2013年11月22日 (金) 掲載

◎タイ国際航空、チャーター便就航に意欲 観光客誘致訪問団が帰国

 函館市の官民トップらによる初めてのタイ観光客誘致訪問団が21日、帰国し、工藤寿樹市長らが函館空港で取材に応じた。タイ国際航空で20日に面会したソラジャック社長は函館へのチャーター便運航に前向きな姿勢を示したといい、工藤市長は「まずはチャーター便からと約束に近いことを言っていただいた。タイ国際航空関係者を招き、函館空港の施設を見てもらう」と述べ、早ければ来年にも運航する可能性を示した。

 タイ国際航空の訪問では同社長ほか幹部が顔をそろえた。函館が国内屈指の観光地で、新幹線開業を控えていることや、定期便が毎日運航する新千歳、12月から週3便の定期便運航が始まる仙台との中間位置にある地の利≠PRした。

 工藤市長は「函館に就航すれば効率のよい観光ができると話したところ、関心を持ってもらった」とし、函館商工会議所の松本栄一会頭も「チャーター便は間違いなく来ると私は確証を得た」と強調する。運航実現時期は未定だが「そう遠くない時期」(工藤市長)とし、情報提供を含め継続的に働き掛けるとした。

 一方、19日に会談したポンテープ副首相は工藤市長に対し、留学生や技能研修生の函館での受け入れを打診。工藤市長は「副首相は人材育成に熱心。函館にいろいろな大学があることや水産加工が盛んなことを説明し、喜んで協力しますと答えた。今後、具体的な要望を受けて、受け入れ態勢を検討する」と述べた。

 また、自動車メーカー・ホンダの現地法人では報奨旅行による来函を要請し、松本会頭は「全産業の4割が2次産業で自動車産業が中心。(報奨旅行は)実現すると思う」と述べた。(今井正一)



◎JR北海道の特急座席4割減 年末年始の混乱懸念 

 JR北海道の列車減便の影響で、函館—札幌間の年末年始(12月27日〜1月5日)の特急列車の座席が4割減となることに、利用客から混乱を懸念する声が上がっている。利用交通機関の分散化が予想され、宿泊や観光業界からは安全運行と通常輸送の早期再開を願う声が大きい。

 発表では、年末年始の函館—札幌間の特急「北斗」「スーパー北斗」は、臨時便を運行しても前年同期比43%減の約5万7000席しか用意できず、列車によっては例年以上の混雑が予想される。

 21日に特急で函館駅に到着した札幌市の会社員、中垣内建史さん(48)は「出張で利用することが多いので、非常に困る」と語る。学生はもともと料金の安い高速バスの利用が多いため、大きな影響はない模様だが、函館市瀬戸川町の女性(73)は「札幌の娘と話しているとJRが不便に思うことが増えたよう。飛行機などへの乗り換えも考えている」という。

 利用交通機関の変化は、現時点でも表れている。イマジンホテル&リゾート函館では、同じJRが扱う宿泊パックでも列車付き商品の客は減少しているが、列車なしの客は増えており、交通機関の利用が車や飛行機などに分散している傾向がうかがえるという。

 旅館やホテルの年末年始の予約状況は「現時点では変化は見られない」(ロワジールホテル函館、旅館一乃松)との声がある一方、イマジンホテルは「近年は直前になっての予約も多いため、その時にならないと分からないが、影響は出るのではないか」とみる。改行 年末年始は観光地や商店も書き入れ時。カニなどを扱う函館朝市の男性(30)は「帰省などのついでに海産物を買って行ってくれるお客が多いので、影響がありそう」と心配顔。

 座席減にJR北海道は、高速バスの利用を呼び掛けている。「高速はこだて号」を共同運行する北都交通は「予約は1カ月前からなので、まだ何とも言えない。予約状況を見ながら対応したい」。「函館特急ニュースター号」を運行する北海道バスは「例年に比べて乗客は増えている。年末年始に向けて増便を検討していきたい」と語った。

 こうした中、市内の旅行代理店は、飛行機やバス、乗用車などに分散して混雑が緩和されていくのではないかとみる。そして「輸送の主力はJR。安全運行を第一に、きちんと再開できる体制を早く回復してもらいたい」と願う。(小林省悟、虎谷綾子、高柳 謙)



◎函館PRへ動画撮影中 AKB48「恋するフォーチュンクッキー」

 全国各地の自治体職員や市民らが、アイドルグループAKB48のヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」に合わせて踊る動画が人気を集めているのを受け、金森商船が函館市独自のバージョン制作に取り組んでいる。旧函館区公会堂などの観光地を舞台に、総勢約200人が出演。市内各地で撮影が行われ、盛り上がりを見せている。

 今年8月に発売された同曲は振り付けが簡単で、踊りをインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開する県や企業が相次いでいる。それを受けて、「元気で魅力のある函館を発信したい」と金森商船が観光業界などに呼び掛けた。AKB公式のプロモーションビデオ化を目指す。

 撮影は今月からで、はこだて自由市場、函館山ロープウェイ、旧イギリス領事館などをバックに、市職員や市場関係者らが出演。21日は一般市民が金森ホールで撮影会に臨んだ。

 撮影会には幼稚園児・保育園児から中高生、中高年まで幅広い年代が参加、函館黒船のゆるキャラ「クロン」も駆けつけた。参加者は被りものをかぶったり、法被を着たりして、ノリの良いダンスを踊っていた。

 撮影のため千歳から訪れた函館市出身の藤村明穂さ(18)は「函館が大好き。動画を通して函館の良さをPRできれば」と笑顔を見せた。動画は月末にも、ユーチューブで公開の予定。(平尾美陽子)


◎道南経済 7〜9月判断据え置き 「緩やかに持ち直している」

 函館財務事務所(武本雅臣所長)は21日、7〜9月の管内の経済概況「道南経済レポート」を発表した。好調な発注が続く公共事業と雇用情勢の判断を引き上げたものの、企業倒産が前年を上回ったほか、個人消費に力強さが欠けることから、総括判断は「緩やかに持ち直している」と据え置いた。

 個別の項目で判断を引き上げたのが「公共事業」と「雇用情勢」の2つ。「企業倒産」は下方修正で、「観光」や「個人消費」など5項目は変えていない。総括判断の「緩やかに持ち直している」は2期連続。

 公共事業は、2013年度の本予算の発注本格化で工事前払金保証請負金額が前年同期比6・3%増の671億9300万円に増加。年度累計も前年を上回っている。

 雇用情勢の上方修正は6期ぶり。依然、求人と求職のミスマッチが続いている状態だが、有効求人倍率が2010年6月から40カ月連続で前年同月を上回ったことから、判断を一段階引き上げて「改善の動きが強まっている」にした。企業倒産は件数、負債総額ともに前年を上回ったため、判断を下方修正した。

 観光は、機材大型化に伴い国内便の利用者が増加しており、台湾の定期便も好調を維持。宿泊者数、観光施設利用者も前年を上回ったが、判断を引き上げるまでには至らなかった。住宅建設は低金利で安定した伸びで、消費税増税を控え、マンション購入に駆け込みがみられたという。武本所長は「上昇トレンドに変わりないが、好調に推移する観光や公共事業が全体に波及していない」と指摘した。(松宮一郎)