2013年11月14日 (木) 掲載

◎エゾシカ肉のイメージ向上、函大生が調査

 エゾシカ肉を食べたことがある人が約半数を占め、「食用ではない」「不衛生」と感じる人が減ってイメージが向上していることが、函館大(溝田春夫学長)学生のアンケート調査で分かった。1年前の調査結果より認知度が確実に高まり、函館・道南でも一定程度の需要が見込めそうだ。

 10月13日の大学祭で、昨年同様にエゾシカカレーの購入者にシカ肉に関するアンケートを行い、72人が回答した。  食べたことがある人が46%となり、昨年より22・2ポイント上昇。また、イベントやレストランで食べた人が多いことも分かった。

 イメージを聞いたところ、昨年より「安そう」「高そう」「高タンパク」という回答が特に増えた。一方、「食用ではない」が4ポイント減の8%、「不衛生」が8ポイント減のゼロ。食べる機会が増えたことで、食用としての認識が深まっている。

 購入の可能性について「スーパーで購入できるのならば、いつでも食べたい」が48%に上り、買う条件では「スーパーに売っている」(30%)、「価格が安い」(25%)が上位。安全面の保証やレシピの提供も、購入を後押しするとみられる。

 シカによる農業被害拡大を受けたプロジェクトで、2年の吉田奈央さん、中澤さおりさん、根本美久さん、平野瞳さん、藤塚早紀さん、松村架那さんが担当。函大総務課の伊藤拓也さん、隅田孝専任講師も参加している。

 コープさっぽろの一部店舗では、10月下旬からシカ肉の販売が始まっており、供給力の向上により函館でも販売される可能性があるという。同プロジェクトは「家庭で食べてもらうため、レシピ開発にも力を入れたい」としている。(山崎大和)



◎いのち・暮らしを守る集会、「原発ゼロ」訴えデモ行進

 大間原発(青森県大間町)の建設阻止などを求める「いのち・暮らしを守る原発ゼロ集会」(民医連道南ブロック、道南勤医協労働組合など主催)が13日、道南勤医協函館稜北病院玄関前で開かれた。

 約30人が参加。同じ趣旨で開催した今年6月に続き2回目。道南勤医協の沢田敏幸専務理事が、安倍政権の政策に対して「事態はますます深刻になっている。命を守ることをまともに考えれば、原発再稼働や新設はあり得ない」と訴えた。

 大間反対のほか、消費税増税、社会保障の切り捨て、秘密保護法などの反対を盛り込んだ集会アピールも採択した。

 その後、同病院から道道函館上磯線(産業道路)に出て、「原発ゼロ」などを訴えながらMEGAドン・キホーテ函館店までデモ行進した。(山崎大和)



◎職人なり手不足深刻、大工の訓練生大幅減

 全国で建設業界の人手不足が続く中、函館でも人材難やなり手不足が深刻だ。道立函館高等技術専門学院(水野司学院長)の建築技術科では、本年度の入学者が定員20人に対し7人。民間の養成機関である函館建築工業協同組合(亀田隆史理事長)でも、木造建築科の訓練生がピーク時の1割ほどに減った。工事の受注だけでなく、技術や技能の継承にも影響を及ぼすことが懸念されている。

 同学院の建築技術科は、2年間で2級技能士(建築大工)の国家資格取得を目指す。2年制となった1998年度から、定員20人に対しおおむね15人以上の入学者がいたが、本年度は7人。充足率は昨年度の80%から35%まで落ちた。機械技術や自動車整備などの他学科ではほぼ定員を確保しており、建築技術の入学者不足が深刻。

 同学院の入学生は8割が新規高卒者のため、少子化の影響も大きいという。水野学院長は「就職情勢が改善され、それ自体はいいことだが、就職が厳しい時代に生かせる資格や技術の取得にあまり目が向けられないようだ」と苦渋の表情で語る。

 1965年に民間の職業訓練校を開設した函館建築工業協同組合では、当時は40〜50人いた大工の訓練生が、本年度は4人まで減少した。訓練生は会社勤めをしている技能士らが対象で、各事業所に要請して確保を進めている。

 亀田理事長は「きつい、危険な仕事、低賃金などのイメージがあり、保護者も子どもの仕事に安全・安心・安定を求める傾向がある」と説明する。課題は賃金などの待遇改善だが、工事の受注額を上げ、職人の賃金に回せるような仕組みにならないと難しいという。

 バブル崩壊後、公共工事は右肩下がりで減少し、建設業界では職人の雇用を抑制してきたが、安倍政権での公共工事増加、復興需要、消費増税に伴う駆け込み需要などで一気に職人不足が顕在化しているという。

 職人の高齢化も進み、若い世代の育成が不可欠。同学院や同組合などは、子どもたちにものづくりの大切さを知ってもらう教室を長く開催している。水野学院長と亀田理事長は「ものづくりは重要な産業で、技術や技能を継承していくため、職人の養成は大きな課題。今後も地道に啓発活動を続けたい」と話している。(高柳 謙)


◎耐震診断の義務化説明、25日の改正法施行前に

 不特定多数が利用する大規模建築物などに耐震診断の実施などを義務付ける改正耐震改修促進法の説明会(道、函館市主催)が13日、サン・リフレ函館で開かれた。建築業関係者や該当施設所有者ら80人が参加。国土交通省建築物防災対策室の名口芳和課長補佐が25日施行の改正法の概要を説明した。

 改正法では、病院や百貨店など不特定多数が利用する施設、学校、老人ホームなど災害時の避難に配慮を必要とする人の利用施設などのうち、一定の築年数や規模の建築物に耐震診断を義務化し、改修の努力義務を盛り込んだ。診断結果は2015年12月末までの報告義務があり、自治体により公表される。一般住宅や小規模建築物にも診断実施、改修を努力義務として加えた。

 函館市のまとめでは、市内施設では、病院3施設、店舗8施設、ホテル11施設、幼稚園2施設、高齢者福祉施設2施設、市役所本庁舎と市民会館の計28施設が診断義務化の対象。

 名口課長補佐は耐震診断実施の支援策として、国の補助制度の概要や、固定資産税では改修工事完了の翌年度分から2年間、税額の2分の1が減額されることなど、国交省が要望している税制改正の概要を説明。「耐震改修は喫緊の課題で災害時の被害を減らすための法改正。協力をお願いしたい」と述べた。

 また、補助制度に関連して、地方公共団体が支援策を講じた場合、国の補助額が上乗せされるが、道の担当者は「現在、検討段階」とし、函館市は「市も義務化施設を保有し、財源はひっ迫している。現行法でも努力義務が課せられ、既に改修を実施している施設もある。法改正で義務付けられたからといって支援すれば不公平感が生ずる」と、補助実施は難しいとの見解を示した。(今井正一)