2013年2月4日 (月) 掲載

◎水ごりで無病息災祈る 高穂神社

 3日は「節分」。函館はここ数日の暖かさから一転して日中の最高気温が氷点下3・4度と冬に逆戻りした中、市内の寺院や神社では、1年の無病息災を祈る節分祭が開かれた。

 同市上湯川町の高穂神社(澤口廣宮司)では、節分祭を前に水ごりを行った。澤口宮司(62)や神職、氏子代表ら白装束姿の男女6人が、境内にあるオンコの御神木の根元から沸き出る水をかぶりながら、五穀豊穣(ほうじょう)や氏子らの健康、生活の安泰を祈った。

 厳しい寒さの中、澤口宮司が祝詞をささげた後、6人がたるに入った水をおけですくい、「えい」と声を出しながら頭や肩から掛けた。最後に澤口宮司が集まった氏子らに、クマザサに付けた水をかけて厄払いした。

 節分祭はこの後、祈祷や豆まきなどの行事が夕方まで行われ、澤口宮司は「この後400〜500人のおはらいを行うので、気合いを入れてかかった」。同神社の工事にかかわる原田徹さん(52)は昨年に続いて参加し「家内安全を祈った。水をかぶっている時は無心になれる」とすがすがしい表情を見せていた。  (千葉卓陽)



◎不要市有地 1億円超売却

 函館市は自主財源の確保と財産の有効活用を図る目的で、不要になった市有地の売却を進めている。本年度はすでに12件を売却し、当初予算で見込んだ額に近づいている。市は「利用目的がなくなった物件を積極的に売却しながら、売却機会拡大に努めたい」としている。

 市は例年、市有地の売却で1億円から1億5000万円の収入があり、財源調整基金と減債基金の積み立てに充てている。

 本年度当初予算では3件分、約1億3000万円を計上し、4月と11月に一般競争入札を実施。これまでにともえ学園(日吉町3、4691平方b)と東消防署鍛治出張所(鍛治2、688平方b)の2件を計1億300万円で売却した。赤川保育園跡地(赤川町)は入札時期が予定からずれ込んだことで、新年度に実施する見通し。

 売却方法は一般競争入札が基本。だが、入札が不調に終わる一方で申し込み期間とのタイミングが合わず、結果的に売却機会を逸するケースがあったため、昨年度からは売却機会拡大を目的に先着順で申し込みを受け付け、受理者と随意契約を結べる独自要綱を設けている。

 昨年度はこの方式で売却した土地はなかったが、本年度は北消防署港出張所跡地(655平方b)など10件を、計2180万円で売却している。現在は日吉町4の教員住宅跡地(347平方b)、戸倉町の同(826平方b)など4物件が、先着順方式で売りに出されている。

 市は公共施設に関し、施設の老朽化などを見極めながら抜本的見直しに着手しており、施設の統廃合に伴う形で、今後も不要市有地が発生する見通し。市財務部は「売却可能な土地をリストアップし、自主財源を確保したい」と話している。    (千葉卓陽)



◎功績 人徳のなせる業 グロードさんの思い出語る

 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会前理事長、社会福祉法人函館カリタスの園理事長で、昨年12月25日に85歳で死去したフィリッポ・グロードさんをしのぶ会が5日午後1時半から、五島軒本店(末広町4)で開かれる。函館を愛し、市の文化活動、社会福祉事業に功績を残したグロードさんの、その黎明(れいめい)期を知る2人に追憶を語ってもらった。

 「グロードさんの人を愛する気持ちは、誰よりも強かった」。50年近い親交があったという函館カリタスの園初代理事長、原一正さん(88)は振り返る。

 1962年、グロードさんは函館カトリック元町教会主任司祭として来函。原さんを信者として迎えた。72年、募金活動にも熱心だったグロードさんは市から「高齢者が増える時代が来る。何かできないか」と老人福祉施設建設の相談を受けたという。原さんは「当時の函館には老人が夢や希望を持って暮らせる施設はなく、すぐに準備に掛かった」と話す。

 同教会を母体に施設建設運動を展開し、経済界の協力を取り付けることに成功。74年に建設期成会を発足させた。市民や道外のカトリック教会から約1億円が集まった。「グロードさんの人徳のなせる業」と原さん。そうして77年に開設した特別養護老人ホーム・旭ケ岡の家は静かな個室や広い廊下があり、当時は全国でも珍しかったという。

 原さんは「グロードさんは家族のような存在。感謝の念しかない。今の施設職員にも創設の理念は受け継がれている。私もしっかり見守っていく」と話す。

                  ◇

 1988年に始まり、今では函館の夏を代表する函館野外劇。国の史跡・五稜郭を舞台として使用する許可を得るのは困難で、市民の「夢」が実現したのは、グロードさんの存在が大きい。創作委員として公演立ち上げの苦労を共にした函館市千代台町の画家外山欽平さん(75)は「実現不可能と思われたことが、今は当たり前のように行われている。グロードさんの野外劇に懸けた思いを継がなくては」と語る。

 親交のあったフランス人の日本研究家が、在フランス大使館の文化担当書記官として勤務していた植木浩さんと縁があり、植木さんが帰国後に文化庁長官となったことで、グロードさんは野外劇の五稜郭使用を強く懇願し、一気に実現へ向かった。「ただの縁ではく、グロードさんの人がらのおかげ」と外山さん。

 「五稜郭に函館の街の将来を見た神父」。外山さんは自身が制作したカレンダーにしたためた。「五稜郭に故郷を感じたのでしょう。ここを舞台に市民が創作したもので、市民が集まって楽しんでもらうものを作る思いが強かった」と振り返る。「みんなが良くなるように、細かく神経を使っていた。あんなに頭の柔らかい人はいない」。創作などの現場では常にスタッフの意見を尊重したという。

 野外劇の現場を離れて約10年。「函館の力を感じたからこそ、グロードさんも力を注いでくれた。その思いを改めて感じてほしい」と期待する。

                  ◇

 しのぶ会は、社会福祉法人函館カリタスの園主催。函館日仏教会の関口昭平名誉会長らが故人との思い出を語り、参加者で祈りをささげる。供花、香典などは辞退する。公共交通機関での来場を呼び掛けている。 問い合わせは同法人TEL0138・50・2121へ。 (山崎純一、長内健)


◎「函館赤かぶ」好評価 JA新はこだて函館支店女性部

 JA新はこだて函館支店女性部加工部会(水島みよ子部会長)が、道南で栽培される在来種「函館赤かぶ」について、品種比較試験を初めて行った。漬物食味アンケート結果では「色」「味」「舌ざわり・食感」のいずれも在来種が市販3品種に比べて勝り、本年度から本格販売する「函館赤かぶ千枚漬」のブランド化に弾みが付きそうだ。

 アンケートは1月31日に開いた女性部総会で実施、部員20人が回答した。在来種のほか、大野紅かぶ(函館種苗商会)、つがる紅蕪、大野紅かぶ(アタリヤ)の4つを食べて色、味、舌ざわり・食感について順位を付けた。在来種は全項目で1位となり、総合評価は高い順から、在来種、大野紅かぶ(函館種苗商会)、つがる紅蕪、大野紅かぶ(アタリヤ)となった。試験に協力する渡島農業改良普及センター(北斗市)でも1日、食味アンケートを行った。

 同部会は函館市豊原町の圃場(ほじょう)に試験区(1区12平方b×4)を設け、8月中旬に種まき、10月下旬に収穫。規格内収量はつがる紅蕪、在来種、大野紅かぶ(函館種苗商会)、大野紅かぶ(アタリヤ)の順で多かった。カブを切ったときの赤みの入り方は在来種が最も優れていた。

 水島さん(65)は「在来種と他品種を食べ比べてもらって、ブランド化につなげたい」と意気込む。同センターは「在来種へのこだわりをアピールする材料に」と期待する。

 千枚漬は函館空港や竹葉新葉亭、コープさっぽろ函館地区店舗の一部で販売している。 (山崎大和)