2013年11月16日 (土) 掲載

◎減便減速から半年 道南 脱JRじわり 

 JR北海道がダイヤを改正し、特急列車の「減便減速」に踏み切って15日で半月がたった。函館—札幌間の運行本数が減り、所要時間も増えて不便になる一方、利用者からは「安全優先だからやむを得ない」との声も。道南では事故やトラブルが相次ぐJRに厳しい目が向けられており、今夏以降、高速バスや航空機にシフトする動きも一部で出ている。

 15日午前、JR函館駅に札幌から到着した札幌市の男性会社員(38)は「本数が減ったので、指定席が取れるか心配だった。多少時間が掛かっても、安全を重視する方がいい」と話した。

 そんな中、高速バスへ切り替える利用者が目立ち始めている。北海道中央バス、道南バス、北斗交通の3社が共同運行する函館—札幌間の高速バス「高速はこだて号」の7〜10月の利用者は、前年同期に比べ2割ほど増えており、JR減便が始まった今月も増加を見込んでいるという。

 年末年始は、減便の影響が色濃く出ると予想されるが、北海道中央バスは「用意できるバスや人員は限られているが、可能な限りの対応をしていきたい」とする。

 函館—札幌間で「特急ニュースター号」を運行する北海道バスも「今夏ごろから前年比10%増ほどで推移。さらに(ダイヤ改正の影響で)利用者が増えていることは間違いない」。今月は3連休や、札幌で人気アイドルグループのライブもあり、「単純に比較はできないが、週末を中心に混み合っている」としている。

 函館と札幌圏を結ぶ空の便へシフトの動きも。北海道エアシステム(HAC)、全日空(ANA)とも今後、一定程度の影響が出るとみる。HACは現在、函館—丘珠間で1日4往復を運航し、1便当たり36席を提供。同区間の10月の搭乗率は73・6%。今月について、同社は「(ダイヤ改正の)影響はある」としながらも、「1便あたりの座席数が少なく、数人の増減で搭乗率が大きく変わるため、月末まで推移を見ないと分からない」と説明。

 ANAは函館—新千歳間で1日2往復を運航し、1便当たり74席を提供。今月のデータは出ていないが「(脱線事故以降の)一連の動きを受け、搭乗者数は相当伸びている。9、10月は前年比120〜130%程度だった」としている。(金子真人、山崎大和、森裕次郎)



◎青函ツインシティ 25周年交流事業決める

 本年度の青森・函館ツインシティ推進協議会(会長・工藤寿樹函館市長)が15日、ロワジールホテル函館で開かれた。来年度で提携25周年を迎えるのに合わせて来年11月に記念式典を開くほか、青函両市の遺跡めぐりツアーなどの交流事業計画を決めた。

 両市から約30人が出席。工藤市長はあいさつで「北海道新幹線開業は千載一遇のチャンス。25周年事業を契機に、さらに交流が活発になることに期待している」と述べた。

 記念事業は実行委をつくって展開。式典は11月11日の「ツインシティの日」直近の休日に開くとしたほか、同日に「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」をテーマにフォーラムを開く。交流ツアーは両市の市民を対象に、遺跡群の構成資産を見て回る。

 併せてロゴマークも作成し、従前のロゴを「25」の文字で囲み、青森のリンゴや函館の地形も取り入れたデザインにした。

 事務局の函館市は、本年度の交流事業103件のうち、実施した事業が約8割の82件と説明。青函圏観光都市会議の設置や消防野球大会など5事業が新規開始した一方、2事業は中止した。

 同協議会は両市の行政のほか、経済団体や観光団体、体育協会などで組織。両市で交互に開いている。 (千葉卓陽)



◎家庭用除雪機 品薄感

 本格的な冬を前に、家庭用除雪機の品薄感が出ている。函館でも大雪となった3年ほど前から売れ行きが増し、メーカーも受注生産のため、急な需要に対応できないという。例年に比べ商品の動きが早く、一部の人気商品は品切れとなっている。

 函館、札幌、後志管内仁木町に店舗を構える岩佐商会(岩佐哲哉社長)は今季、昨年より200台多い800台の小型除雪機を取り寄せたが、750台が成約済みという。札幌方面で特に売れ、取引先からも商品の融通を依頼されている。  桔梗2の函館本店には20万〜80万円台の12種類を陳列。札幌では35万円ほどの小型の商品、函館ではボタンやレバーひとつで方向転換や高さ調節ができる50〜60万円の高機能な商品が人気という。

 岩佐社長は「近年の大雪や高齢化のほか、消費増税前の駆け込み需要もある。35万円の商品なら3%分だけで1万円違う。昨年は本州で特に売れ、今年は北海道で昨年の1・5倍ほどの需要が出ている」と語る。

 ホーマックスーパーデポ石川店では、雪を飛ばすロータリータイプは9月中旬に完売、雪を押すブレードタイプが店頭に残るだけ。今年は例年に比べ2カ月ほど商戦が早いといい、月内で在庫切れになるとみている。

 同店の東孝行販売マネジャーは「例年なら12月になっても大型機種があるが、今季は20万円ほどの小型機種しか残っていない。近年の大雪で行政の除雪が間に合わず、自分で寄せるために購入する家庭や事業所もある」と説明する。年配の購入者が多く「雪寄せで腕や腰を痛くした」「体を壊す前に買いたい」などの声があるという。

 ジャンボイエロー亀田店も、店頭の2台を売り切れば、他店と調整して取り寄せる方針。しかし、昨年は購入希望があっても在庫切れで対応できなかったという。今冬も大雪が予想されているため、早めの購入を呼びかけている。 (高柳 謙)


◎職員21人削減を提案 函館市

 函館市は15日までに、企業局など企業会計分を除く市職員数を来年度に21人削減し、観光コンベンション部を観光部に改称するなどの見直しについて市役所職員労働組合(長谷川義樹執行委員長)に提案した。

 本年度から2016年度までに、計182人の職員削減を目指す新行革プランの一環。来年度はすでに合意済みの延べ3人増と合わせ、来年4月時点で18人の削減となる。

 主な削減は、環境部でごみ処理運転管理の外部委託化などに伴い13人減、教育委員会で学校給食調理の委託化など7人減、都市建設部で石川地区区画整理事業の進捗に伴う体制見直しで5人減—など。

 一方で、市税収納対策強化のため財務部で3人増、生活保護世帯増加に伴い保健福祉部で4人増やす。

 組織再編の主なものは、農林水産部で水産物地方卸売市場の指定管理者導入に伴い、市場課を廃止し、水産物の販路拡大を担当する参事を配置。林務課は農林整備課に改称し、農業生産基盤維持管理業務を農務課から移す。

 都市建設部は街づくり推進課と都市デザイン課を統合してまちづくり景観課とするほか、屋外広告物許可事務の体制強化を図るため担当参事を置く。

 市総務部は「08年度から5年間で計644人を削減しており、職員数の大幅な削減は限界。新たな行政需要に対応するため、職員の適正配置を考慮した」と説明。市職労は「従来からの外部委託に加え、市長政策に関わる提案と受け止めている。各職場で人数も含めて必要性を協議したい」とし、12月にも回答する。 (千葉卓陽)