2013年11月30日 (土) 掲載

◎函館市、上期観光客325万2000人 競馬、GLAYで大幅増 JR利用は減少

 函館市は29日、本年度上期(4〜9月)の観光客入り込み数(推計値)を発表した。総数は325万2000人で前年同期と比べ21万7000人(7・1%)の大幅増。競馬のロングラン開催やGLAYの大規模野外ライブなどの好材料が後押しした。上期に320万人を突破したのは2007年度(上期322万人、下期159万人)以来で、年間トータルでも同水準までの回復が期待される。

 調査の基になる交通機関別の入り込み状況は、JR利用者は前年同期比6・3%減の76万人。海峡線は微減なのに対し、函館本線は同11・8%減と、7月以降のJR北海道の事故や一連の不祥事に伴う運休、減便の影響がみられる。

 一方で、都市間バスなどバス利用は同15・7%の大幅増、乗用車は同7%増と交通手段の転換が図られた形で、航空機、フェリーともに増加した。市観光コンベンション部の布谷朗部長は「道央自動車道が大沼公園まで開通した効果もあった。JRの影響がなければ全体的にもう少し数字が伸びたのでは」と話す。

 上期は、天候不順で5月の大型連休に桜の開花は間に合わなかったが、函館競馬(6〜9月)、GLAYライブ(7月)、グルメサーカス、ハーフマラソン大会(9月)など、各イベントも入り込み増加を後押しした。月別ではすべての月で前年同月を2〜10%上回り、地域別では、道外客が206万1800人、道内客が119万400人で構成比は例年通り。全体の6割が宿泊を伴う滞在だった。

 また、市内の主要宿泊施設への聞き取りでまとめている外国人の宿泊客数(速報値)では、上期は13万4000人。国別では航空2社による定期路線の開設効果で台湾客が9万9000人と前年同期と比べ7割増となった。新千歳空港と定期便があるタイからは4000人強が宿泊し、すでに昨年度1年間の2346人を大きく上回る。例年、冬場は台湾客が多く訪れるため、外国人宿泊客が年間20万人を超えることも期待される。

 過去5年間、下期(10〜3月)は145万人前後で大きな変動はない。順調に推移すれば年間470万人以上の入り込みが期待されるが、布谷部長は「冬期間の移動手段はJRの利用が多いので、運休、減便の長期化の影響が懸念される」と話している。(今井正一)



◎配石遺構や土杭を確認 垣ノ島遺跡調査検討委 縄文後期前半の墓か

 函館市南茅部地区の国史跡、垣ノ島遺跡の調査検討委員会(会長・菊池徹夫早名誉教授)の本年度初会合が29日、市縄文文化交流センターで開かれた。市教委は本年度の発掘調査結果を報告し、同遺跡から大型の石を並べた遺構や穴を掘った跡(土坑)が確認されたと明らかにした。縄文後期前半の墓だった可能性がある。

 市は同遺跡の将来的な整備に向けて昨年度から2カ年かけて土地を公有化しており、遺跡の性質を把握するため発掘調査を本年度から開始。6〜11月に2地点、計102平方bを調べた。

 このうち、国道278号沿いの調査地点では配石遺構3基と土坑2基を検出。遺構の周囲で土が削られ地面が整えられた痕跡があり、土器1300点やヒスイ製の装飾品など遺物も見つかっていることから、市教委は「縄文時代後期前半の墓域と考えられる」としている。

 もう1地点は水があったと想定した場所を掘り起こし、水の影響で体積した地層を確認したが、湿地や沼地にみられる土の層は確認されなかった。

 本年度はまた、国内最大級とされる盛土遺構の保存と測量のため、周辺の樹木を伐採。視察した菊池会長は「これほど大規模だと想わなかった。いよいよ分析が始まるので楽しみ」と話した。

 来年度は、今回見つかった配石遺構の周辺を発掘して配置や構造を調べるほか、盛土遺構の範囲確定に向けた作業を検討しており、来年6〜10月に調査する予定。(千葉卓陽)



◎恋するフォーチュンクッキー 「函館版」動画完成 ネットで公開

 金森商船が製作したアイドルグループAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」の曲に合わせて市民が踊る函館版の動画が28日、無料動画サイト「ユーチューブ」に公開された。函館のゆるキャラも駆けつけ、総勢約500人が愛らしい振り付けに挑戦。公開からわずか2日目で、再生回数3万回に近づく人気となっている。

 同曲のダンス動画を投稿するのが全国的なブームとなり、「元気で魅力のある函館を発信したい」と今月から函館版を製作。啄木小公園、五稜郭タワーなどで撮影され、函館の観光キャラクター「イカール星人」や函館黒船のゆるキャラ「クロン」も登場。約3分の動画に函館の観光地をちりばめ、市民が楽しく踊っている様子が収められている。

 金森商船は「みなさんの笑顔があふれ、楽しい雰囲気の動画に仕上がった。函館の元気を発信していきたい」と話している。(平尾美陽子)


◎開業効果 道南全体に アクションプラン策定 みなみ北海道観光推進協

 道南18市町の観光協会や自治体でつくる「みなみ北海道観光推進協議会」(会長・打越東亜夫江差観光コンベンション協会会長)は、2016年3月予定の北海道新幹線開業に向けたアクションプラン(行動計画)を策定した。18市町の広域連携強化のほか、東北との交流事業を展開し、開業効果を道南全体に波及させる考えだ。

 アクションプランには@普及啓発・PRA二次交通の整備B東北との交流事業—など5項目を盛り込み、道南全体の観光振興を図る。

 普及・PR面では新しいシンボルマークとキャッチコピーを作成。シンボルマークは、はこだて未来大の原田泰教授がデザイン。「海の幸、山の幸に囲まれた観光資源の『蔵』」がコンセプトで、縦横18本の線は道南18市町を表し、それを青い海と山など自然が囲んでいることを表現した。

 キャッチコピーは会員組織から集めた意見をもとに「つながる浪漫、食彩半島みなみ北海道=vとした。それぞれ今後作成するパンフレットやポスターなどで利用する。

 12月5日には同協議会のメンバーが弘前市を訪れ、青森・秋田県北の観光協会でつくる「津軽地域観光団体事務局連絡会議」と新幹線開業を見据えた観光振興について意見交換する予定。二次交通の整備では、周遊観光ルートの構築に向けて取り組んでいくという。  打越会長は「新幹線開業で大きな効果を上げるため、道南18市町が心を一つにして事業を展開していく」と話した。(松宮一郎)