2013年1月16日 (水) 掲載

◎極寒の海で祈り

 【木古内】町佐女川神社の伝統神事「寒中みそぎ祭り」は15日、行修者4人が極寒の海に飛び込む「海水沐浴(もくよく)」でクライマックスを迎えた。会場には3000人の観客が足を運び、若者たちの勇ましい姿に惜しみない拍手を送っていた。

 13日から佐女川神社にこもり、昼夜を問わない水ごりで心身を清め「海水沐浴」に臨んだ行修者は、別当の専門学生、久保田翔さん(20)、稲荷の大学生、藤原哲朗さん(21)、山の神の消防士、宮下知哉さん(21)、弁財天のJR職員、高橋駿さん(21)の4人。

 この日の気温は氷点下3度、海水温が7・5度(午前11時現在)。正午前にみそぎ浜に姿を現した4人は、ご神体を抱え海に向かって走り出した。大漁旗を掲げた漁船や多くの観客が見守る中、行修者はご神体を清めるため沖で水を掛け合い、豊漁豊作、地域の繁栄を祈った。

 海から上がった行修者は最後の水ごりに挑み、4年間の大役を終える久保田さんが何度も水をかぶると、大歓声が上がっていた。並行して行われた「みそぎフェスティバル」では、町特産の「はこだて和牛」をPRするイベントも初開催され、数量限定で提供されたサイコロステーキや焼き肉、こうこう汁は用意分計1200食が飛ぶように売れ、すぐに追加販売が決まった。

 札幌市の主婦、三上容子さん(68)は「友人に誘われて来てみたが、若い人の頑張る姿を見て涙が出た。水も掛けていただいたので縁起が良さそう」と話していた。(小杉貴洋)



◎伏せ込みアスパラ初出荷

 【厚沢部】厳寒期の町内農家の貴重な収入源となる「伏せ込み栽培」のグリーンアスパラガスが15日、初出荷された。例年並みの18`で、16日に市場価格が決まる予定。関係者は「いいアスパラなので高値になれば」と期待している。

 国内産の流通が少ない時期に出荷でき、町内では厚沢部町農業振興公社(進藤貞夫社長)と農家2戸が取り組む。同公社では、ハウス2棟(約660平方b)に1万5000株を栽培している。

 2重3重のシートを覆ったビニールハウス内は暖房などで20度前後を維持し、根元付近の土壌にも電熱線がある。

 今季は寒さの影響で収穫が10日ほど遅れたが「ここ数日の青空でよく伸びてきた。味も上出来」と同公社。伏せ込み栽培は、春から秋に露地圃場(ほじょう)で根株を育て、11月下旬に掘り上げて12月にハウス内に伏せ込む。

 収穫は3月20日ごろまでで、同公社の米谷勝雄次長(63)は「甘さがあっておいしいよ」と紹介している。 (田中陽介)



◎雇用情勢上向き 就職率アップ 3月高校卒業予定者

 函館公共職業安定所は、渡島、桧山管内の3月の高校卒業予定者の就職状況をまとめた。2012年11月末現在の就職内定率は、前年より5・3ポイント増え57・6%となった。同時期では過去10年で最も高かった2008年と並ぶ高い水準で、高校生の雇用環境に改善傾向がうかがえる。同職安では2月に就職面接会を開くなどして内定率のアップを図る考えだ。

 渡島、桧山管内の高校生の同時期の内定率は、08年度が57・6%。09年度はリーマンショックの影響を受けて47・1%に低下。10年度は52・1%となったが、リーマンショックの影響が続き、求人数が大幅に減少したため、就職から進学に切り替えた生徒も増加した。

 雇用状況が上向きだしたのが11年度で、52・3%に上昇。2012年11月末は57・6%となり、過去10年で最高だった08年度と並んだ。

 求職者数は前年比2・6%増の1072人。生徒数自体が減少する中、11年度から増加に転じており、「リーマンショック以降、就職難が続いていたが、雇用情勢が上向いたことで、就職に目を向ける生徒が増えた」(同職安)。

 一般の雇用情勢も9月から有効求人倍率が0・6倍台を維持しているほか、11月まで30カ月連続で前年を上回るなど持ち直しの動きを続けており、同職安では「雇用情勢全体が上向いており、結果として高校生の就職率上昇につながっている」と分析する。管内の求人数も692人で、過去10年では最多となった。

 ただ、就職が決まっていない生徒も多い。函館市内のある高校の進路指導担当は「低賃金や待遇など雇用条件の現実から、就職できない、就職を諦めてしまう生徒も依然多いようだ」と指摘。「生徒の希望を踏まえつつ、積極的に職を紹介していく」と話す。

 同職安も2月7日に本年度2回目となる就職面接会を開くほか、「企業には求職者の情報を、学校側には求人情報を提供し、就職未定者を減らしていきたい」としている。 (松宮一郎、長内 健)


◎鹿部町長選 無投票の公算大

 【鹿部】任期満了に伴う鹿部町長選と町議選(2月5日告示、同10日投開票)の立候補予定者説明会が15日、町役場で開かれた。町長選では3選を目指す現職の川村茂氏(62)の陣営以外に出席者はおらず、無投票の公算が大きい。

 説明会には、川村氏の陣営のほか、町議選に立候補を予定している10陣営の関係者が出席。町選挙管理委員会の小林勝昭委員長が「ルールを守り、違反のない選挙の執行にご協力いただきたい」とあいさつ。続いて森署などが選挙運動の注意点を説明した。 川村氏は昨年9月、北海道新幹線開業を見据え、間歇泉公園を中心とした観光拠点づくりや漁業振興などを重要課題に挙げ、3選を目指して出馬を表明していた。現段階では他に立候補の動きはなく、無投票となれば、2005年の前々回選挙以来となる。

 昨年12月2日現在の選挙人名簿登録者数は3746人(男性1806人、女性1940人)。 (森裕次郎)