2013年12月5日 (木) 掲載

◎函館出身の北大生・山村さん、「まちセン」テーマに卒論

 函館出身で北海道大学文学部4年生の山村李絵さん(22)が函館市地域交流まちづくりセンターの活動をテーマに卒業論文の執筆を進めている。夏から同施設に足を運び、スタッフや利用者への聞き取り調査を実施。さまざまな世代の利用がある市民活動拠点の魅力を探っている。

 山村さんは昨年、別の研究で訪れた「まちセン」の活動に興味を持ち、卒論テーマを「市民活動支援センターが果たす地域コミュニティーの場としての役割と可能性」と設定。論文の提出期限は今月20日で、4日で函館での調査を終えた。

 同センター長の丸藤競さん(49)は「学生から施設について質問を受けることはあるが、卒論テーマとして取り上げてもらうのは初めて。非常に熱心で、若い人に注目してもらえるのはうれしい」と喜ぶ。

 山村さんは運営体制を中心に調査する中で、札幌市内の類似施設とは違い、市民団体関係者や住民、観光客が交流し、コミュニティーの場としての側面が強いことに関心を持った。「利用者は『居心地の良い場所』と言うことが多く、私自身もそう感じるようになった。利用者とスタッフとの密な関係があるこの場所から、新しいまちづくりが生まれる可能性をまとめていきたい」と話す。

 丸藤さんは「自分たちの内側の目線で語る機会はあるが、第三者がまちセンをどのように見ているのかを知ることはこれからの活動の栄養剤になる。論文の完成を楽しみにしています」と話す。

 大学卒業後は函館市内での就職が決まっている。山村さんは「高校時代までは何もない街だと感じていましたが、研究を通じて、函館の魅力的な部分が見えてきた。まちセンにも遊びに来たい」と話していた。(今井正一)



◎大門地区に22台の防犯カメラ

 函館市大門地区の商店などでつくる「函館都心商店街振興組合」(渡辺良三理事長)が、同地区内に22台の防犯カメラを設置する。交通量の多い交差点や商店街周辺を撮影でき、犯罪の抑止効果などに期待が高まる。

 同地区には高齢者施設が点在し、函館港まつりなどのイベント時には多くの人が押し寄せる。また、この数年の間に物損事故が相次いだほか、今年6月には放火もあり、防犯対策が急務。同組合は、商店街だけでなく市民の安全性を高めようと、中小企業庁の助成を受けて10月から防犯カメラの設置を進めてきた。

 防犯カメラはドーム型で視野が広く、周囲を見渡すように撮影。駅前アーケードや交差点、道路などを広くカバーするよう調整している。映像は犯罪や事故などが起きた際に警察に提供する。

 若松町会の本間信太郎会長は「函館にはこれまでこうした防犯カメラはなく、頼もしく感じる」と話す。

 同組合の川上誠専務理事は「大門地区は函館の表玄関なので、観光客や市民の安全確保につなげたい。こうした取り組みを続け、商店街だけでなく西部地区全体を盛り上げ、次世代へと受け継いでいきたい」と力を込める。13日までにカメラの取り付けを終え、周辺町会なども参加して視察を行う予定。(虎谷綾子)



◎スルメイカ 11月は好漁

 道南スルメイカ漁は11月が順調な水揚げで、函館市水産物地方卸売市場(豊川町)での取扱量が前年比3・1倍の1161トンとなった。下旬に突出した水揚げがあり、月間数量を押し上げた格好。今月も水温が急激に変化しなければ、漁場形成が続きそうだ。

 市農林水産部によると、今年6〜11月の取扱量は11月の好漁を受けて前年並みの3652トンまで盛り返した。

 イカが南下して函館近海に漁場を形成する11月の取扱量は2008年以降、毎年1000トン超に達していたが、12年は「夏枯れ」が秋にずれ込んで373トンの極度の不漁となった。

 13年11月は、23日に103トン、24日に167トン、25日に285トンとなり、下旬だけで月全体(1161トン)の66%の水揚げがあった。11月が今季の月別ピークとなる可能性もある。25日の285トンが目立っており、市市場課は「平成に入って1日の数量としては最高」という。

 平均単価は前年比4%安の1キロ313円にとどまった。これまでの不漁を受けて、加工業者が原料手当てに動いたことが要因とみられる。

 道総研函館水試(湯川町)の澤村正幸研究主任は「日高方面から南下の群れが函館周辺に来遊してきたのは間違いない。4日もある程度捕れているので、このまま漁場形成が続くと考えられる」としながらも、「水温が急激に下がると、群れの通過が早まって漁期が短い期間で終わってしまう可能性がある」と指摘する。(山崎大和)


◎日銀・佐藤審議委員が来函、地元代表と意見交換

 日本銀行の佐藤健裕審議委員が4日、函館市内のホテルで開かれた金融経済懇談会に出席するため函館入りし、地元の行政や経済界の代表と意見交換した。佐藤審議委員は「新幹線開業を見据えた青函連携、6次産業化の推進などさまざまな取り組みが実を結び、息の長い成長につながることを期待している」と述べた。

 懇談会は地方経済の現状を把握し、地域の声を日銀の政策に反映させるため、全国各地で開いている。函館での開催は2011年9月以来。地元側からは工藤寿樹市長をはじめ、松本栄一函館商工会議所会頭、金融機関、業界団体の代表ら13人が出席した。

 佐藤審議委員が冒頭、国内の経済、金融情勢と今後の見通しを説明。また、マネタリーベース(資金供給量)をはじめとした最近の金融政策運営についても語った。出席者からは「水産加工業が原料の不漁による仕入れコストの増加や、燃料価格の高騰で厳しい収益環境にある」という指摘があった。また、観光業の回復、公共工事の増加を受けた建設業の景況感の改善など道南経済の現状を伝えた。

 懇談会終了後の記者会見で、佐藤審議委員は「所得環境が依然厳しく、個人消費は力強さに欠ける状態を脱しているとは言えないと感じた」と語った。その一方で、「個人消費や生産など厳しい面が残るものの、道南経済は着実に持ち直している」と述べた。また、道南の成長戦略について「観光地として高い知名度がある。その強みを生かし、国内外に質の高い水産物を積極的に宣伝・販売していくことが有効だ」とした。(松宮一郎)