2013年1月12日 (土) 掲載

◎8010号車出発 市電新車両が運行開始

 函館市企業局交通部は11日、車体更新車両「8010号車」の運行を開始した。車体側面には函館市電の運転士キャラクター「松風かれん」のラッピングと「路面電車開業百年」のロゴが施された。カメラを構えた大勢のファンが運行開始を見守り、真新しい車両に乗り込んだ。

 8010号車は昨年4月から運行している「8009号車」に続き、主力車両の「8000形」は10台目。旧「811号車」の台車や機器類を流用し、車体のみを「アルナ車両」(大阪府摂津市)で製造。同12月から運行開始に向けて準備を進めてきた。

 また、「松風かれん」は玩具メーカー「トミーテック」(栃木県)による全国の鉄道会社の制服を着た女性キャラクターが活躍する「鉄道むすめ」の一人。同日スタートした全国15カ所をめぐるスタンプラリー「全国鉄道むすめ¥р閧Qnd」(9月30日まで)と連動。特別仕様のラッピングは2月10日までを予定する。

 駒場車庫前には大勢の路面電車ファンが訪れ、第1便は約30人を乗せて午前9時55分に駒場車庫前を出発。車内ではファンが撮影を楽しんだり、乗車証明書の配布や、記念グッズの販売も行われた。

 紋別市から訪れた堀内裕史さん(30)は「新車の塗装を楽しみにしていた。歴史ある建物を背景に走る函館市電は写真や映像で見ても楽しい。今日は電車に乗って街の風景を楽しみたい」と話した。転勤族で函館在住4年目という男性(43)は「市民の足として高齢者にも優しい乗り物。函館の日常風景としていつまでも走っていてほしい」と話していた。(今井正一)



◎鬼瓦を雪から守れ 箱館奉行所で屋根の除雪

 今年は鬼瓦を雪から守ります—。箱館奉行所(五稜郭町)で10日、屋根の雪下ろしが行われた。昨冬は大雪の影響で屋根に取り付けられている1枚10万円相当の鬼瓦が折れたため、対策に乗り出した。

 鬼瓦は数少ない福井県の「鬼師」と呼ばれる職人が1カ月以上かけて作るもので、奉行所では大小20枚が取り付けられている。

 しかし昨冬は、屋根の除雪をしなかったため重さに耐えきれずに地面に落ちて壊れた。観光客が出入りする玄関の屋根は丹念に除雪していたが、建物全体を支える幅約30メートルの屋根は危険性を考慮して除雪していなかったという。

 このため今冬は、雪が大量に積もる前に除雪。市内の業者が長さ12メートルの移動式クレーンに乗りながら、鬼瓦の周辺部分をプラスチックのスコップで傷つけないように取り除いていった。

 奉行所の沼崎孝男館長は「昨年は様子見で除雪をしなかったことが裏目に出た。屋根の面積が広いため除雪方法はまだ試行錯誤の段階だが、鬼瓦は高価なものなのでなんとか守りたい」と話していた。(後藤 真)



◎スルメイカ前年比15%減 今季の漁終了

 函館近海での今季のスルメイカ漁が終了した。函館市水産物地方卸売市場(豊川町)が昨年6〜12月に取り扱ったスルメイカは前年比15%減の3999トン(1月は入荷なし)、金額(同)は同20%減の10億8000万円。量、金額とも平成に入って最低で、漁業者にとって厳しい結果となった。

 6月1日に解禁、漁期は1月末まで。しかし、今年1月は11日現在、同市場への入荷がなく事実上の終漁だ。

 市農林水産部によると、同市場での月別取扱量は6月240トン、7月496トンと好漁が続き、8月が年間ピークとなる1385トン。日本海側での豊漁と8月に夏枯れがなかったため好漁のまま前半終了。

 後半は夏枯れの開始が非常に遅く、9月に入っても太平洋側の北上群が捕れ続けて814トン。ところが10月に入り一気に夏枯れが始まって375トン、これが終盤まで続いたため11月373トン、12月316トンと低迷した。

 函館市漁協(橘忠克組合長)は「盛漁期の10〜12月が振るわなかった。しけで出漁できず悪条件が重なった」とする。

 道総研函館水試(湯川町)によると、今季は夏枯れが長引いたことや、夏以降、道南太平洋に漁場が形成されなかったという。12月中〜下旬に南下群のピークが来たものの、水温が急激に低下したため群れが早く通過してしまい、しけも重なって後半の漁獲量が伸びずに終わった。

 澤村正幸研究主任は「今季は漁場形成が特異な年だった。資源量は高い状態を維持しており、漁場形成さえうまくいけば一定量の漁獲が見込めるだろう」と話している。(山崎大和)


◎函館市 新年度予算編成に苦慮

 昨年12月に総選挙が行われ、政府の2013年度予算編成が越年したことで、函館市の予算編成にも遅れが生じている。政府予算とともに示される地方財政計画が決まっておらず、歳入の柱となる地方交付税額などの見通しが立たないため。市は歳入に占める地方交付税の割合が高いだけに、「組める歳出も組めなくなる可能性がある。早く計画を示してほしい」と話している。

 地方財政計画は、地方公共団体の歳入歳出総額の見込額を示す。例年12月に発表され、各自治体は地財計画を踏まえて予算編成を行っている。

 市の予算編成は例年、年内に各部局が財務部に要求し、同部内での調整と市長査定を経て2月中旬に公表、同月下旬に開会する定例市議会に提案される流れ。今回は地財計画が未定のままで、歳入が見通せない中での編成作業となっている。

 市税収入が伸び悩む中、市は本年度当初予算で358億円の地方交付税を組んでおり「一般財源の半分以上を占め、一番の弱点」(市財政課)と依存度が高い。加えて当初予算では、一般家庭の貯金に当たる基金を20億円取り崩して赤字をしのいでおり、ほぼ底をついた状態。「行財政改革プランを作ったばかりの時期に歳入に影響を及ぼすことも、市民サービスに影響を及ぼすことも避けたい」(同)と悩みは深い。

 現段階では地財計画の発表を待って編成するか、本年度の地方交付税額をベースにして発表後に調整するかを、政府の進捗(しんちょく)状況を見ながら判断する考えだ。

 また、予算編成のずれ込みに加え、政府が11日に閣議決定した緊急経済対策を盛り込んだ大型補正予算を優先させている点も悩みの一つ。同部の大竹教雄部長は「緊急経済対策が本年度補正予算で組むことになるのか、新年度当初予算となるかが見えていない。今月末までに示してもらいたい」と、政府の動向を注視している。(千葉卓陽)