2013年11月12日 (火) 掲載

◎消費増税への対応焦点…函館市 予算編成が本格化

 函館市の来年度予算編成に向けた作業が本格化している。昨年まとめた「行財政改革プラン」では来年度から基金に頼らない財政運営を目標としている中、来春からの消費税率アップへの対応が焦点となっている。市は増税で歳出が増えると見込んでおり、今後の内部努力による対策と国の地方財政計画が鍵を握っている。

 予算編成作業は11月中旬から12月にかけて各部局が財務部に要求。同部の査定と来年1月末の市長査定を経て、2月上旬から中旬にかけて確定する流れ。市は2011年度から各部局に対し、歳出規模の膨張を防ぐ観点から備品購入費や旅費、公債費など経常的な経費の要求基準を、前年度から3割減らすよう要求している。来年度予算に向けてもこの方針を継続し、10月に各部局に説明している。

 一般会計の昨年度決算は交付税の伸びや人件費の縮減効果などで、基金の取り崩し額は当初予算で見込んだ20億円から13億円に圧縮。基金残高は本年度末で約17億円となる込みだが、「交付税が減額されればすぐになくなりかねない額」(同部)といい、資金不足の状況に変わりはない。

 市は10月下旬に開いた財政再建推進会議で来年度の財政見通しに関し、行革プランで18億3200万円と見込んだ財源不足額が、消費増税の影響で拡大する見通しと説明。プランそのものは消費増税を見込んでいないため、同部は「プラスアルファの対応が必要」との見解を示す。

 一方で増税をはじめ、円安に伴う物価や燃料費の上昇が続いているため、ゴミ袋や各種公共施設の利用料金といった使用料・手数料の値上げは「あまりに市民生活への影響が大きすぎる」(工藤寿樹市長)として見送る方向としている。

 同部によると、地方消費税交付金は税率引き上げによって30億円ほど増加する見通しだが、「収入が増える分75%は交付税で落とされてしまい、市の実入りは25%しかない」といい、増税に伴う歳出をその分で賄うことは困難との見方。増税が市財政に及ぼす影響の見通しは現段階で立っていないため、今後国が示す地財計画の行方に気をもんでいる。(千葉卓陽)



◎海底駅さようなら…最後の見学ツアー

 青函トンネル内にあり、北海道新幹線の建設工事に伴って来年3月に廃止される竜飛海底駅(青森県外ケ浜町)で10日、特急列車で駅を見学する最後のツアーが開かれた。海面下135bのホームは今後取り壊される予定で、全国から集まった鉄道ファンらは、乗り降りができる日本唯一の海底駅の最後の姿を目に焼き付けていた。

 竜飛海底駅は1988年、青函トンネル開業と同時に緊急時の避難施設として開業。「世界初の海底駅」として人気を呼び、毎年4〜11月に1日2回、特急列車が停車する見学ツアーが開かれていた。

 JR北海道によると、同社が9〜10日に設定した計4本の臨時ツアーは計160人の定員に対し全国から5061人の応募があった。ツアーは、駅ホームから避難誘導路となっているトンネルを約600b歩いてケーブルカーに乗り、青森県外ケ浜町の地上施設「青函トンネル記念館」を見学して再び海底駅から特急に乗るコース。

 駅を廃止するのは、2015年度末に開業予定の北海道新幹線の車両の幅が在来線より広く、現在のままでは新幹線が通れないためだ。駅の廃止後も地上から駅に至るトンネルの一部は見学できる。

 小学6年生の長男と参加した札幌市清田区の会社員長谷川智章さん(42)は、「これだけのトンネルを歩いてみられるのは最後。息子に見せてやれて良かった」と話していた。(記事・写真は代表取材)



◎「最高の眺め」感謝デー満喫…ロープウェー無料開放

 函館山ロープウェイ(函館市元町、本間秀行社長)は10日、市民感謝デーの一環でロープウェーを無料開放した。多くの市民や観光客が訪れ、山頂からの眺めを満喫した。

 市民に感謝の気持ちを伝えようと、毎年開放している。この日は午前9時から2時間ほど強風のため運行できなかったが、多くの人がロープウェーに乗り込み、山頂をめざした。

 山頂のレストランではカレー1杯を100円で提供する恒例のサービスもあり、あっという間に完売する人気ぶり。また、山麓のFMいるかビルでもイベントが開かれ、縁日や道南各町の特産品販売コーナーなどがにぎわった。

 市内の白石佳孝さん(64)と恵子さん(63)の夫婦は「最高の眺め。寒いけれど来てよかった」と満足そうに話していた。日が沈んでからは夜景を目当ての市民や観光客が訪れ、午後9時までの営業で1万1652人が利用した。同社は「天候が心配されたが、多くの市民や観光客に喜んでもらたえた」としている。(松宮一郎)


◎函館博士*レ指し真剣…はこだて検定に223人挑戦

 函館の歴史や文化などについての知識を問うご当地検定「第8回函館歴史文化観光検定(はこだて検定)」が10日、道教育大函館校で開かれた。初級と上級合わせて223人が難問に挑戦。函館博士≠目指して真剣な表情で問題に向き合った。

 北海道新幹線開業を見据え、地域の魅力を発信できる人材を育成しようと、2007年に始まった。これまでに初級1358人、上級81人が合格。今回は基本的な問題の初級試験に181人、応用知識を問う上級試験に42人が挑んだ。市民のほか、道内各地、東京、神奈川、大阪、愛知、京都など本州からの受験者も。

 試験は函館の政治・経済、歴史、自然・景観、文化・美術、観光など広範囲な分野から出題。上級の問題では、函館出身の人気ロックグループ「GLAY」のメンバー全員の名前や、市の観光公式サイトの名称を問う問題も。受験者は参考書の内容を思い出しながら問題を解いていった。

 新幹線開業を控え、タクシー運転手や観光施設従業員など観光産業従事者の関心も高まっている。同会議所は「観光客と直接触れ合う人は深い知識が必要となるので、検定や勉強の成果を生かしてもらいたい」としている。合格者には12月10日に合格証が送られる。(松宮一郎)