2013年2月20日 (水) 掲載

◎大間凍結を政府に要請、工藤市長ら

 【東京】函館市の工藤寿樹市長や道南の自治体の首長らは19日、政府や与党を訪れ、昨年10月に工事を再開した電源開発大間原発(青森県大間町)の建設無期限凍結を文書で要請した。要請は政権交代後初めてで、要請先では明確な回答は得られなかったが、事故が起きた際の影響の大きさを強調し、“道南の総意”として改めて抗議した。市は建設差し止め訴訟を準備しており、今後政府や原子力規制委員会の動向を見極める考え。

 大間原発をめぐる要請活動は、民主党政権時の昨年10月以来4回目。工藤市長のほか高谷寿峰北斗市長、中宮安一七飯町長、石山英雄松前町長、佐藤卓也福島町長、大野幸孝知内町長と各市町議会議長、経済団体、一次産業団体の代表ら14人で訪問。道8区選出の前田一男衆院議員(自民党)が同行した。

 要請書は渡島11市町の首長、議長ほか計68団体の連名。「自公両党の政権合意で『可能な限り原発を減らす』としていることを踏まえると、あえて大間原発の建設を続行する必要がない」と指摘するとともに、原子力規制委員会が活断層調査などを進める中で、「既存原発の大部分が運転を停止している中で、新設は全く理解しがたい」と批判している。

 経済産業省では赤羽一嘉副大臣と会談。函館が大間原発から最短23`しか離れていない近さを説明し、大間から見た函館の夜景の写真を持参。工藤市長は「福島第一原発の事故が起きて以降も、一切の説明がない。改めて事故を踏まえて手続きを行い、周辺自治体の意見を聴いてほしい」と訴えた。

 一行はその後、自民・公明両党、首相官邸の順に訪ね、それぞれ浜田靖一自民党幹事長代理、加藤修一公明党総合エネルギー政策委員長、世耕弘成内閣官房副長官らに要請書を手渡した。

 工藤市長は首相官邸訪問後、函館新聞の取材にに対し、「国民の理解を得て電源構成のベストミックスを確立するのであれば、その間は凍結すべきと申し上げた。しばらくは原子力規制委の動きを注視したい」と述べた。(千葉卓陽)



◎雪遊び 親子で歓声、七飯で祭り

 【七飯】町大中山のあかまつ公園で17日、「第2回ななえチビッコ雪祭り」(実行委主催)が開かれ、会場にはたくさんの子どもたちの歓声が響いた。

 町商工会青年部のメンバーらが「親子連れが気軽に雪遊びを楽しめるようなイベントを」と企画。約1週間前からそれぞれの仕事が終わった夜間に滑り台の整備など会場設営に奔走してきた。

 会場にはタイヤチューブで滑走する巨大滑り台のほか、大沼の氷を使った滑り台やスノーモービルでけん引するバナナボートなど豊富なプログラムが用意され、子どもたちは満面の笑みで冬の1日を楽しんでいた。また同会場内では幼稚園児らによるチビッ子ミニサッカー大会も開催され、雪上で繰り広げられる子どもたちの懸命なプレーに盛んに声援が送られていた。(森裕次郎)



◎七飯町物産振興協を設立へ、新幹線開業見据え

 【七飯】町は、2015年度末の北海道新幹線開業を見据え、農産品の生産者や加工品の製造業者らで構成する「七飯町物産振興協議会(仮称)」を設立する方針を固めた。新たな特産品開発や町の知名度アップに向けた取り組みを積極化させる狙いで、月内に準備会を開催して本年度中の設立を目指す。

 同協議会は事務局を町が務め、現時点で準備会には約30事業者の参加を見込む。設立後は当事者間での協議を重ね、新たな特産品の開発に加えて既存商品のPRや販路拡大に一丸となって取り組む考え。また、将来的に民間事業者で構成する独立した組織とすることも想定しているという。

 町は昨年、函館や札幌で開催されたイベントの来場者や道南の食品加工関係者らを対象に特産品のニーズや町のイメージについて調査を実施した。札幌での調査では「大沼に行ったことはあるが『七飯』は知らない」との回答が少なくなかったといい、町自体の知名度アップへ向けた活動が必要とされている現状も明らかになった。特産品ではリンゴや「大沼だんご」の知名度が高く、新たな特産品についてはリンゴを活用した商品や、「ななえ」をもじった商品などがアイデアとして出されたという。

 町は調査結果を踏まえ、「特産品の開発を含め、すべての取り組みをスピードアップしていく必要がある」と語り、「窓口となる協議会の設立を生かし、限られた時間で最大限の効果を生み出したい」と意気込んでいる。(森裕次郎)


◎昨年の市内大型店、売上高のマイナス幅抑制

 函館商工会議所は2012年の函館市内の大型小売店の売上高をまとめた。対象6店舗の売上高は、前年比1・3%減の320億5255万円となった。人口減少に合わせ売上高も年々減っているが、ここ数年は下げ幅を抑える傾向にある。同会議所では「イベント効果があったほか、催事で集客を図るなど店側の努力がうかがえる」としている。

 集計対象は棒二森屋、WAKOビル、丸井今井函館店、テーオーデパート、イトーヨーカドー函館店、グルメシティ湯川店の6店。対象店舗数は異なるが、1000億円の大台を超えてピークとなった1991、92年からは3分の1に、10年前の2002年に比べても半減となるなど長期的な減少傾向は変わっていない。

 10年は経済情勢の悪化と消費の冷え込みで、同13・8%減の338億6032万円と大幅に落ち込んだ。ただ、11年は東日本大震災があったものの同4・1%減の324億8559万円、12年も同1・3%減とマイナス幅を抑えた。同会議所は「特徴のある催事を開くなど工夫しているほか、グルメサーカス(9月)など大型イベントの効果もあった」とみる。

 品目別では、天候が不安定だったことから「衣料品」や「食料品」が振るわず前年を下回った。一方、「家庭用品」は節電、エコ家電が売り上げを押し上げた。また、WAKOビルに期間限定で東急ハンズが入店した効果があり、「身の回り品」も前年を上回った。(松宮一郎)


◎6小学校を3校に統合へ、上ノ国町教委が再編案

 【上ノ国】児童数の減少を見込み上ノ国町教委は、2015年4月にも町内の6小学校を3校に統合する適正配置計画案をまとめた。対象地区と議会側に説明の場がもたれ、町教委によると目立った反対意見はなく、本年度内にも成案になる見通し。また、具体的な時期は決まっていないが、いずれは町内の小学校を1校に統合したい考え。

 同計画案によると、湯ノ岱小(現在の全校児童6人)が河北小(同35人)へ、早川小(同6人)と小砂子小(本年度から休校)が滝沢小(同32人)に統合する。その後、河北と滝沢の両小が上ノ国小(同186人)に統合される見通しだ。

 統廃合に対し、町教委は教育環境の充実の維持を主要課題に掲げ、「閉校後の学校施設の活用方法も含め、地域と十分協議し、その意向を尊重しながら進めたい」とする。2019年度までの在籍児童数・学級数の推計では、いずれも減少傾向で全校児童数が2、3人となるところも。

 町教委は、昨年末から閉校対象地区の保護者と一般住民に計画案の理解を求め、議員協議会でも説明をしている。「おおむね賛同を得られている」(町教委)とし、2月中に再度、保護者と意見を交わし計画案を詰めるという。

 工藤昇町長は「子どもの将来を考え、いかに教育環境を充実させるかが行政の使命であり、計画案への理解を求めたい」としている。(田中陽介)