2013年11月14日 (木) 掲載

◎地元食材で特別メニュー 自慢の郷土料理並ぶ

 函館市内、近郊のホテルや料理店の調理師による「郷土料理発表会」が12日夜、若松町のロワジールホテル函館で開かれた。西洋料理と中国料理の調理師が、地元の食材をふんだんに使って作った料理を並べ、市民に振る舞った。

 全日本司厨士協会函館支部と日本中国料理協会函館支部の主催。地元食材を使った料理の紹介や調理師同士のレベルアップを目的に毎年開催しており、今年で28回目。

 西洋料理、中国料理それぞれ9店が参加。市民約280人が訪れた。テーブルにはこの日のために作られた特別メニューがずらり。近海で捕れたタラは、白子で包んだり、王様しいたけをミンチにしたソースをかけたりと調理法も多彩。大沼牛もビーフシチューやゼリー寄せに。調理師らは来場者に一品一品説明して取り分けていった。

 毎年楽しみにしているという市内の主婦、五十嵐文子さん(70)は「きれいでおいしい料理ばかりだった。季節感も楽しむことができた」と満足そうに話していた。(松宮一郎)



◎姥神祭 経済効果4億4160万円 桧山振興局試算

 【江差】桧山振興局は、今年8月に江差町で行われた「姥神大神宮渡御祭」の経済波及効果が4億4160万円に上ると試算した。費用対効果は7・7倍だった。

 試算は町の依頼で、桧山振興局地域政策課が一連の催しにかかる道南圏経済に与える影響額をはじき出した。

 同渡御祭は370余年続く道内最古の祭りで、管内最大の集客を誇り、毎年8月9〜11日に行われている。今年は初日の前半のみ雨天に見舞われたが、2日目からは好天に恵まれ、大勢の観光客らでにぎわった。

 試算では、各家庭や企業などが振る舞う料理や山車の運行と修繕などが約6700万円で、観光客の消費額が約3億7500万円。日帰り客は延べ5万5510人、道内宿泊客は390人、道外客100人だった。

 一連の催しによる就業誘発効果は43人だが、必ずしも就業者が増加するものではないとする。

 姥神祭の事務局を兼務する、江差観光コンベンション協会は「具体的な数字で予想以上の経済効果を把握し、経済の起爆剤であることを再認識できた。北海道新幹線開業を見据えて今後も内外に積極的なPRに努め、そして姥神祭を後世に守っていくことも重要」としている。(田中陽介)



◎駅名問題「両市間で解決を」 工藤函館市長が会見

 函館市の工藤寿樹市長は12日の定例会見で、2016年3月開業予定の北海道新幹線新駅の駅名問題に言及した。「北斗函館」を主張する北斗市との協議が必要との認識を改めて示すとともに「トップ同士だけで話し合って解決しようとはならない」と述べ、「新函館」を決議している市議会と協議した上で、道の調整、仲裁を経ずに両市間で解決することが望ましいとした。

 駅名をめぐっては、北斗市議会が「北斗函館」、函館市議会が「新函館」を決議し、双方がJR北海道に要請。松本栄一函館商工会議所会頭は折衷案として「新函館北斗」を提案している。

 同市長は会見で、北斗との協議の必要性について「誰かが動かないと、両すくみでにらみあっているだけ。私なのか他の誰かか断言できないが、誰かが動く必要がある」と述べるとともに、すでに決議済みの市議会の立場を尊重する考えを強調。東京やタイへの出張を控えていることから、帰国後に協議に向けて動き出す意向を示唆した。

 今月1日の市町会連合会との懇談会で「引き分けでも仕方ない」と述べたことに関し、市長は「妥協することを考え始めたわけではなく、その前提で話をするつもりはない」と述べた。「両者の名前を取ることが引き分けなのか」という質問に対しては「それがすべてだとは思わない」とした。早期決着を求める経済界に対しては「正式名称でPRしたい気持ちは分かるが、今でもポスターは作っており、現段階で不自由はない」との認識を示した。

 併せて市長は、高橋はるみ知事が両市間の調整に意欲を示していることに関し「長屋の隣同士が話し合ってもいないのに、大家がいきなり入ってくることにはならない」とし、改めて道をけん制。「まずは二国間交渉みたいなものを、どう呼び掛けて始まるかになる」と述べ、両市間での話し合いが先決と強調した。(千葉卓陽)


◎観光客 10年後に550万人目標 函館市基本計画策定委が素案

 函館市観光基本計画の次期計画を審議する策定検討委員会(委員長・木村健一公立はこだて未来大学教授)の本年度第5回会合が12日、市企業局で開かれた。計画素案では観光客の入り込み目標を北海道新幹線開業時の2016年度に530万人、計画最終年度の23年度には550万人と設定。国内市場が縮小する中で、新幹線、函館アリーナ開業や、訪日外国人観光客の増加など、入り込み客数全体の底上げを図る。

 これまで同検討委では、量的目標より、質の向上を重視した目標設定の議論を進めてきた。布谷朗観光コンベンション部長は「観光は基幹産業として、経済効果を算出する元になる数値が必要。現実性を持った数値を示した」と説明した。  入り込み客数は昨年度は450万人だったが、本年度上期の入り込みが好調なため、布谷部長は07年度水準の480万人まで回復する見通しを示した。今後の目標値は、北陸新幹線が開業する15年度には470万人に落ち込むが、道新幹線開業の16年度は大幅増の530万人と設定。東京五輪開催(20年)もひとつの契機ととらえ、最終目標を550万人とした。18年度に計画の中間見直し作業を行う際に改めて目標数値に対する状況を見ながら議論を進める考え。

 このほか、平均宿泊日数は昨年度の1・16泊から10%増の1・28泊、満足度ではリピーターになりやすい函館の印象を「とてもよい」と答える割合を現状の6割から8割までの向上を目指す。同部は、計画素案の細部を修正し、18日から1カ月間、市民からの意見を公募する。(今井正一)