2013年12月16日 (月) 掲載

◎チョウザメから魚しょうゆ開発 北大大学院の矢辺さん

 北大大学院水産科学院修士課程1年の矢辺貴晃さん(23)が、チョウザメの肝臓を使った調味料・魚しょうゆを開発した。不快な臭いがないのが特徴で、いろんな料理の隠し味として使える可能性がある。矢辺さんは「チョウザメで町おこしをする上川管内美深町の産業に貢献できれば」と意気込んでいる。

 チョウザメと言えば、卵(キャビア)が有名だが、内臓は使い道がなく廃棄されていた。矢辺さんは高橋是太郎教授の研究室で、未利用水産資源の有効利用について研究しており、今年4月からチョウザメの肝臓を原料としたしょうゆの開発を進めてきた。

 チョウザメの肝臓を発酵容器に入れ、ほかに食塩、コメ麹(こうじ)、大豆麹、水を加えて6カ月、30度で発酵。こした後、90度で10分間加熱殺菌して完成させた。

 品質評価では、食中毒を引き起こす原因となるヒスタミンを含まず、うま味も確認された。また、市販品に比べて嫌な臭いが少なく、使いやすいという。矢辺さんは「麹の微生物の効果により、臭いが分解されているのではないか」と推察する。

 美深町では、産業としてチョウザメの養殖が定着している。矢辺さんは「魚しょうゆを製品化し、町の特産の一つとして売り出せればうれしい」と話している。(山崎大和)



◎自主夜間中学「函館遠友塾」来年5周年 節目祝う 

 来年開学5周年を迎える自主夜間中学、函館遠友塾(今西隆人代表)は15日、ロワジールホテル函館(若松町)で5周年記念式典を開き、塾生や卒業生、スタッフ66人が節目を祝った。

 同塾は2009年4月開学。戦争や家庭の事情などで満足に教育を受けることができなかった人を対象に受け入れ、3年間かけて、ひらがなの読み書きや足し算などの基礎学習から中学1年生レベルの学習までを指導する。毎週水曜、市総合福祉センター(若松町)で授業を行っており、現在は20代から90代までの50人が在籍する。

 式典で今西代表は「開学から5年が経過したが、塾生や卒業生は逆に若返ったように見える。思い出話しをしながらひと時を過ごしてほしい」とあいさつ。続いて、札幌遠友塾元代表で、北海道に夜間中学をつくる会代表の工藤慶一さんが記念講演。遠友塾運営時の苦労話や塾生のエピソードを振り返り「塾生は学びを通して交流が広がり、気持ちも穏やかになる。つらい思いをしている人に温かい目を向けるようにもなり、何よりも長生きする人が多い」と話した。

 式典後、恒例のクリスマス忘年会を開き、参加者は料理を食べたり余興をしながら楽しんだ。

 今西代表は「塾生が学び喜ぶ姿が私たちスタッフの力になっている」と話していた。(鈴木 潤)



◎東京のアンテナショップ開設2年 再開発影響 やや苦戦

 函館市が東京のローソン京橋駅前店内にアンテナショップ「函館もってきました。」を開設してから間もなく2周年を迎える。市経済部によると、売り上げは1カ月平均1万5000円で推移しており、京橋駅前の再開発に伴って人の流れが変わったことでやや苦戦気味。19日からは2周年感謝イベントを断続的に開き、新規ファン開拓に力を注ぐ構えだ。

 ショップは地場産品の販路拡大やブランド化を目指し、函館物産協会に運営委託して2011年12月に開設。店の一角に約10平方bの物産コーナーを設け、食品や飲料を中心に約110品目の物産品を販売している。

 市商業振興課によると、100〜200円と単価の安い商品が売れ筋となっており、今年10月現在での売り上げは燻製卵「函館物語」(税込み141円)、函館ハイカラしっとりクッキー・ホワイトチョコ(同84円)、リボンナポリン(同147円)。塩辛のフリーズドライ製品や道内限定のガラナに加え、最近はきびだんごも人気を集めている。

 売り上げ目標額は当初3万円としていたが、現在はその半分程度で推移しており、ネックになっているのが京橋駅前の再開発。JR東京駅丸の内口に程近い同地区では現在、超高層ビルが相次いで建設中の上、今春から来年6月まで最寄りの地下鉄出口が工事中で閉鎖されており、「開設当初から人の流れが変わっている」と同課。

 その状況を打開しようと、19日から2周年感謝イベントを展開。アンケートの回答者に、9月の函館スイーツコンテストでの準ブランプリ2作品の詰め合わせをプレゼントして、函館スイーツのレベルの高さをアピールする。また年末年始には、ショップで扱う商品を2割引きで販売する。

 市はホームページのほか、職員手づくりの新聞を月1〜2回ペースで店内に張るなどして物産、観光の両面でPRを強めている。同課は「ローソン側も熱心に取り組んでくれており期待も強い。イベント告知もしながら、函館の季節感や雰囲気を演出していきたい」としている。(千葉卓陽)


◎ウイニングホテルオープン10年 北島三郎さんも「まつり」でお祝い

 知内町出身の演歌歌手、北島三郎さんの記念館と、ウイニングホテル(函館市末広町22)がオープンから10年を迎え、15日夜、同ホテルで記念感謝祭が開かれた。北島さんや、同施設を運営するウイニングの親会社、EHグループ(大阪)の関係者らが出席して節目を祝った。

 同施設は2002年12月、函館市市制施行80周年記念事業の一環として、旧森屋百貨店を復元させる形でオープン。記念館は北島さんの青春時代を再現しており、観光客に根強い人気がある。

 感謝祭にはEHグループの深江今朝夫最高経営責任者や北島さんのほか、工藤寿樹函館市長ら約85人が出席。深江氏は「厳しい中でも、社員たちに根性を見せていきたい」とあいさつ。北島さんは深江氏との縁に感謝の意を示すとともに、「私とともに、記念館も一緒に生きている。案内してくれる方の話も上手で、感動している」と述べた。

 感謝祭の前には、北島三郎杯カラオケ全国大会を市民会館(湯川町1)で開催。全国から予選を勝ち抜いた50人が出場し、帯広市の財田直哉さん(28)が優勝に輝いた。

 北島さんは大みそかの紅白歌合戦出場は今年で最後としながら「まだまだ引退しません。北海道代表とし歩いていきます」と力強く宣言。「紅白の最後はこの曲しかないのでは」(北島さん)という代表曲「まつり」をこぶしをきかせて熱唱し、観客から大きな拍手を受けていた。(千葉卓陽)