2013年1月25日 (金) 掲載

◎市電723号、レトロな街並みにぴったり

 広告入りのカラー電車として昨年12月まで走行していた函館市電「723号車」が昭和40年代の市電標準色に塗り替えられて運行している。レトロな街並みに溶け込む姿で路面電車ファンや観光客らを楽しませている。

 市交通部によると、723号車は当時の主力「710形」の1台として1962年に製造。昭和40年代はアイボリーとライトグリーンの2色に塗り分ける標準色の車両が多かったが、75年以降、カラー電車に転用されたために徐々に姿を消した。

 標準色で走行しているのは「812号車」に続いて2台目。広告のない車体を生かし、テレビドラマの撮影に使用されるなど、活躍の機会もふえているという。

 市交通部は「西部地区の風景や街のイメージにも似合う。古いカラーリングを市民の皆さんに懐かしいと感じてもらえれば」としている。(今井正一)



◎函館産酒米で焼酎、カネス杉澤事業所が販売

 建設業のカネス杉澤事業所(函館市西桔梗町、杉澤光雄社長)は、函館産の酒米を使った初めての焼酎「北の星」の販売に乗り出している。市内ではこれまで地酒がなかったため新たな名物を作ろうと構想し、市内で限定発売している。同社は「プレミアム感あふれる商品に仕上がった。さわやかな味わいを楽しんで」と話している。

 米焼酎は、市が休耕田対策として2010年にNPO法人「亀尾年輪の会」に生産委託した酒米「吟風」(ぎんぷう)を用いた一品。吟風の加工先として同社が名乗りを上げて酒類販売の免許を取得、グループ企業「天海」が商品開発を手掛けた。酒米約2dを買い取って札幌酒精工業厚沢部工場に製造を委託、約2400本造った。

 当初は日本酒も検討したが、市内に酒蔵がなく、道内産の米焼酎が珍しいこともあって、焼酎に決定。「道産米のブランド力が上がっており、他地域や既成品との差別化を図った」(同社)とする。

 3年がかりで生まれた「北の蔵」は米麹(こうじ)だけで造った「全麹仕込み」が特長。函館の北緯にちなみ、アルコール度数をウイスキー並みの41度と高く仕上げており「高い度数の割にフルーティーに仕上がった。好きな人はロックで、香りを楽しみたい人は湯割りがお薦め」。布製のラベルは取り外すとコースターとして使え、観光客が函館訪問の記念にしてほしいとの願いを込めた。

 720ミリリットル入りで3500円。昨年末から函館空港、函館山ロープウェイの売店、はこだて海鮮市場(豊川町)と同社で販売している。

 昨年は別の生産者に作付を依頼して約8万dを収穫しており、来年以降は毎年1万本ペースで製造販売していく方針。問い合わせは同社TEL0138・86・5573。(千葉卓陽)



◎3月3日に函館で「平和の日」の集い、北海道初

 日本ペンクラブ(浅田次郎会長)が主催する第29回「平和の日」函館の集いが3月3日、函館市民会館(湯川町1)で開かれる。24日に函館市役所で行われた記者会見で、同クラブ会員で作家の新井満さん(七飯町在住)は「石川啄木ゆかりの地で開催できるのは大変意義深い。ぜひ大成功させたい」と意欲を見せた。

 同クラブは英国ロンドンに本部を持つ「国際ペン」の日本センターで、言語表現の自由を守る目的で、1935年に島崎藤村を初代会長として創立。84年からは3月3日を「平和の日」と定め、毎年各地で講演会や対談形式のイベントを行っている。  今回は市制90周年を記念し、道内の初開催地として函館が選ばれた。テーマは「平和の日に想う 環境・ことば・歴史・まつり」で、浅田会長や新井さんをはじめ、俳人の黛まどかさん、北海道アイヌ協会理事の秋辺日出男さんら8人のゲストが、2人ずつバトルトークを行う。

 中でも注目されるのは、浅田会長とタレントの中村敦夫さんによる「原発」についての対談。新井さんは「大間原発が問題となっている函館でどのような議論が交わされるか注目してほしい」と話している。

 函館の集いは、午後1時開演で同4時40分終了予定。入場は無料で参加希望者は往復ハガキまたはEメールに住所、氏名、同行者氏名(1人まで)、電話番号などを記し、「〒040・8666 函館市教育委員会生涯学習文化課」、もしくは「heiwa.hako@city.hakodate.hokkaido.jp」宛てに送る(先着順)。

 問い合わせは同課電話0138・21・3464。(小川俊之)

 


◎介護施設で78人ノロ感染

 市立函館保健所は24日、介護保険施設で入所者67人、職員11人の計78人がおう吐や下痢などの症状を訴え、80代の女性1人が嘔吐(おうと)物が原因の誤嚥(ごえん)性肺炎により死亡したと発表した。複数の有症者からノロウイルスが検出された。78人が発症した集団感染は、市内では統計を取り始めた2006年度以降で最も多い。

 同保健所によると、同施設では9〜24日にかけて有症者が発生。80代女性は14日に死亡した。18日に同保健所に通報し、24日に便検査をしたところ12人中11人からノロウイルスが確認された。77人は現在、回復または快方に向かっている。感染経路は調査中。

 同保健所は同施設に対して入所者の健康状況の把握や手洗い、うがいの徹底を呼び掛けた。改行 ノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団感染事例は本年度12件(24日現在)で、昨年度の6件を大幅に上回っている。

 同保健所は予防法として排便後や調理、食事前、帰宅時などのこまめな手洗いを呼び掛ける。また「施設で集団感染が発生した場合は早めに保健所に通報してほしい」と話している。