2013年12月28日 (土) 掲載

◎カメラのニセコ 30日に閉店

 函館市松風町の「カメラのニセコ」本店が30日正午で閉店する。1947年の創業以来、カメラの販売だけでなく、写真愛好家の交流の場としても大きな役割を果たしてきた老舗カメラ店は、写真を取り巻く環境の変化により、惜しまれながら66年の歴史に終止符を打つ。

 カメラのニセコは大門地区で開業。以後、数度の移転をしたものの、JR函館駅近くの商店街の一角で、身近なカメラ店として市民に親しまれてきた。30年ほど前、ゴールデンウイークなどの大型連休明けには1日300本以上のフィルム現像の注文があり、業務は多忙を極めたという。

 しかし、近年のネット通販と家電量販店の台頭やデジタルカメラの普及に伴い、利益の柱だったプリント注文の数が減少。平野吉明社長(53)は「撮影して終わり。データで残すだけという方が多くなった」と寂しそうに語る。

 35年間勤務してきた平野社長にとって、一番の思い出は常連客との撮影旅行。7、8年前からは春と秋の年2回、20人前後でツアーを組み、道内各地や東北地方で風景撮影を楽しんだ。「皆さんを押しのけて私が先に撮影したりしてね」と懐かしそうに振り返る。

 今月初旬に閉店を発表すると、常連客が「やめないで」とひっきりなしに来店。平野社長は「皆さんから多くの声をいただいて、非常に複雑な思い」と苦しい胸中を明かす。店を訪れた元町の古谷和子さん(78)は「細かいことまで親身にやっていただいた。気軽に行けるお店がなくなってしまうのは寂しい」と残念がった。

 「MEGAドン・キホーテ店」(美原1)は来年3月24日まで営業する。(森裕次郎)



◎鏡餅づくりピーク

 正月のお祝いに欠かせない鏡餅づくりがピークを迎えている。函館市松風町4にある老舗店「弁慶力餅三晃堂」(野路邦英社長)では27日、野路社長をはじめとする従業員一同が餅づくりに励んだ。

 午前5時ごろから始め、蒸したてのもち米の香りが立ち込める調理場で、従業員らは手早く作業を進めた。同店では、2合(630円)〜1斗(3万1500円)の鏡餅や、棒餅、のし餅などお正月用の餅を20種類以上取り扱っており、この日も注文の餅づくりに追われていた。つきたてを切り分け計量し、手早く丸める。熱いうちでなければきれいに仕上がらないといい、素早さが重要だ。

 ピークは31日まで続き、約100俵のもち米を使うという。野路社長は「おいしいものを食べてもらいたいという気持ちを込め、材料にこだわり、一つ一つ大切に作っている。古くから親しまれている味を楽しんでほしい」と話していた。(虎谷綾子)



◎WAKO 新ビルのデザイン完成

 函館市中心市街地活性化基本計画の中核事業として建て替えが行われるWAKOビルの外観デザインが完成した。市の施設や商業施設が入居する低層階には大きさの異なる窓や、4階までのガラス張りの開放的な空間を設置。視覚から楽しさが伝わる魅力あるデザインとなった。

 全体事業は「NAアーバンデベロップメント」(布村隆二社長)が実施主体。新ビルは地下1階、地上16階建てで、5階以上が80戸程度のマンション、4階以下に市の施設、商業施設などが入居する。

 デザインは、マンション事業を担う「フージャースコーポレーション」(東京)が道内初進出の物件として話題性や魅力のあるビルにしたいと、「光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所」(東京)に依頼。大阪で建設中の「あべのハルカス」や、羽田空港国際線旅客ターミナルビルなどを手がけた実績がある。

 商業施設が入る1、2階部分には開放的な大きな窓が設けられ、吹き抜けの空間、赤い壁面などが印象的なデザインとなった。同事務所広報は「これまでの古い印象を変えて函館の街並みにもなじむものをとの思いを受けて参画した。にぎわいを生み、函館市民に受け入れられる建物になってほしい」とする。

 布村社長は「他にはないデザインで、駅から見て行ってみようという興味を引く外観。面白さを発信するビルとしていきたい」と話している。現ビルは来年1月から10月上旬にかけて解体工事が行われ、その後に新ビルを着工。北海道新幹線が開業する2016年3月に低層階の施設部分を開業、同年秋にマンション部分の供用開始を目指している。(今井正一)


◎「事故ゼロへ」力つけて  園児らもちで激励…五稜郭タワー交通安全祈願

 五稜郭タワーは27日、タワー1階のホールで冬期交通安全祈願祭を開いた。地域住民や周辺の商業者らの代表約30人が出席し、冬期間の交通事故防止を誓い合った。保育園児によるもちつきもあり、函館中央署につきたてのもちをプレゼントした。

 タワー周辺は交通量が多く、観光バスやタクシーも立ち寄ることから、毎年祈願祭を開いている。神事で中野豊社長らが玉ぐしをささげ、地域の安全と事故ゼロを祈った。となりのアトリウムではもちつきが行われ、鍛治さくら保育園の園児が交通安全の願いを込めてきねを振りおろした。

 園児らはつきたてのもちを持って函館中央署(佐藤邦昭署長)を訪問。交通第一課や警務課の警察官にもちを手渡した。年長の熊谷真歩ちゃん(6)は「もちを作ることができ、楽しかった。警察官も格好良く、優しかった。これからも事故に気を付けたい」と笑顔だった。(松宮一郎、小林省悟)