2013年12月10日 (火) 掲載

◎廃校・江差南高 購入の意向 被災障害者らの就業場所などに

 江差】2006年3月末に道立江差高校との再編統合で閉校後、道教委が売却先を公募中の旧道立江差南高校(江差町豊川町62)校舎・敷地について、江差町の知的障害者更生施設「あすなろ学園」などを運営する社会福祉法人・江差福祉会(半沢節子理事長)が、新事業に向けて購入の意向であることが9日、分かった。東北で被災した障害者らの就業場所の提供などを図りたい考えで、同法人は「新年度に改築、下半期の来年10月には稼働したい」としている。

 旧江差南高の敷地は約3万3000平方b。校舎は4階建てで延べ1万1700平方メートルで、1968年から87年にかけて主に建設された。道教委は閉校後、売却を公募していたが、これまで応募はなかった。

 新事業計画案は○1校舎近くにある同法人のケータリングセンター(築50年)の代替施設○2パンなどの災害備蓄品の一括包装場所○3提携する宮城県の社会福祉法人の利用者の就業場所確保—など。

 新事業では、施設利用者40〜60人と合わせて一般従業員の就業機会も見込まれる。購入価格は今後、道教委と詰めるが、同法人は「数千万円にプラスして改修費となると、事業費は少なくとも1億円にはなる」としている。

 同法人は江差町にも購入希望の意思を伝えており、関係町内会のほか地域理解などを含めて計画を詰める。9日の町議会議員協議会で浜谷一治町長は「町としても市街地の空洞化対策や地域振興などを含め歓迎したい」と述べた。

 閉校当時の校舎と敷地の概算評価額は約7億4000万円だったが、道教委は「一括購入が基本。現在の市場価格にするとこの価格(7億円台)ではない。鑑定士の意見などを基に適正価格で対応したい」としている。(田中陽介)

 社会福祉法人・江差福祉会 江差町を拠点に近隣で授産施設や生活介護など障害福祉サービスを展開。同法人が手掛ける災害備蓄用パン(缶入り)は、北海道南西沖地震を教訓に開発、長期保存とふんわりとしたおいしさで全国区の人気。主要8施設で利用者は計約300人、従業員150人。



◎「らっくる号」3台目が来た 早ければ年内デビュー

 函館市企業局交通部は9日、超低床電車「らっくる号」の3台目となる9603号車を駒場車庫に搬入した。同日午前零時から函館競馬場付近で作業を開始。クレーン車で軌道上に降ろし、駒場車庫までは先輩≠フらっくる号でけん引し、同3時半ごろ、作業が終了した。新車の荷下ろしが本線上で行われたのは初めて。

 車両を乗せた大型トレーラーは8日早朝に市内に入り、走行制限があるため深夜まで待機。2台のクレーン車で仮設のレールごと車両をつり上げて、トレーラーから降ろし、スロープレールに接続して軌道上に降ろした。

 3台目のらっくる号導入で、部分低床車を含めて低床車両は4台体制。同部施設課は「搭載機器類の調整を行った後、できるだけ早く営業運転を開始したい」とし、早ければ年内にも“デビュー”する予定だ。

 9603号車は2007年と、10年に導入した同形車両と同じアルナ車両(大阪府摂津市)の製造。既存車両と仕様に大きな変更はないが、JR福知山線脱線事故(05年)後に義務付けられた運転操作を記録する装置が導入された。

 購入価格は約2億3000万円で、3分の1は国からの補助金を充てた。10年3月に策定した第2次交通事業経営計画では17年度にも超低床電車の導入が予定されている。(今井正一)



◎ポーラーベア幸せ運ぶ コカ・コーラキャンペーン

 日本コカ・コーラの「ウインターキャンペーン全国キャラバンイベント@函館」が8日、函館市内で開かれた。はこだてクリスマスファンタジー会場では、キャンペーンキャラクター「ポーラーベア」との記念撮影会も行われ、来場した市民や観光客を楽しませた。

 同社が年末年始に笑顔とハッピーを全国へ届ける恒例のキャンペーンで、道内では今年、函館のみで開催。午後にテーマ「ハッピーをあげよう。」とサンタクロースが書かれた「クリスマストラック」(2トン車)がラッキーピエロ十字街銀座店(末広町)に訪れ、同店の来店者にポーラーベアのぬいぐるみと記念写真を楽しんでもらった。

 夜は同ファンタジーの巨大ツリー点灯式に、高さ約2b30aのポーラーベアが登場。来場者にはコカ・コーラが1本もらえるハッピーギフトカードが配布され、受け取った人は笑顔を見せていた。奈良県五條市の主婦、春日暁美さん(38)は「プレゼントをもらえてうれしい。今年はいろんな人に気持ちを込めてプレゼントを贈りたくなりました」と話していた。(山崎純一)


◎旧ロシア領事館 国際コンペで利活用提案へ

 旧ロシア領事館(函館市船見町17)の利活用計画をテーマにした国際コンペ「ハコダテ☆ものづくりフォーラム」設計競技2014(実行委主催)が、来年開かれることが決まった。世界中にアイデアを募り、函館の伝統的建築物を後世に残す方策を提案する。8日には現地調査を行い、企画が事実上始動した。

 現建物は1906年に建設、96年に市立道南青年の家としての役目を終えた後、17年間使われていない。所有者の市も活用策を検討しているが、妙案を見い出せていない。そこで、同フォーラムが市に国際コンペの開催を提案し承諾を得た。

 設計競技は今回で3回目で、国際コンペは初めて。来年4月に募集を始め、7月の1次審査を経て8月に公開プレゼンテーションによる最終審査を行う予定。優秀作品は市に提案し、具現化の一助としてもらう。

 現地調査は、市企画部職員2人の立ち会いのもと、同フォーラムと、協力するNPO法人はこだて街なかプロジェクトのメンバー8人が設計条件を提示するため、建物や地盤の高さ、建物の位置の測量、増築部分の測量などを行った。

 同フォーラム代表の石王紀仁さん(53)=市内釜谷町=は「コンペは函館に素晴らしい建物があるというアピールにつながる。応募作品は100以上が目標」と話す。問い合わせは石王さん(電話0138・82・2501)へ。(山崎大和)