2013年1月14日 (月) 掲載

◎寒中みそぎ祭り開幕、氷点下で荒行

 【木古内】今年で183回目を迎える「寒中みそぎ祭り」が13日、佐女川神社(野村広章宮司)で開幕し、豊漁豊作、地域の繁栄を祈願する行修者4人が水ごりで心身を清めた。15日の最終日まで昼夜を問わない水ごりが続けられる。

 今年の行修者は、別当の専門学生、久保田翔さん(20)、稲荷の大学生、藤原哲朗さん(21)、山の神の消防士、宮下知哉さん(21)、弁財天のJR職員、高橋駿さん(21)の4人。

 参籠報告祭は午後6時から同神社で執り行われた。野村宮司が祝詞を読み上げ、行修者が厳しい鍛練に入ることを神に報告。関係者が玉ぐしを捧げるなどし、祭りの成功を祈願した。その後、下帯姿の行修者が境内に出て、「行くぞ」などと威勢の良い声を掛け合いながら、冷水を浴びて身を引き締めていた。

 氷点下1度の寒さの中、多くの観客も訪れ、行修者の神々しい姿に「頑張れ」と歓声を送っていた。(小杉貴洋)



◎希望と責任胸に、北斗で成人式

 【北斗】成人の日(14日)前日の13日、道南6市町で成人式が行われた。北斗市は市総合文化センターで開かれ、振り袖やスーツ姿の新成人約400人が晴れやかに式典に臨んだ。

 今回7回目の式典。今年の市の新成人(1992年4月2日〜93年4月1日生まれ)は461人。

 式典では、市教委の吉元正信委員長が「大きな未来と希望を持って船出する新成人の前途に期待しています」と式辞。高谷寿峰市長は祝辞で「困難に直面しても自分の力で乗り越えるんだという気概と意気込み、そして大志を抱きチャレンジしてほしい」とエールを送った。

 新成人を代表し、実行委員長の及川茉衣さん、副実行委員長の佐々木健太さんが「これから自由な選択ができる一方で責任が伴うことも忘れず、明るい未来をつくりあげたい」と誓いの言葉を述べた。

 アトラクションでは、中学校時代の担任教諭のメッセージを収録したDVDを観賞。恩師の温かい祝福の言葉に、新成人は懐かしい思いで聞き入っていた。

 式後は交流会が設けられ、久々に再開した友人と歓談したり、記念写真を撮り合うなど楽しいひとときを過ごした。

 札幌市の専門学校生、山村勇貴さんは「親に感謝の気持ちでいっぱい。4月から内定した会社に勤務するので仕事を頑張り、親に仕送りできるようにしたい」、函館市内の看護学校生、加藤裕帆さんは「看護師を目指して頑張ります」とそれぞれ抱負を語っていた。

 13日は北斗市のほか七飯、森、知内、長万部、江差の各町でも成人式が行われた。14日は函館市で成人祭が開かれる。(鈴木 潤)



◎カネサク大出商店、庶民の味守り100年

 昔ながらのイカ塩辛を製造する函館市の老舗メーカー「カネサク大出商店」(大手町20、大出年子代表)が、1913(大正2)年の創業から今年で100年の節目を迎えた。鮮度のいい地場のスルメイカを原料に、庶民の味≠提供し続けて1世紀。松田康嗣工場長(65)は「老舗としてこの味とブランドをずっと守り続ける」と感慨を新たにしている。

 巨大な杉樽がいくつも並ぶ工場の熟成室。松田工場長は、砂糖やイカの内臓などにじっくり漬けたイカをかきまぜながら、発酵状態の確認に余念がない。「樽は水分除去など発酵に適しているが、カビが発生しやすい。気が抜けません」と表情を引き締める。

 同社は、海産物を商っていた山崎作次郎氏が創業。当時から函館は、日本海や太平洋を北上するイカが一年中水揚げされた。本州の漁業者も行き来する中、イカを使った水産加工品が誕生。その一つが塩辛だった。

 アミノ酸が豊富な塩辛は栄養バランスが良く、保存食として早くから庶民に愛された。戦後も、石炭産業や農地改革を支えた労働者が腹ごしらえに食べたと伝えられる一方で、「戦中は戦略物資として軍人に重宝された」(松田工場長)。

 高度成長時代の50年代後半、冷蔵庫が普及すると、後年冷凍技術も発達。水揚げ後すぐに凍らせる「船内急速冷凍」が誕生し、イカの鮮度維持は飛躍的に向上した。

 欧米料理の普及に伴い、日本人の食生活も徐々に変化し、甘い物を好む人が増加。松田工場長によると、その傾向は塩辛も同様で、特にここ数十年間で流通した塩辛は大半が甘みのある現代人向きだが、「うちの塩辛は昔ながらのしょっぱさが根強い人気」と分析。「爆発的に売れるわけではないが、いつの時代も気付けば売り場から商品が消えている。それがカネサクの塩辛です」。松田工場長は誇らしげに語る。

 近年は食品添加物を使わない新商品として「いかと砂糖と塩で造った塩辛」を販売したが、主力は昔からの味を守り続ける、定番の塩辛だ。函館をはじめ道内の大手スーパーなどを中心に、東北や関東圏にも展開し続ける。

 松田工場長は「100年続けてこられたのはお客さんがいたから。私も常にお客さんの顔を思い浮かべながら商売してきた」と振り返り「これまでと変わることなく110年、120年と伝統の味を提供し続ける」と話している。(長内 健)


◎旧公会堂、新年度に耐震診断

 函館市教委は、国の重要文化財(重文)に指定されている旧函館区公会堂(元町)の耐震診断を、新年度に実施する方向で検討を進めている。大規模改修から約30年が経過し、老朽化が進んでいるため。耐震診断後には2カ年かけて保存活用計画を策定する予定で、大規模改修も視野に入れながら、西部地区のランドマークとして親しまれる建物を長く後世に残していく考えだ。

 公会堂は1910(明治43)年、函館大火で焼失した町会所に代わる施設として建造。木造2階建てで、青みがかった灰色と黄色の塗装が特徴的な和洋折衷の建築様式で、74年に重文に指定されている。

 80〜82年には3億5500万円をかけ、部分解体を含む大規模改修を実施したが、現在は外壁のはがれや柱の腐食、雨漏りが目立つ状態。市は11年度に500万円をかけて、大規模改修に向けた本格調査を実施している。

 市教委によると、文化庁は東日本大震災を受けて、重文を補修する際に耐震診断が必要とする指針をまとめており、公会堂も耐震診断を経て14、15年度の2カ年で保存活用計画の策定を計画。必要な場合に耐震工事を行うとともに、改修内容やバリアフリー化なども検討していく。耐震診断、保存計画ともに国から50%、道から25%補助を受けて実施を進める考え。

 市教委文化財課は「函館山の麓で雪も多く、傷みが激しい。必要に応じて外部団体からも意見を聴きながら取り組んでいきたい」と話している。(千葉卓陽)