講師ということもあって参加した。運動にもなるし、花の名前も覚えることができていいですね」と話していた。(今井正一)



◎若者の感性楽しんで…16日から函館で全道高等学校写真展

 第37回全道高等学校写真展・研究大会(道高文連主催)が16〜18日の3日間、市民会館で開かれる。16、17日の両日は同所で一般公開の写真展が開かれることになっており、主幹当番校を務める函館中部高校の荻津賢教諭は「若者の感性を見に来ていただけたらうれしい」としている。

 函館での開催は10年ぶり。全道11支部の112校から計365点が出品され、400人以上の高校生が参加する。道南支部からは遺愛女子高や七飯など9校の35点を出品する。9月の道南支部地区大会と併催された写真展には2日間で300人近くが観覧に訪れたといい、若者が撮影した作品に対する写真愛好家たちの関心も高い。

 16日は開会式の後、撮影会を実施。全道から集まった高校生が市内に飛び出し、限られた時間の中で被写体を見つけ、撮影する。17日は市民会館で支部ごとに出品された作品の講評を行い、午後からは写真家の野呂希一氏による講演会「写真で語る」を開催する。

 最終日は初日の撮影会で撮った作品の講評会を開き、写真についての理解を深める(講評、講演会は一般非公開)。

 一般公開の写真展は16、17日。両日とも午前10時から午後4時までで、入場無料。荻津教諭は「人間臭さや純粋さ、おもしろさなど若者ならではの独特な発想を見てほしい」と話している。(森裕次郎)


◎市民の力借りて古い建物再生…西部地区

 函館西部地区の古い建物の再生に取り組む市民団体「ハコダテ・プラス」(池井一季代表)は5日、元町の民家の補修作業に乗り出した。市民ボランティアの力を借り、壁をやすりで磨いたり、塗料を塗ったりして建物の再生≠目指す。

 ハコダテ・プラスは2009年の設立以来、1年に1軒のペースで古い建物の再生に取り組んでいる。5軒目となる今回は西部地区で数多くみられる上下和洋折衷様式の住宅で、五島軒本店の向かいにある築80年近い木造2階建ての民家を補修した。

 函館市の景観登録建築物に選ばれたが、壁の塗装がはげ、通りに面する玄関や窓の付近もすすけて汚れが目立つことから、所有者の許可を得て、作業を行うことにした。

 この日は未来大の学生や市民ボランティアら総勢12人が参加。池井代表の指示に従い、手際良く作業を進めていった。すすけた部分や汚れは丁寧にやすりをかけてぴかぴかに。窓の格子もはずして木材を保護する塗料を塗った。

 参加した未来大大学院1年の三浦寛也さん(22)は「古い建物を残そうという取り組みは面白いと思った。やすりがけをしていると、補修しているという実感が得られる」と感想を話した。池井代表は「作業は順調。塗料を塗れば、がらりと雰囲気が変わるはず」と語った。

 作業は6日も午前11時から午後4時まであり、引き続きボランティアを募集している。汚れてもいい服装で現地に集合する。(松宮一郎)