2013年1月30日 (水) 掲載

◎新函館駅4月着工へ 建設工事の業者決まる

 2015年度に開業する北海道新幹線の新函館(仮称)駅舎建設工事の業者が、準大手ゼネコンと地元企業でつくる「三井住友建設・アイサワ工業・森川組(函館市)共同企業体(JV)」に決まった。4月にも着工予定で、15年6月までの完成を目指す。駅舎に地元木材を活用するなど道南から提出した要望について、建設主体の鉄道・運輸機構北海道新幹線建設局(札幌)が2月7、8両日、道などに対し設計内容を説明する。

 同機構によると、応札したのは同JVのみ。予定価格36億2420万円に対し35億5000万円で落札。落札率は98・0%。

 工期は2年4カ月で、駅舎部分4200平方メートルと、ホーム上部に設置する旅客上屋5300平方メートルを新設。また、木古内駅建設工事は昨年末、地元企業を含む大林・伊藤・松本JVが19億4810万円(予定価格21億9880万円)で落札。4月にも着工予定。

 新函館の駅舎建設をめぐっては、北斗市がセメントなどの材料を地元から調達することや、壁材などに道南スギを活用することを要望。渡島総合振興局や桧山振興局、道南18市町、道南木材協会でつくる検討会(会長・喜多紀章渡島総合振興局林務課長)も昨年6月、内壁や天井、手すりなどに地元木材を利用するよう提案書を出している。

 一方、木古内駅は2階にホームがあるため、木古内町がエスカレーター設置を強く要望しているほか、12年3月に閉校した旧木古内高生徒が駅舎デザイン選びに関与したことから、生徒の名前を記した記念プレートの設置も求めた。

 外観デザインは昨年度に両駅とも決定しているが、既に終えた設計については機構は明らかにしておらず、要望がどの程度反映されたか注目される。同7日に木古内町と道、同8日に北斗市を訪れて詳細を説明する。(松宮一郎、山崎大和)



◎アレルギー対応「復興カフェ」常設化

 函館の市民団体「夢と声で未来を創るユメこえ」(川村陽子代表)が2月1日、杉並町20に「復興カフェ・イン・ミューズ」を移転オープンする。アレルギー対応の食事を提供し、全メニュー原材料表記するのが特徴。念願の常設店を持つことで、活動に弾みが付きそうだ。

 復興カフェは、市青年センター(千代台町)の相談室で火・金曜に開催していたが、一時的な出店ではない常設店を開く目標を持って場所を探していた。川村さんが夜間営業しているミューズの鳴海幸生オーナーと知人だったため、使っていない昼間の時間帯を提供してもらうことにした。

 料理は、札幌のオーガニックレストラン元シェフでユメこえ副代表の高島啓之さん(43)が腕を振るう。ユメこえは昨年から卵、牛乳、小麦を使わないメニューの作り方を教える料理教室を開いており、カフェで提供する飲食物もアレルギー対応にこだわる。

 アレルギー対応メニューは米粉パンケーキランチ(1080円)、米粉野菜パンケーキランチ(同)、豆乳クリームのピザランチ(880円)など。また、妊婦や赤ん坊も飲めるノンカフェインの「たんぽぽコーヒー」や「オーガニックルイボスティー」など飲み物は全て350円。

 売り上げの一部は被災地に募金として届ける。高島さんは「函館でアレルギー対応の飲食店は珍しいので、気軽に足を運んでもらえれば。ママと子どもに優しい店を目指します」と話している。

 月〜土曜の午前11時〜午後3時。問い合わせは同時刻が同店電話0138・55・1153、それ以外は高島さん電話090・8371・5554へ。(山崎大和)



◎道南と東北 人材交流へ

 2015年度の北海道新幹線開業を見据え、北海道運輸局函館運輸支局は、道南地域と東北の観光関係者らとの人材交流事業に乗り出す。第1弾は22日から24日まで東北エリアの観光のキーパーソンを招き、道南各地をめぐるツアーを行う。観光資源を紹介したり、地域の関係者らと意見交換するなどして道南の観光振興につなげる考えだ。同支局では「民間事業者同士の交流のきっかけにしたい」と話している。

 事業名は「北海道道南・東北観光関係者交流連携事業」で、道運輸局として初めての取り組み。北海道新幹線新函館開業対策推進機構や新幹線木古内駅活用推進協議会などが協力する。

 開業後の誘客に向け、埋もれている観光資源の掘り起こしと磨き上げが狙い。東北各県で観光事業に携わる人と札幌の旅行会社関係者ら合わせて20人ほどを招く。旅行会社には商品の開発に生かしてもらうほか、「東北の観光関係者の情報発信力に期待したい」と同支局。

 ツアーは22日夜の函館市元町の教会群通り散策でスタート。23日は江差町の山車会館などをめぐるほか、松前町ではまち歩きと松前漬け作りを体験。24日は福島町の青函トンネル記念館や知内町の「カキ・ニラまつり」を視察する。

 近隣の自治体の観光関係者を集めた意見交換会も予定しており、外からの視点で道南観光を評価をしてもらう。同支局では「東北エリアとの交流、ネットワークの構築を今から図ることで開業に間に合わせたい」としている。(松宮一郎)


◎安心ボトル 対象拡大

 函館市は65歳以上の一人暮らし高齢者に「安心ボトル」を無料で配布していたが、2月から家族が長期入院や施設に入所するなど、実質的な一人暮らし状態にある65歳以上も対象に加える。追加の対象者を把握しづらいことから、配布方法を戸別訪問から市役所での窓口に切り替える。

 実質一人暮らしに近い高齢者が多数いることから対象を拡大した。家族が仕事などで長時間家を空ける場合も配布対象とし、市は「柔軟に対応したい」とする。

 配布場所は市役所本庁舎または各支所。身分証明できるものを持参し窓口で手続きすると、その場で受け取れる。代理手続きも可能。従来の対象だった独居高齢者も今後は窓口で受け取ることになる。

 市高齢福祉課は「民生委員らによる戸別訪問時に実質的に1人で暮らす高齢者がたくさんいることが分かった。万が一のときに必要なものなので、有効活用してほしい」としている。

 市は昨年9月に初めて安心ボトルを配布し、戸別訪問により約1万6000本を配り終えた。病院への救急搬送時に安心ボトルを医療機関に渡したケースは今月15日現在で31件に上るという。

 安心ボトルは長さ20センチの円筒状のプラスチックケースに、かかりつけ医や持病、服用薬などを書いた紙と保険証や診察券のコピーなどを入れ、冷蔵庫内で保管するもの。(後藤 真)