2013年11月1日 (金) 掲載

◎和光ビル 45年の歴史に幕

 「WAKOデパート」として市民に親しまれた和光ビル(函館市若松町)が31日、45年間の営業を終えて閉店した。午後7時に入り口のシャッターが閉まると、ビルの管理・運営会社の社員が深々と頭を下げ、地域に感謝の気持ちを伝えた。ビルは解体され、2016年には商業施設とマンションの複合ビルに生まれ変わる。

 同ビルは、1968(昭和43)年に完成。駅前、大門地区では棒二森屋と旧さいかデパートとともにそれぞれ特徴を打ち出し、人気を分け合ってきた。閉店の午後7時が近づくと、感極まって涙を流すテナントの関係者もいた。長く雑貨店を営んできた本間隆之さん(59)は「寂しい気持ちもあるが、移転場所でまた頑張りたい」と話した。

 これまでビルの管理運営を担い、再開発で事業実施主体となるNAアーバンデベロップメントの布村隆二社長は「前向きな閉店であり、新しいビルは今まで以上に市民が楽しめる施設になる。函館活性化の起爆剤にしたい」と力を込めた。

 年内は解体準備を行い、来年1月からビル本体の解体作業を行う。新ビルは10月をめどに着工する予定。(松宮一郎)



◎選手サポートに意欲…ハンド女子日本代表のチームドクター永澤さん

 函館五稜郭病院整形外科主任医長で、ハンドボール女子日本代表のチームドクターを務める永澤雷太さん(44)が、12月にセリビアで開かれる第21回女子世界選手権に帯同する。「リオ五輪(2016年)につながる大切な大会で、楽しみ」と選手のサポートに意欲を語る。

 永澤さんは肩関節外科、スポーツ外傷などが専門。東邦大付属東邦中学(千葉)、同高校時代にハンドボール選手として活躍。女子日本代表の栗山雅倫監督は永澤さんの中学、高校の2年後輩で、同監督の強い要請や、日本ハンドボール協会評議員で函大の松喜美夫監督のサポートなどもあり、12年10月にチームドクターに就任した。1年契約で現在は2年目。改行 11年12月、インドネシアで開かれた第14回女子アジア選手権に帯同。3位で今世界選手権出場が決まった。その後、国内合宿に合流してきたが、海外遠征はこの大会以来で、専門分野を問わず、選手の体調全般を管理する。

 今年9月、東京五輪開催が決定し、10月28日には、女子世界選手権(2年に1度開催)が19年に熊本で開催されることが決まった。永澤さんは「喜ばしいことだが、今の女子日本代表が目標としているのはリオ五輪」と話す。女子日本は1976年のモントリオール大会から五輪の舞台から遠ざかっているだけに、40年ぶりの出場を監督、選手、スタッフが目標に掲げている。永澤さんは「リオで好成績を残さないと、東京での活躍は見えてこない。そのために、五輪出場枠が懸かるなど、セルビアでの世界選手権は大切。これに向かう選手」と説く。

 競技経験もある医師として、函館のスポーツ選手に対し「ハンドボール、バスケットボールとも女子はひざの前十字靭帯(じんたい)を切る選手が多い。ケアも大切だが、予防に対する取り組みに対する考えが少ない。足の使い方、身のこなし方などをしっかりしてほしい」とアドバイスを送る。

 「学生は競技期間が短く、けがで動けなくなるのは悲しい。世界で戦う選手がけがをすることは自身、チームとってさらに大きな痛手。リオに向かう選手が常に100点の状態であるようにしっかり仕事をしたい」と力を込めた。(山崎純一)



◎函水高 優秀賞で全国へ…道高校水産クラブ研究発表大会

 【北斗】第34回北海道高等学校水産クラブ研究発表大会(北海道高校水産クラブ連盟主催)が10月30、31日の両日、市七重浜住民センターで開かれ、水産分野の課題に取り組む高校生たちが研究成果を発表した。審査の結果、函館水産高校水産食品科が優秀賞に輝き、12月の全国大会(高知県)に出場することが決まった。

 道大会には同高をはじめ、小樽水産高校、厚岸翔洋高校、天売高校から10チーム21人が出場。未利用資源の品種を使った新メニュー開発や環境問題、太陽光で温水をつくる研究などバラエティ豊かな発表が続いた。

 地元の函館水産高校からは4チームが出場。優秀賞に輝いた水産食品科は「函水CANバーガー〜缶詰再生プロジェクト2」と題し、昨年度から継続したプロジェクトを発表。主食と水産缶詰の相性が高く評価されているとの調査結果を受け、パンとサンマの照り焼きの缶詰を活用したハンバーガーを試作した研究成果を発表した。

 審査委員長を務めた道教育庁学校教育局の黒島裕司さんは「継続した取り組みで高校生らしい発想。栄養評価からのアプローチや原価計算もしっかりなされていた」と称えた。同科の海老沙由香さん(18)は「うれしすぎて心臓がバクバクした」と喜び、福田のぞみさん(18)は「北海道代表の自覚をもって発表に臨めるよう頑張りたい」と全国大会への決意を語った。

 また、当番校を務めた同高では新聞部(須藤彩部長、部員4人)も活躍。期間中に交歓会や各校の発表内容、大会結果などを部紙で計3回速報し、大会をサポートした。須藤部長は「印刷のために学校と会場を行き来するのが大変だった。短時間で発行するので誤字脱字がないよう注意した」と振り返った。(森裕次郎)


◎函館アリーナ建設へ準備進む…樹木伐採、花時計も解体

 2015年8月のオープンを予定する函館アリーナの建設に向け、湯川町1の建設予定地では花時計の解体や樹木の伐採、移設作業が行われている。  工事は10月15日から、市民体育館前の駐車場98台分を閉鎖して開始している。

 花時計は1970年の市民会館開館時に設置され、直径6・3b。毎年春から11月中旬まで運転し、今年も4月26日から稼働していたが、工事に伴い先月15日に運転を終えた。31日までに土台を崩したり、針などを取り外した。

 市教委は、花時計を寄贈した函館青年会議所などと協議して残す方針で、アリーナの正面玄関前に設置される予定。また、北洋漁業の先駆者として知られ、日魯漁業の創業者の一人だった平塚常次郎氏の銅像(高さ約3・5b)も、アリーナ前に設ける公園に移設する。

 約1200本ある樹木は800本を高松苗圃(高松町)に移設するほか、約50本は旧北高校跡に設置する日吉多目的グラウンド(仮称)の敷地内に移し替える。市教委は「生育数が少なかった樹木などを適正に残したい。伐採した木もアリーナ建築の部材に使うなどの再利用を進める」としている。 (千葉卓陽)