2013年1月6日 (日) 掲載

◎家賃補助「ヤングカップル」衣替え 子育て世帯の定住促進図る

 函館市は新年度から、中心市街地での子育て世帯の定住化を図る事業に着手する方針だ。新婚世帯に家賃を補助する、既存の「西部地区ヤングカップル住まいりんぐ支援事業」を衣替えし、西部地区限定から範囲を拡大して取り組みたい考え。

 現段階では中学校卒業以下の子どもがいる世帯を対象とし、西部地区に加えて中心市街地に位置付けられる駅前・大門から本町・五稜郭・梁川地区を加える方向で検討が進んでいる。

 「ヤングカップル—」は西部地区20町での若年層の定住促進を目的に、1998年度から開始。ともに40歳以下の新婚夫婦に対し、最長5年間の家賃補助を行う事業で、11年度までに延べ449世帯が利用している。

 しかし、昨年の事業仕分けでは、利用世帯のうち補助期間を満了した世帯が約25%にとどまり、西部地区に定住している世帯も10%程度と少ないことから「見直しが必要」と判定。外部委員から新たな事業の構築を求める声が出ていた。

 一方で、国の認可を得て新年度から取り組む予定の中心市街地活性化基本計画や、住宅施策の方向性を示す新住宅マスタープラン案では、中心市街地での子育て世帯の居住を誘導し、人口確保を図る方針が盛り込まれており、同事業を組み替えて対応したい考え。

 市住宅課は「中心市街地でのハード整備も重要な要素だが、背後に人が住むことで活性化されていく面もある。その一助になれば」と話している。(千葉卓陽)



◎青函連絡船の運航 ダイヤをデータ化 摩周丸で閲覧

 函館市青函連絡船記念館摩周丸(若松町12)を運営するNPO法人語りつぐ青函連絡船の会(木村一郎理事長)は、摩周丸で保存していた青函連絡船の運航実績表(確定した運航ダイヤを示す図表)をデジタルデータ化し、「青函連絡船71万8239航路の記録」と称して、館内のパソコンで閲覧できるようにしている。同法人の高橋摂事務局長(58)は「歴史資料として価値ある」と話している。

 同館には1948(昭和23)年度から、終航の88年3月までの運航実績表(B3判)約1万3000枚が保存されている。紙が損傷する恐れがあり閲覧はできないため、データ化に取り組んだ。本年度、日本財団からの助成を受けて大型のスキャナーを購入し、パソコンへの入力作業を進めている。現在は1981年以降が閲覧可能。

 容易な操作で、細かい線や文字を詳細に見てもらえるよう、さまざまな工夫を凝らした閲覧ソフトまで独自で作った。パソコンでは、年月日をタッチすると、その日の図表が表示される。各便の出発や到着時刻、どの船が使われたかなどが分かる。

 遅延した理由に、列車の待ち合わせを示す「レマ」と書かれるなど、「北の大地と本州を結ぶ生命線だったことが分かる」と高橋さん。各日の気象状況も記されており、高速近代船が導入された昭和40年代からは、海上の風速が風速20〜25bで、しけ模様であっても「計画運行を確保した」と一日をまとめている。同年代ごろからは、実績表なのに始めからダイヤが印刷されており、遅延など修正を示す線はほとんど書かれていない。船、人とも技術の高さ、安全、安心の航海だったことが伺える。

 専門的な資料だが、高橋さんは「修学旅行など思い出の旅行で乗った船名を振り返れるほか、運航の史実が調べられる。利用用途を考えていきたい」と話している。当面は閲覧のみの利用としている。(山崎純一)



◎函館2卸売市場 初競り威勢良く

 函館市内の青果物、水産物の卸売市場で5日、初競りが行われた。新鮮な野菜や魚介類が市場に運び込まれ、威勢の良い掛け声とともに、次々と競り落とされた。関係者は、景気回復に期待を込めて、今年1年の市場活況を願った。

 ○…函館市青果物地方卸売市場(西桔梗町589)では午前6時40分から「初せり式」が行われた。「商売繁盛」の法被を着た市場関係者ら約100人が見守る中で、函館巴太鼓が景気づけに和太鼓を演奏した。

 工藤寿樹市長は「函館の経済再生も市民の目に見える形で展開する年になる。市民生活を支える市場とも連携を強化し、活性化に努めたい」とあいさつ。業者を代表し、丸果函館合同青果の勝木敏孝社長は「昨年は猛暑や寒波といった天候不順に悩まされたが、今年は経済が少しずつ良くなると期待している」と願いを込めた。

 東一函館青果の木戸浦静男社長の発声で三本締めを行い、場内には競り開始を告げる鐘の音が響き渡った。この日の入荷量は野菜が前年同日比19d増の58・3d、果実は同2d減の17dだった。

 ○…函館市水産物地方卸売市場(豊川町27)では午前7時から卸売業者や仲買人など約300人が集まり「初売り式」を行った。

 開設者を代表し、片岡格副市長が「消費者の魚離れなど市場を取り巻く環境は厳しいが、水産物の流通拠点として活性化を図れるよう関係者と連携を強化していきたい」とあいさつ。

 卸売業者の函館魚市場の松山征史社長は「昨年は異常気象で取扱量、販売金額が近年にない落ち込みだった。今後も厳しい状況が続くと思うが、一丸で頑張りたい」と抱負を語り、豊漁と商売繁盛を願う手締めも行った。

 式後の初競りではホッケやタコなどが並び、競り人の威勢のいい声が響き渡った。この日の入荷量はここ数日の雪と時化の影響で約4dと、昨年の22dを大幅に下回った。


◎「合掌天蛇」空高く 新春たこ揚げ会

 函館市の緑の島(大町)で5日、新春たこ揚げ会が開かれた。市内山の手在往の元高校教諭で、約45年間、干支(えと)の創作たこを手掛ける梅谷利治さん(83)が「巳(み)」の連たこなどを披露。集まった市民らは大喜びした。

 梅谷さんは今年用に作った、一つの長さが約4bの「合掌天蛇(がっしょうてんじゃ)」を7つをつなげたものや、24年前の「合格蛇」、12年前の「開運蛇」の連たこを用意。この日は晴れ間が広がったものの風が弱く、参加者が糸を持って走り、上がった瞬間に歓声や拍手が起こったが、空高く長い時間を舞うまでにはならなかった。

 梅谷さんは「風という自然を相手にするので、高く揚がらなかったのは残念だが、少しでも空に舞い、皆さんに喜んでもらったことに感謝している」と話していた。このほか、参加者が持ち寄ったたこを自由に揚げた。

 梅谷さんの創作たこは、12日まで、市地域交流まちづくりセンター(末広町)で展示されている。(山崎純一)


◎新生児の尿から覚せい剤 妊娠中に使用 母親を容疑で逮捕

 函館中央署は5日、函館市内の無職の女(37)を覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕した。容疑者が出産した女児の尿から覚せい剤の成分が検出されたため、使用が発覚した。

 逮捕容疑は、昨年10月ごろ、函館市内で覚せい剤を使用した疑い。

 同署によると、女は昨年10月24日、市内の病院で女児を出産。女児は出産直後、仮死状態だったため、同市内の別の病院に転院。その病院が女児から採尿して外部に検査を依頼したところ、覚せい剤の成分が確認されたため、11月10日に同署に通報した。

 女児は現在も入院中。命に別条はない。

 同署の調べに対し、女は妊娠中の使用を認めており、同署では過去の使用歴や使用量、入手方法などを調べている。