2013年12月27日 (金) 掲載

◎函高専、植物育成コンテナ設置

 函館高専(岩熊敏夫校長)が、野菜を栽培する「植物育成コンテナ」2棟を全国の国立高専51校で初めて設置した。本年度スタートした新学科では農学と工学が連携した教育研究に力を入れており、収益性の高い野菜の栽培条件を検討する。年明けから本格稼働させる予定だ。

 新設した物質環境工学科は農業分野と連携し、より高度で新しい技術開発に挑む。農場を持つことが難しいため、施設栽培を考案。今月6日に、植物育成コンテナ(1棟約10平方メートル)を敷地内に導入、費用は約1500万円。

 コンパクトな植物工場で、照明(LED=発光ダイオード)と温度を自動制御して生育を自動化。養液も循環させる。無菌の栽培室には、1棟当たり3段の水耕栽培用棚を4ブロック備え、面積を確保。葉物野菜やハーブ類など水耕栽培できる全農産物が対象で、天候や季節を問わずに育てられる。まだ栽培はしておらず、今後順次使っていく。

 1棟を学内の教育や研究目的に、もう1棟を新規に事業を興す農業者や企業などに提供して支援する。高専が持つ照明の当て方、野菜中の栄養分析、機能性成分分析といった技術を生かす。

 小林淳哉教授は「TPP(環太平洋連携協定)交渉の影響で、農業は競争力があり、早く大量に育てられる品目が求められるだろう。その際に植物工場が一つの鍵になる。農業者もぜひ使ってほしい」と話す。(山崎大和)



◎市電も迎春ムード

 函館市交通部は26日、市電2002号車の車内に正月飾りを設置した。まゆ玉飾りや連だこなどを取り付け、25日までクリスマスの装飾で華やかだった車内は一気に迎春ムード。同部は「乗客に良い新年を迎えてほしい」としている。

 正月飾りは昨年に続いて2回目の取り組み。枝にまゆ玉を取り付けるなど職員が手作業で準備。枝には縁起物の飾りがぶら下げられたほか、お正月を連想させる連だこや、発券機の脇には小さな門松を置いた。

 同部事業課は「初めて飾り付けを行った昨年末は乗客からもお正月らしさを味わえると好評。来年は季節ごとの飾り付けを考えて、乗客に喜んでもらえる工夫をしたい」としている。運行は1月6日まで。(今井正一)



◎11月の有効求人倍率0・82倍

 函館公共職業安定所がまとめた渡島・桧山管内の11月の雇用失業情勢によると、有効求人倍率は前年同月を0・20ポイント上回り、0・82倍となった。1991年8月の0・84倍に次ぐ高水準。依然として求人と求職の希望が合わない雇用のミスマッチが続いているものの、雇用環境に明るさが広がっている。

 有効求人倍率が前年同月を上回ったのは42カ月連続。10月、11月と0・80倍台となり、バブル期以来の高い水準で推移している。同職安は「データが残る91年4月以降で最高だった同年6月の0・88倍も視野に入った」とする。基調判断は10月から変わらず、「一部に厳しさが見られるものの、改善傾向にある」と据え置いた。

 新規求人数は前年同月比24・1%蔵の2262人で、11カ月連続で増加した。公共工事の増加で人手不足が続く建設業、年末商戦に向けて人員確保を図った卸売業・小売業からの求人が好調だったことが要因。

 業種別にみると、建設業が同36・8%増の223人。医療・福祉は同33・9%増の691人だった。いずれも人手不足が深刻な状態。景気が持ち直す中、物流も活発になってきており、運輸業・郵便業が同2・1倍の137人に増加した。製造業は同10・9%減の156人に。水産加工が微減で、ほかの食料品も減少した。

 就職件数は同4・6%増の563人で3カ月連続の増加。同職安は「製造業が伸びないことが懸念材料」と指摘するものの、求人数、就職件数とも増加しており、雇用環境はこのまま改善傾向の動きを続けるとみている。(松宮一郎)


◎都心商店街振興組合と西署が地域安全協定

 函館市大門地区に22台の街頭防犯カメラを設置した函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)と函館西署(小林誠一署長)は24日、「地域の安全に関する協定」を結んだ。連携を深めることで、地域の安心安全の向上が期待される。

 防犯カメラは同日から稼働し、映像は犯罪などが発生した際に警察からの申請を受けて提供。同署では安全施策の協力や、情報提供など連携を密にしていく考えだ。同日、同署署長室で、渡辺理事長と小林署長が協定書に署名し、固い握手を交わした。

 小林署長は「大門地区の安全が図られることで、函館が安心して暮らせるまちだと市民にあらためて認識してほしい。犯罪のない社会を築くために尽力したい」とあいさつ。渡辺理事長は「西署の協力があってどうにか設置できた。これからも連携し、安心安全に努めたい」と話し、「人に優しく安心な街づくりの一歩になった」と笑顔を見せた。

 2016年3月開業予定の北海道新幹線を見据え、安全性を高め、商店街や地域の活性化につなげようと、中小企業庁の商店街まちづくり事業の補助を受けて今月10日までに設置。周辺を見渡すように撮影でき、映像は商店街内の一室に置いたレコーダーに1〜3カ月間保存するが、事件・事故の発生時以外には使用せず、「プライバシーには十分配慮する」(同組合)としている。(虎谷綾子)