2013年2月7日 (木) 掲載

◎函館の街 幻想的に、光の小径始まる

 ワックスキャンドルのやわらかな明かりが函館の街を照らす「はこだて光の小径」が6日、同市西部地区で始まった。元町公園などの観光名所にキャンドルを並べ、市民や観光客が幻想的な空間を楽しんだ。

 「2011はこだて冬フェスティバル」(同実行委主催)の一環。イベントでは市民や観光客らが制作した約5000個のキャンドルを使用している。

 この日は、元町公園や八幡坂などでキャンドル約700個が点灯。同地区を電飾で彩る「はこだてイルミネーション」も開催した。元町公園では、ハート型にキャンドルが並べられ、大勢が記念撮影を楽しんでいた。また、同公園からカフェ・ペルラまでを歩く「点灯ウオーク」では、市民らが伝統的建造物の歴史を学びながら、冬の夜の美しさを満喫していた。

 市内在住の高橋藍さん(33)は「毎年楽しみにしているが、今年もきれいで感動した」と笑顔だった。

 光の小径は11日まで市内各地で開かれる。点灯ウオークは7日まで、9日には函館山登山道ウオークも行われる。(柏渕祐二)



◎観光圏2市1町に、法改正受け絞り込み

 道南18市町で滞在型の観光地づくりに取り組んでいる「はこだて観光圏」が、函館市、北斗市と七飯町に絞り込まれる方針が決まった。国が観光圏制度を改正し、生活圏に根差した圏域設定を求めていることに伴うもので、7日に開かれる同観光圏整備推進協議会(会長・工藤寿樹函館市長)の総会で現在の協議会を解散した上で、2市1町の枠組みで新たな協議会を設立し、改めて国からの認定を目指す。

 「はこだて観光圏」は2010年度に認定を受けた。道南の「食」をキーワードに道南全体を6エリアに分け、国からの補助を受けて滞在型の周遊観光地化を目指し、これまでに周遊型観光プログラムを紹介する冊子や、仙台市などで道南の特産品を集めたイベントなどを展開している。

 観光圏は全国49地域が指定されている一方、地域によって活動レベルに濃淡が見られることから、観光庁は昨年12月末、観光圏整備法を改正して基本方針を変更。取り組みの実効性を高める目的で、区域設定の要件を「生活圏としての関係」とすることを盛り込み、新年度から新たな観光圏を認定する。

 2市1町への限定について、事務局の函館市観光コンベンション部は「18市町のままでは新制度下での認定は難しい」と判断。一方では18市町の全自治体や観光協会などでつくる「みなみ北海道観光推進協議会」を通じて、18市町での広域観光推進を図る方針だ。

 総会での現協議会の解散と新協議会設立を経て、国に認定申請を行う見通し。同部は「認定へのハードルは高くなった。地域を売り込むコンセプトを、どう表現するかが重要になる」と話している。(千葉卓陽)



◎歴風文化賞に5件

 函館の歴史的風土を守る会(歴風会、佐々木馨会長)は6日、2012年度の「歴風文化賞」を発表した。歴史的な建造物の貴重性、持ち主の保存に対する努力や景観へ寄与した個人などをたたえるもので、本年度は保存建築物として「北斗ビル」(函館市末広町17)「飯島商店」(同若松町31)、「太平洋セメント上磯工場クラブ」(北斗市谷好1)、「落合治彦邸」(同中央2)、原風景に「函館の夜景」の計5件を選んだ。表彰式は15日午後6時半から五島軒(末広町)で開かれる。

 北斗ビルは1921(大正10)年建築の、鉄筋コンクリート造4階建て。外観や間取りなどで創建当時の姿を残しており、「大正末期の商業建築の歴史を知る上で貴重」と評価した。

 飯島商店は木造2階建ての建物を、昭和10年台に菓子問屋の店舗・事務所として改築。関東大震災以降に東京で建てられた「商店建築」がルーツで、正面の屋号や看板が当時のまま残っている。

 セメント工場内にある「クラブ」は1919(大正8)年建築の洋風保養施設。玄関前の4本の角柱や屋根飾りなどに創建当時の面影が残っており、大正期の保養施設が道南では珍しいとして評価された。

 1934(昭和9)年建築の落合邸は、木造2階建ての和洋折衷様式が特徴。柱がすべてヒノキで、秋田スギやケヤキの一枚板が随所に使われており、図面や見積書など克明な建築工事の記録も残っている。

 また同会は、原風景に選んだ夜景を「世界一」と宣言。色とりどりの明かりがきらめく様子や、市街地の光と海とのコントラストを評価している。

 歴風文化賞は1983年度から始まり、本年度で30回目。函館や近郊の歴史ある建造物などを後世に残そうと、毎年表彰している。(千葉卓陽) 


◎市内の通学路、危険90カ所

 函館市の市立小学校の通学路で、危険と判断された場所が90カ所あることが市教委のまとめで分かった。46校中39校区で危険な箇所があり、多くは歩道と車道の区別がなかったり、道幅が狭いといった状況。歩道の設置や道幅の拡幅などハード面の整備が課題となっている。

 毎年各学校で行う通学路点検と、昨年7〜8月に警察や道路管理者を交えて32校が実施した緊急合同点検から危険箇所をまとめた。

 90カ所のうち「歩道と車道の区別がない」などで歩道の整備が必要とされたのが約35カ所と最も多かった。このほか「横断箇所に横断歩道がない」が約25カ所、「道幅が狭い」は約20カ所で、「街灯がない」も2カ所あった。

 最も危険箇所の多かった校区は東山小の6カ所。次いで弥生小、昭和小、上湯川小が各5カ所あった。

 各校では事故を未然に防ごうと、町会やPTAの協力を得ながら危険箇所を見守りしている。中でも金堀小校区の人見児童館の入り口につながる西側の市道は交通量が多く、歩道と車道の区別がないことから、毎日近隣町会の会員が登下校時に見守っている。

 同館の溝口秀夫館長は「抜け道として通る車が多く、30`制限だがそれ以上飛ばす車もある。過去に事故はないが、危ないケースは何度かあった」と話す。

 危険箇所の改善に向けて各校では毎年市にハード面の整備を求める要望をしているが、財政難から実現しないケースがほとんど。同小でも整備を求めているが、ソフト面でカバーしているのが現状だ。

 「本当は歩道とガードレールがあればいいが、市の財政を考えると仕方がない。子どもたちには十分気をつけて通学するよう指導していきたい」と同小の長瀬雅一教頭。市教委は「少しでも危ない場所を減らせるよう、関係機関と対策を練っていきたい」としている。(後藤 真)


◎函館でも道道トンネル点検本格化

 昨年12月に発生した中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板崩落事故を受けて、道は管理する道道のトンネルの一斉点検をしている。函館市内のトンネルでも5日から本格的な点検が始まり、函館建設管理部は「落下物による事故が発生しないようしっかり点検していく」としている。

 国土交通省の通知に従い、道道のトンネル112カ所のうち、冬期通行止めの12カ所を除く100カ所を本年度中に検査する。このうち道南は25カ所。

 点検方法は国の手法に準拠しながら実施。各トンネルでボルトやナットで固定された照明や換気設備、標識などをたたいたり、触るなどして異常や損傷がないか確認する。

 5日は道道函館南茅部線上にある新川汲トンネルで、札幌の建設コンサルタント会社が点検に当たった。片側交互通行など交通規制をし、社員が内部の照明器具を一つ一つ確認。壁面をハンマーで叩くなどして破損箇所がないか入念に調べていた。

 現在、道管理のトンネルのうち、建設後30年を経過したのが22カ所、40年が16カ所。50年は4カ所あるが、そのうち3カ所が江差木古内線吉堀トンネル(上ノ国町)、岩部渡島福島停車場線の岩部トンネル、女朗岬トンネル(以上福島町)と道南にある。

 道の現行の管理、点検は、公共土木施設維持管理業務処理要領に基づき、パトロール車両による通常パトロールを週3回以上、徒歩による定期パトロールを年1回の頻度で、目視点検しているが、道建設部は「今回の点検で改修が必要な箇所は速やかに対応する。緊急点検の結果や国が検討している再発防止策などを参考にしながら、トンネル点検の手法や頻度について必要な見直しを行いたい」としている。(鈴木 潤)