2013年2月24日 (日) 掲載

◎震災2年 金森商船が防災訓練

 東日本大震災発生から2年になるのを前に、金森商船(函館市末広町、渡邉兼一社長)は23日、金森赤レンガ倉庫で津波を想定した大規模な防災訓練を行った。従業員は津波が押し寄せた場合に備え、迅速に避難誘導をしたり、土のうを積んだりするなど真剣な表情で訓練に取り組んだ。

 同社の施設は震災で建物が浸水するなど甚大な被害を受けたことから、直後の10年5月、11年6月と年1回、津波を想定した訓練をしてきた。冬場に行うの今回が初めて。

 訓練は震度5強の地震と大津波が2時間後に到達するという想定で、従業員37人が参加し、営業開始前の午前6時半から行った。

 館内に津波発生を知らせるアナウンスが流れるとすぐに従業員は客の避難誘導を開始。台湾や韓国など外国からの観光客をスムーズに誘導するため、避難先をそれぞれの言語で書いたボードも用意した。英語で呼び掛けるなどしてスムーズに避難させていった。

 土のう積みはこれまでの訓練を踏まえ、運び出しやすように入り口付近に置いてあり、従業員らは手際良く入り口に積み上げた。最後は従業員も自分の身を守るために避難場所のアクロス十字街まで駆けていった。

 柳谷一美営業部長は「夏場よりも避難、土のう積みとも時間を短縮させることができたが、今回の訓練をもとに防災マニュアルの内容を更新する」と気を引き締めた。渡邉社長は「震災後、訓練を重ねることで従業員の防災に対する意識は確実に高まっている」と話していた。 (松宮一郎)



◎函館市 空き店舗再生に補助金

 函館市は新年度から中心市街地の空き店舗対策として、指定区域内の新規出店者への補助制度を創設する。中心市街地活性化基本計画(中活)関連事業で、店舗開設に伴う改装費用や家賃を補助して、出店希望者を支援。地域に新たなにぎわいの創出を図る。

 新年度予算案に中心市街地出店促進事業費として690万円を計上。社会資本整備総合交付金300万円を財源に見込む。2017年度まで継続する予定で、初年度は改装費補助として5件、家賃補助3件程度の活用となる。

 指定区域は、主に幹線道路や市電沿線で、@駅前・大門地区(駅前通や高砂通、グリーンプラザ沿いなど)A五稜郭・本町地区、梁川町地区B新川町から千代台町地区、中島廉売|の各区域。いずれも空き店舗が多く点在し、2009〜12年の間に実施した調査では計約160件を確認している。

 改装費は全区域が対象。店舗開設に伴う新、増改築や付帯設備の工事費用の2分の1以内、上限額は100万円を補助する。Bの区域のみ、家賃月額の2分の1以内、上限を5万円として、12カ月間支援する。対象業種は小売や飲食、サービス業など。有識者による審査で事業の将来性や2年間以上の継続が見込めるかなどを判断し、可否を決定する。

 また、同事業とは別に、中活の全エリアを対象として、中小企業融資制度・チャレンジ資金の融資利率を現行の1・6%から0・6%の低利に見直し、更なる出店を促す。市商業振興課は「にぎわいの創出と魅力の向上により、駅前と本町を結ぶ地域の回遊性を高める狙い。制度を活用し、新規出店に挑戦する人が出てくることを期待したい」としている。 (今井正一)



◎未来大派遣職員引き揚げへ

 函館市は、公立はこだて未来大学に派遣している市職員20人を、新年度から順次引き揚げる方針だ。市の人件費を抑制するとともに、大学の自主性を高めることが狙い。給与水準を抑えた専任職員へと順次置き換えることで、2016年度は現在から年間3300万円の人件費抑制を見込む。

 昨年市がまとめた「行財政改革プラン」によると、新年度は3人を引き揚げ、年間919万2000円を削減。その後も毎年度3人ずつ専任職員と交代することことで、16年度では現在から3304万円を削減。新年度から16年度までの累積で、8696万円の効果額を見込む。

 未来大事務局によると、行革プラン終了後の18年度には管理職3人を残して17人を引き揚げる方針で、「専任職員の勤務状況をみながら、管理職引き揚げの時期を検討していく」と話している。

 未来大は市と北斗市、七飯町が広域連合を組織して2000年に開学。市は職員20人を派遣するとともに、本年度予算で負担金19億4300万円を支出している。大学は新年度から初めて専任職員4人(社会人3人、新卒1人)を採用している。  (千葉卓陽)


◎道南の観光素材紹介 運輸支局が関係者招くツアー

 2015年度の北海道新幹線開業をにらみ、北海道運輸局函館運輸支局は22日から、東北地方や札幌から観光関係者を招き道南観光の魅力を伝えるツアーを行っている。各地のガイドがまち歩きなどで名所を紹介。参加者は観光素材に触れ、外からの視点で観光客にアピールするポイントを探った。

 道運輸局として初めての取り組みで、新幹線開業後の誘客に向け、埋もれている観光資源の掘り起こしと磨き上げにつなげるほか、人材交流も狙い。旅行会社には商品の開発に生かしてもらうほか、東北各地への情報発信のきっかけにする。東北の観光関係者や札幌の旅行業者ら約20人が参加した。

 初日の22日夜は、元町のカフェやまじょう店主、太田誠一さんの案内で夜の教会群を見て回り、西部地区の街並みを満喫。飲食店の飲み歩き「バル」も体験した。

 23日は江差町の山車会館を見学したほか、松前町では観光協会の飯田幸仁さんのまち歩きのガイドを務め、松前の交易の歴史をはじめ、松前城やサクラなど町の名物を次々と紹介していった。

 参加した十和田湖観光汽船の松橋泰彰社長は「江差町や松前町には知らなかった観光素材がたくさんあり、商品開発に生かせそう」と評価。また、「北海道新幹線開業に向けて青函の連携は不可欠。一緒にコースづくりができれば」と期待を寄せた。

 24日は知内町で開かれるカキニラまつりなどを視察し、木古内町で地元の観光関係者と意見交換する予定。 (松宮一郎)


◎小学校に巡回相談員 いじめや不登校対策で新年度配置

 函館市教委は新年度、いじめや不登校対策として、子どもたちや保護者にカウンセリングする巡回相談員1人を、市立小学校に配置する。臨床心理士ら心理相談の専門家に業務を委嘱し、子どもの心のケア全般に対応できるようにする。

 同様の業務は主に中学校を訪問しているスクールカウンセラー(SC)も担うが、全国で相次ぐいじめなどの社会問題を受け、市が有償で独自に配置。新年度予算案には147万円(前年度比100万円増)を計上している。

 相談員は、教育現場や市教委の要請に応じて主に小学校へ訪問、年間日数は授業がある191日を想定している。いじめや不登校などの未然防止に加え、いじめ体験がある子どもへのアフターケア、教員や保護者への適切なアドバイスにも期待がかかる。各校には生徒指導などの助言で指導主事が巡回しているが、その役割をより強化する狙いもある。

 市教委教育指導課の永井貴之課長は「SC同様、教員でも友人でも家族でもない第三者の存在は子どもに安心感を与える。相談員配置は現場で機能するはず」と強調。「一人で全ての学校を巡回するのは困難で、実情に応じて増員も考えられる。人選も含め、巡回の在り方をしっかり検討していく」と話している。(長内 健)