2013年1月8日 (火) 掲載

◎道南寺社でどんど焼き

 道南の寺社で7日、古札などをたき上げる神事「どんど焼き」(焼納祭)が行われた。函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)では、市民から持ち込まれた札や正月飾りなどが燃やされ、参拝者が炎に手を合わせたり、煙を体にかけて無病息災を祈った。

 どんど焼きは一般的に、小正月の15日に開かれるが、道南は松の内の最終日に当たる7日に行う。同八幡宮では、境内に灰などが飛ばないように網で囲った「忌床」(いみどこ)と呼ばれる場所に、金属やプラスチックを外した松飾りやしめ縄などを山積みし、祭礼を行った。

 雪が降る中、神職が祝詞をあげ、参拝者代表が玉串をささげた後、この日の朝に拝殿で採られた忌火(いみび)を破魔矢(はまや)に移し、火が付けられた。熊手が燃える音が響く中、頭を深く下げお参りする人が見られた。

 同八幡宮によると、今年は雪と寒さの影響で初詣客は減り、たき上げる量も少ないという。忌床の火は8日まで付けられる。(山崎純一)



◎乙部八幡神社、十二支の絵馬完成

 【乙部】乙部八幡神社(松崎胤彦(よしひこ)宮司)は、毎年干支(えと)の絵馬づくりに取り組み、この巳(み)年で12枚がそろった。神社関係者への感謝を形にと絵馬づくりを始めた先代宮司の思いが詰まったもので、氏子らは「素晴らしい仕上がりで最高だ」と喜んでいる。

 絵馬づくりは、4年前に70歳で亡くなった先代の博彦さんが2002年の午年から始めたのがきっかけ。例大祭や各種行事でお世話になる氏子らに贈呈し、生前は年の瀬になると欠かさず届けていたという。

 「立派な絵馬をすべてそろえたい」と氏子の要望に応える形で、親子2代にわたって制作と贈呈が受け継がれた。絵馬は町内の道南スギの間伐材を活用し、木目の美しさを生かしながら図案を決めて、焼き目を入れて独特の光沢が目を引く。

 先代の絵馬づくりの様子を知る小田誠さん(66)は「いつも氏子を大事にする宮司だった。『十二支がひと回りするまでお互いに元気でいなければ』と話したこともあった」と振り返る。小田さんは江差町伏木戸町で営む「めんどりラーメン」の店内にこの絵馬を飾り、丁寧に扱っている。「十二支に見守られて元気が出てくる。お客さんが興味を寄せてくれているのもうれしい」と小田さん。

 胤彦宮司(37)は「先代からの取り組みで責任を感じて毎年つくってきたので、最後となるこの巳年の絵馬を無事届けることができ、ほっとしている」と語り、「新年も氏子の皆さんと協力して神社を守り、地域の結び付きを深めていきたい」と話している。(田中陽介)



◎函館市、漢方の原料試験栽培へ

 函館市の工藤寿樹市長は7日、新年度から、大手メーカーと連携して薬用植物の試験栽培に取り組む方針を明らかにした。候補として、漢方に使用される「当帰(とうき)」の原料となるセリ科の多年草「トウキ」を挙げる。函館の気候風土に合った栽培方法を蓄積したい考えで、新年度予算に薬用植物試験栽培の研究費を盛り込む。

 市農林水産部によると、薬用植物は近年、主産地の中国国内で需要が高まっているといい、日本国内の製薬会社にも生産を国内にシフトする動きがある。「当帰」には冷え性改善や鎮痛などの効能が含まれているという。

 日本漢方生薬製剤協会(東京)が2011年にまとめた「原料生薬使用量等調査報告書」によると、08年度に生薬の原料として使用されたのは248品目、約2万トンで、8割強が中国産。このうち、上位60品目で約9割を占める。トウキの使用量は全体の8位で、約580トンのうち、約200トンが国内産となっている。

 独行法人医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター北海道研究部(名寄市)によると、国内で主に生産されるヤマトトウキは、日本原産で古くは平安時代から知られている植物。

 一般的な栽培方法は1年目に苗作りを行い、2年目の春に植え替えをして、秋に生薬の原料となる根の部分を収穫。十分に寒風に当てた後に乾燥させることで品質の高い原料になるという。同研究部は「トウキの栽培は難しい部類とはなるが、ルールが確立されている。寒風に当てるのは伝統的な加工方法で、医薬品としての品質基準に必要なエキス含量が増える」とする。

 市農林水産部は「薬用植物の栽培は成長の伸びしろがある分野。栽培が普及すれば農家の経営安定にもつながる。函館の気候風土に合った栽培方法を検証したい」としている。(今井正一)


◎函館市年賀会に900人

 新年恒例の函館市年賀会(市、市議会、函館商工会議所主催)が7日、函館国際ホテルで開かれた。各界から約900人が参加、さらなる飛躍と前進を期す1年とすることを誓った。

 工藤寿樹市長は冒頭あいさつで、青森県主要3都市(青森、弘前、八戸)との広域連携を積極的に進めていく意向を示すとともに、「函館は大きな可能性を持っており、生かしきれば必ず再生可能と確信している。街の再生に向け、目に見える年にしていきたい」と所信を述べた。

 函館商工会議所の松本栄一会頭は祝杯に際し、「志を高く持たないと地域は活性化しない」と指摘。2015年度の北海道新幹線開業に関し、既に開業した地域では終着駅効果が1年半程度で落ち着いているとし、取り組みの強化を求めた。ステージでは新春らしく獅子舞が披露され、出席者は年始のあいさつや名刺交換などを行いながら、和やかに懇談した。

 最後に函館市議会の能登谷公議長の発声で三本締めを行い、出席者は今年一年の躍進を願った。(千葉卓陽)