2013年2月9日 (土) 掲載

◎イカが30メートル飛行=@北大院生ら論文発表

 イカが海中からジャンプして着水するまでを連続撮影した写真を解析した結果、意図的に形態や姿勢を変化させながら飛行≠キることを、北大大学院水産科学院の村松康太さん(24)=修士2年=らの研究グループが突き止めた。村松さんは「捕食者から逃げるために進化した行動と考えられる」と話している。

 村松さんや、同大北方生物圏フィールド科学センターの山本潤助教ら6人が論文にまとめ、ドイツの海洋生物学の国際学術誌「マリンバイオロジー」電子版(5日付)に掲載された。

 2011年7月、同大練習船「おしょろ丸」が東京の東方沖約600キロを航海中、村松さんが海中から飛び出す約100匹のイカの群れを2回目撃、カメラに収めた。全長約20センチのアカイカかトビイカとみられ、飛行行動が「飛び出し」「噴射」「滑空」「着水」の4段階に分類できることが分かった。

 村松さんによると、ヒレを外套膜(胴体)に巻き付けて腕も畳んで水の抵抗を受けにくくして飛び出す。水を漏斗(墨をはく口)から噴射し続け空中でも加速し、ヒレや腕、保護膜も広げすき間をなくして翼に似た形に。航空機のように先端をやや上向きにしてバランスを取って滑空。着水時はヒレを外套膜に巻き付け腕を畳み、先端をやや下げて抵抗をなくしていた。

 水面から2、3メートルを、少なくとも3秒以上、約30メートル移動したと推測される。時速は約40キロという。村松さんは「イカは水中だけでなく、海鳥など空中にいる生物にもエネルギーを受け渡す役割を担っているのでは」と話す。遊泳能力が高いイカが飛行行動をするとみられ、スルメイカも飛ぶ可能性があるとしている。(山崎大和)



◎市電方向幕に「百」ロゴ まずは8101号車、順次導入

 函館市企業局交通部は、路面電車運行100周年を記念したロゴマーク入りの方向幕への切り替え作業を進めている。8日は、部分低床車「8101号車」への取り付けを行い、同車両は9日から運行を予定。3月上旬までに「らっくる号」などデジタル表示の車両を除く全車両に順次、導入する。

 昨年11月から採用しているロゴマーク入りの系統板に続くPR事業の一環。2系統は赤色、5系統は青色のロゴを正面向かって右側に表示した。方向幕の幅が広い2000形、3000形、8000形の各車両は、英語、ハングルなど5カ国語対応とした。

 同部施設課は「車両導入後、方向幕を一度も交換したことのない車両もあるので珍しい。系統板と合わせて、さらに多くの人たちに開業100周年を知ってもらいたい」としている。(今井正一)



◎新函館駅舎に地元材やレンガ使用 柱で並木イメージ

 【北斗】鉄道・運輸機構北海道新幹線建設局(札幌)は8日、北斗市役所を訪れ、2015年度に開業する北海道新幹線新函館駅(仮称)の設計概要を説明した。駅舎は地元材の活用をはじめ、アクセントとしてレンガを使用することなど市が要望していたことが全面的に取り入れられた。北海道の玄関口にふさわしい駅舎とするため、ポプラ並木をイメージした柱にするなどの工夫もした。4月にも着工し、15年6月までの完成を目指す。

 駅舎は鉄骨3階で、正面がガラス張りとなっているのが特徴。ホーム部分は263メートルで、ホームを覆う上屋も設置する。市は建設にあたり、地元木材やレンガの活用、周辺の自然景観と調和した駅舎建設を要望していた。

 この日は同機構の中曽誠・建設局次長らが市役所を訪れ、高谷寿峰市長らに300分の1の模型を見せながら設計の詳細について説明。機構側は要望を反映させたことを伝えた。

 コンコースの天井部には道南産の木材を使用するほか、明治時代に開拓使がレンガ工場を同市に設置した歴史にちなみ、フランス積みと呼ばれる伝統技術でレンガを改札の周辺や入り口部分など随所に使い、駅前施設との一体感を演出する。

 また、駅舎の柱は、北海道らしさを表現するためポプラ並木をイメージし、天井に向かって途中で枝分かれするデザインにしたのも特徴。中曽次長は「道南材とレンガは内装のアクセントとなり、窓面から北斗市のまちの四季折々の色彩を感じ取れるようにしている」とした。

 模型を見た高谷市長は「模型を見ることによって立体的なイメージが確認できた。要望を100%受け入れていただき、北斗市にふさわしい駅舎だなと感じる。太平洋セメント上磯工場に次ぐ2つめのランドマークができる」と述べた。

 また、市観光協会の佐々木博史会長は「開業が現実味を帯びてきたと実感。経済界も市民も一体となって盛り上げていきたい」と話していた。

 市は同日午後から市役所1階ロビーで模型の公開を始めた。

 7日には木古内駅の設計について同町に対し説明を終えており、町役場でも模型が公開されている。木古内駅も4月に着工、15年6月の完成予定。(松宮一郎、鈴木 潤)


◎旧グルメシティ五稜郭店 ビル開発で新会社 函館市も出資方針

 市内の民間業者らが函館市本町の旧グルメシティ五稜郭店の開発を担う特別目的会社を設立したことが分かった。同ビルは、函館市が市中心市街地活性化基本計画案に複合ビルとして再整備することを盛り込んでおり、函館市も出資する方針だ。長年空きビルとなっているが、同社が北海道新幹線開業に合わせた完成を目指す。

 新会社は「SPC函館本町開発」で、代表取締役は駅前の和光ビルを運営するNAアーバンデベロップメントの布村隆二社長が務める。そのほか、西武建設運輸(函館)と開発コンサルタント会社、街制作室(札幌)が参加している。

 会社設立は1月24日付で、設立の目的を同ビルが建つ住所の開発事業としている。現在の資本金は1100万円。今後、出資を募るほか、金融機関などからビル購入費などを調達する。また、函館市も出資する方針で、新年度予算に4000万円を盛り込むことを検討している。

 市中心市街地活性化基本計画案で同ビル整備は「優良建物整備事業」となっており、マンションと商業施設を合わせた複合ビルとして整備する予定。ほかに市がワンフロアを買い上げ、起業家支援と若者向けの多目的スペース「市民交流プラザ」を設置する。

 旧グルメシティ五稜郭店は2009年に閉店。地上6階で店舗面積は約1万平方メートル。ビルは魚長食品(豊川町)が所有している。(松宮一郎)