2013年2月14日 (木) 掲載

◎越冬ダイコンの掘り起こしピーク

 冬の土中で貯蔵する「雪の下ダイコン」(越冬ダイコン)の掘り起こし作業が、函館市内の畑でピークを迎えている。

 雪の下ダイコンは秋の収穫後、ビニールと土をかぶせて寝かせる。みずみずしく、甘くなるのが特徴だ。

 石崎町に約2・5ヘクタールの畑を持つ西浦克彦さん(49)方では、家族とアルバイトの計4人で午前8時から1時間半作業。ショベルカーでビニールを除去し、姿を現したつややかなダイコンを手早く袋詰めしていく。一日約1500本を出荷している。

 「大ぶりなサイズが多い。みそ汁やダイコンおろしにするとおいしいですよ」と西浦さん。作業は3月上旬まで続く。

 JA函館市亀田によると、雪の下ダイコンの栽培農家は15戸ほど。3月まで約800トンを収穫し、主に札幌方面へ出荷する。(長内 健)



◎函館開建がトラック、バス協と協定締結

 函館開発建設部(高橋敏彦部長)と函館地区トラック協会(柏葉孔会長)、函館地区バス協会(森健二会長)は13日、「道路異常の情報共有に関する協定」を締結した。函館開建と民間団体による同協定締結は道内初めて。

 協定では、両協会はトラック、バスの運行時に函館開建管理の国道などで路面の異常を発見した場合、同開建へ通報協力し、同開建は交通規制の情報を両協会に提供する。

 同開建は渡島、桧山管内の国道9路線、函館江差自動車道の計10路線約700キロを管理。各路線では2日に1度のペースで道路パトロールをしているが、路面の陥没や亀裂が生じても次のパトロールまで対応が遅れる課題があった。

 トラック協会は263社4100台のトラックを、バス協会は17社450台のバス、タクシーを所有。多数の車両による広範囲な運行メリットを生かして道路の異常を発見し、速やかな修復対応につなげるのが狙い。

 協定締結は函館開建で行われ、高橋部長と柏葉会長、森会長の3人が協定書に署名と押印した。

 高橋部長は「道路の問題点をいち早く入手でき、早期対策が可能となる。意義のある協定」とし、柏葉会長、森会長とも「公益のために資する活動」「地域の安全面に寄与できる」と協力姿勢を示した。

 協定の期間は来年3月31日までで、以降は自動更新する考え。(鈴木 潤)



◎一般会計1296億9500万円、経済再生へ事業本格化

 函館市は13日、2013年度の予算案を発表した。一般会計は1296億9500万円で、本年度当初予算比3・3%増となった。14年6月の供用開始を目指す国際水産・海洋総合研究センターの建設工事が本格化するなど、普通建設事業費の伸びが主な要因。函館アリーナ整備や中心市街地活性化基本計画(中活)に盛り込んだ各種事業がスタートし、工藤寿樹市長が掲げる経済再生に向けた取り組みが進められる。28日開会予定の第1回定例市議会に提出する。

 特別会計は同3・4%減の839億9500万円、企業会計は同0・4%減の421億200万円、全会計総額は0・4%増の2557億9200万円となった。

 一般会計の歳入では、市税は地価下落による固定資産税の減少、個人所得の伸び悩みなどにより、同0・4%減の313億4400万円。普通交付税は同2・3%減の333億5200万円を見込む。

 財源不足を補う基金からの繰り入れは、本年度は20億円あったが、新年度は財政調整基金を使わず、減債基金からの8億円のみに圧縮する。市財務部によると、基金繰入額が10億円を下回るのは1997年度以来16年ぶりという。

 市債発行総額は同59・3%増の143億3200万円とした。退職手当債は本年度に引き続き発行しない。全会計の市債残高は2541億9600万円。

 歳出では、人件費は定年退職者の減少や給与の独自削減効果などで同9・4%減の183億8100万円で、本年度より19億200万円の圧縮。生活保護費は過去最高となる217億3000万円で、扶助費全体では同2・9%増の392億5800万円となった。

 主な事業では、海洋総合研究センターの整備事業費に37億3000万円を充てる。函館アリーナ整備事業費では、当初予算では実施設計費3018万円のみで、6月に補正予算を組み、本格的に建設が始まる見通し。日吉多目的グラウンド(仮称)整備事業費には実施設計や旧北高校舎解体など、3億3000万円を盛り込んだ。

 本年度中に国から認定を受ける見通しの中活に基づく施策では、WAKOビルの再開発事業費に1億2560万円、函館駅前電停の改修費や大門キッズスタジアムの移転経費、観光情報端末の整備などを計上。

 このほか、薬用植物の試験栽培研究、旧市内への防災行政無線の整備、青森、弘前、八戸3市との広域観光振興などに取り組む。工藤市長は「中活の施策はできるだけ新幹線開業に間に合わせたい。多目的グラウンドやアリーナなどの施設完成に向けて、スポーツ合宿、コンベンション誘致など、ひとつひとつ小さなものを積み上げて進めていきたい」と述べた。(今井正一)


◎中島廉売にビル新築、交流施設整備へ

 函館市中島町の中島廉売を拠点に障害者の就労支援などに取り組む「NPO法人日本障害者・高齢者生活支援機構」(能登正勝理事長)は、廉売の大通り沿いに新たにビルを建設し、障害者支援を充実させるほか、起業家支援事業に乗り出す。5月に着工、来年1月のオープンを目指している。同法人は「高齢者や障害者、子供まで多くの人が集まる商店街、施設にしたい」としている。

 同法人は廉売内で障害者らの交流施設「中島れんばいふれあいセンター」を運営。新たに起業家を呼び込むことで衰退傾向にある商店街の活性化を狙う。「心の場と経済の場の構築」がコンセプト。

 事業の予定額は8億6000万円。計画は経済産業省の地域商業再生事業に採択され、事業費の3分の2を国が補助する。大通りに面した敷地約700平方メートルに5階建てのビルを新築する計画。延べ床面積は1650平方メートル。

 施設は1階が商業スペースで、カフェや図書館を設置するほか、情報発信拠点とする。また、住民がイベントで利用できるように地域開放スペースにする。2階は起業家や新たな商店主の発掘を目的としたビジネスゾーン。事務スペースや会議室を提供するほか、創業支援の機能も持たせる。

 3階は障害のある児童の療育の場「放課後等デイサービス」のスペースで、ほかに食堂なども設置する。4階は障害者の就労支援の作業所とし、多様な障害に対応。現在の事務所もそのまま利用するという。5階は同法人の事務所。

 能登理事長は「モノを売るだけの商店街ではなく、さまざまな人が集まるコミュニティータウンになれば」と意気込んでいる。(松宮一郎)