2013年11月8日 (金) 掲載

◎「函館再訪したい」99% GLAYライブ函大アンケート結果

 5万人を動員したGLAY函館野外ライブ(7月27、28日・緑の島)について、函館大(溝田春夫学長)の学生が来函者や宿泊施設へのアンケート調査をまとめた。ほぼ全員が再訪したいと答え、函館への評価が高いことが分かった。一方、宿泊施設への経済効果は限定的であったが、継続開催への期待が高い。

 商学実習という授業の一環で、GLAYライブに関するアンケート実施は初めて。函館の評価と課題は寺田隆至教授が担当、1年の鈴木恵理さん(18)、菅又めぐみさん(19)、坂本郁香さん(19)ら計12人が初日に、会場近くの金森赤レンガ倉庫群で調査。141人から回答を得た。

 評価では、函館の印象が「とても良い」が67%に上り、「良い」が30%、「普通」が3%。そして、再訪を望む人が99%に達した。来函数は4回以上が35%で最も多く、1回が33%、2回が15%、3回が14%で、ライブ目的だけでなく複数回訪れている人が多かった。

 課題を聞いたところ「函館への交通手段」が35%、「函館市内での移動のしやすさ」が25%、「宿泊施設の増加」が18%、「新しい観光スポット」が15%など。改善点が明らかとなり、今後の対応が求められる。

 一方、経済効果は若松裕之教授が担当し、2年の吉田和生さん(19)、吉田和央さん(20)、進藤詠亮さん(19)がライブ後の8月、函館市と七飯町のホテル・旅館100軒に郵送でアンケートを行った。51軒の回答があった。

 収容数100人未満が23軒と約半数を占め、500人以上の大規模施設は9軒。当初は軒並み満室との予想もあったが、期間中の宿泊者数が例年より多いと回答したのは65%にとどまった。函館・近郊をあきらめ、札幌や青森方面に宿泊するツアーが組まれたり、大雨の影響で函館—札幌間のJR特急列車が運休したためとみられる。

 料金を高めに設定したことで、7割以上の施設で客単価が他期間より高く、収益に結び付いた。ライブを継続した場合の対応として、キャンセル対策や価格の工夫、サービスの増加を挙げた施設が多かった。

 吉田和生さんは「宿泊者数や単価がもう少し伸びてくれても良かったが、一定の経済効果が見込めるので継続を」と話している。(山崎大和)



◎落雷?電柱倒れる 停電相次ぐ 突風で倉庫全壊

 【北斗、函館】北海道付近を低気圧が急速に発達しながら通過し、大気の状態が不安定になったため、道南では7日夜、強風や雷雨に見舞われた。同日午後5時半ごろ、北斗市市渡で、電柱が落雷とみられる影響で倒れた。北海道電力函館支店によると、同市市渡地区で最大108戸、函館市東川町、宝来町、栄町で計584戸が停電した。午後11時までに、全面復旧した。

 同支店によると、電柱は中央から折れ曲がって車道方向に倒れた。付近の電線が切断されたため、周辺一帯が停電した。同支店の社員らは、復旧作業に追われていた。

 電柱が折れた場所の近くに住む安藤敬作さん(80)方では同日午後5時半ごろ、落雷の炸裂音が響いたという。「バンとすごい音だった」と安藤さん。

 落雷の前後に吹いた突風で、安藤さん方の倉庫兼車庫がほぼ全壊した。飛ばされた倉庫屋根のトタンは一部が20〜30b先のガードパイプに引っ掛かっていたほか、壁などが周辺に散乱した。

 安藤さんと妻・サダさん(74)が外をのぞくと、倉庫の屋根が飛び、保管していた農作物が散乱していたという。「倉庫見たら屋根がなくなっていた。どうなっているのか理解できない状態」と話していた。

 函館地方気象台によると、渡島地方には午後3時半から暴風警報が、同5時20分ごろには竜巻注意情報が発令されていた。北斗市の午後5時半ごろの最大瞬間風速は5bで、午後9時半ごろに同16・1bを記録していた。



◎市内百貨店などお歳暮商戦熱く

 函館市内の百貨店や大型スーパーでお歳暮商戦がスタートした。各店とも選べるギフトや地元産品、スイーツなどを充実させ、消費者の心をつかむ戦略だ。棒二森屋(若松町)は8日、本館7階にギフトセンターを開設。開店前に出陣式を開き、従業員が売上目標達成に向けて気勢を上げた。特設コーナーの設置は百貨店で12月25日まで。各店とも上旬にピークを迎えると予想している。

 棒二森屋の出陣式には従業員約60人が参加。岩岡正剛店長があいさつで「今年も道内のおいしい商品をたくさんそろえた。お客さまにしっかりと薦め、目標を達成しよう」と力を込めた。そろいの法被を着た従業員は「ガンバロー」を三唱し、こぶしを突き上げた。

 約600種類の商品を用意。七飯産のリンゴの新品種「ななみつき」や八雲牛のセットなど道内の産地直送品を強化した。3000〜5000円の商品が売れ筋だという。

 テーオーデパート(梁川町)は8日にギフトセンターを設置する。約700種類を取り扱う。スイーツを充実させたほか、全国各地の味覚を産地から配送するサービスにも力を入れた。丸井今井函館(本町)は13日から。「ワインやカレー、いかめしなど道南の産品の詰め合わせが毎年人気」という。ほかに親会社の三越伊勢丹グループのオリジナル商品も取り扱っているのが特徴。

 一方、ダイエー上磯店(北斗市七重浜)は10月31日から店内にカタログと商品を並べた。道南の商品に力を入れており、ハムのギフトなどが売れ筋だという。同店では「平均で3000円。ぜいたくをして1万円前後の商品を贈る人も多い」としている。 (松宮一郎)


◎全容解明に高い壁 江差給食センター不正問題

 【江差】江差と上ノ国、厚沢部の3町で構成する学校給食組合の職員が給食費から私的に使う食材を不正に購入していた問題で8日、組合が委嘱した第3者委員会が初会合を開く。組合側には現時点で刑事告訴などの動きはなく、問題の全容解明は委員会に委ねられている。不正購入の背景や実態にどこまで踏み込めるか—が焦点となりそうだ。

 同委員会は、北海道町村会と道教委の顧問弁護士を務める佐々木泉顕(もとあき)氏を筆頭に、税理士と3町の自営業や団体職員の民間5人で構成。組合側の長谷川篤副組合長(江差副町長)と各町教委事務局が組合側委員として出席する。

 組合の発表によると、食材の発注業務を担当していた1人の栄養士が窓口となって、個人で使用するコメなどを購入、その費用を組合会計で支払い、2006年から今年までの少なくとも7年間に、約2800万円を給食会計から流用した。

 年度別にみると、06年が約26万5000円、07年度は約135万円、08年度約339万円、09年度約562万円、10、11年度各約500万円、12年度には給食会計の1割にあたる約713万円に上った。

 組合の調べでは、不正に購入された食材の納品書が全て紛失していることが分かっている。献立にないコメやイクラなどの個人食材が届いた際に業者が発行する書類だが、この不在が問題の発覚を遅らせ、全容解明の壁になっている側面もある。同委員会では、紛失の経緯について詳しく調べるものとみられる。

 一方、組合は10月8日に栄養士から被害額の一括弁済を受けている。10月18日の記者会見で同組合の新木秀幸教育長は「調理員の方からも(購入の)要請があったと(栄養士が)話している」と述べたが、調理員の現役4人と退職者3人については、現段階で被害弁済を求めない方針だ。

 一方、組合は、該当期間に給食費を支払った“受給者”に流用分を返金したい考え。対象は推定で約1万2000人おり、事務手続きや費用面など実現へのハードルは高い。

 同組合には、維持費、人件費として、構成3町の負担金(公費)が投入されている。本年は予算総額1億6700万円のうち、負担金が9600万円を占める。公費が投入されているだけに、住民の間からは「受給者に返金」という手法に疑問の声が上がっている。

 同委員会での解明作業が進めば、被害額が増減することも想定される。新たに分かった被害額の弁済手法や“受給者”への返金の是非も含めて、委員会で詳しく論議される方向だ。 同委員会は江差町役場で8日午後2時から開かれる。報道陣に公開するのは冒頭のみで、会合の様子は非公開としている。 (田中陽介)