2013年3月12日 (火) 掲載

◎佐々木夫妻が元町にワイナリー 函館市内初

 北斗市でワイン醸造用のブドウ園を営む佐々木賢さん(34)佳津子さん(37)夫妻が函館市元町31に市内初のワイナリー「農楽蔵」(のらくら)を構え、ワイン醸造に励んでいる。ともにフランスや国内各地でワイン製造を学んだ2人が理想を追い求めて道南に移住、地元産の高品質ブドウを使い、個性的なワインをじっくりと造り続ける。今年、ワイナリー内に直売所も開いており、佐々木さん夫妻は「地元の人々の食生活に溶け込むワインを出したい」と意気込んでいる。

 室蘭出身の賢さんと埼玉出身の佳津子さんはフランスでワイン醸造に励む中で知り合い、2011年に結婚。「気象データと、栽培されているブドウが一致した。大野平野でもできると確信した」(賢さん)と同年、北斗市文月に3ヘクタールのブドウ園を開園した。

 その中で、造るワインを絞り込み、設備をコンパクトにしたワイナリーの設置を思い描き、和洋折衷の街並みが残っている西部地区で空き物件を探し、開業にこぎつけた。

 造るワインは100%道内産。ブドウは植えてから収穫まで約4年かかるため、北斗の農場での初収穫は2015年の予定。現在は乙部町や厚沢部町の農家から提供されたブドウを用いて醸造している。

 酸化防止剤をゼロにしたり極力抑え、道内産ブドウの特徴である酸味を生かしたワイン造りが特徴。酒店向け、飲食店向け、直営向けと造り分けており、「それぞれで求められるものは相当違う」と賢さん。ワインを卸す酒店も全国で約40店に厳選し、製造量を管理している。

 直営店は1月にオープンしたが、現在は営業を休み、リンゴを発酵させて造るシードルの醸造に取り組んでおり、新作ができ次第今月中に再開することにしている。

 賢さんは「道南の人々は生魚を食べる機会が多い。造り方を工夫して、生魚に合ったワインを造りたい」と話している。問い合わせは電子メールnora@nora-kura.jp。(千葉卓陽)



◎犠牲者思い祈り 震災2年 各地で追悼行事

 東日本大震災から2年を迎えた11日、函館市内では各所で犠牲者を追悼する行事が行われた。参加した市民は被災地へ鎮魂の祈りをささげ、一日も早い復興を願った。

 大森浜では追悼集会「祈りよとどけ」が行われた。市民ら約100人が参加し、日の出の時刻に合わせて犠牲者へ黙とうをささげた。

 昨年に続き2回目。市民団体「いのりのわ」(渡辺友子代表)が主催し、盛和塾はこだてや法人会女性部会、函館仏教青年会などが後援した。

 啄木小公園近くに集まった参加者は、海岸に向かって整列。厚い雲に阻まれ日の出を拝むことはできなかったが、午前6時に仏教青年会のメンバーが鳴らす鐘の音に合わせて黙とうをささげた。続いて全員が手をつないで「ふるさと」を合唱し、被災地への思いを届けた。

 函館市内から参加した主婦の杉谷真紀子さん(50)は「東北に住んでいた親戚が、震災当日の午後まで連絡が取れなくて心配したことを思い出した。まだまだ復興の道は遠いが、函館から少しでも手助けできるよう応援したい」と話していた。

 津波で大きな損害を受けた函館朝市では午後2時半、関係者約50人が駐車場広場に集合。発生時刻を迎えると、手を組み静かに目を閉じて黙とうをささげた。

 函館朝市協同組合連合会の井上敏廣理事長は「この日が来ると思い出す。被災地に対して微々たることしかできないが、少しでも復興の力となりたい。我々も新幹線開業を控え、被災に負けずに函館を活性化していきたい」と話した。

 この2年で3度被災地を訪れた、いなば食品の稲場永次さんは「先月も石巻市に足を運んだが、仮設住宅が多く復興はまだ遠いと感じた。我々のできることはささいなものだが、これからも応援していきたい」と語っていた。



◎元気福島カレー食べ 復興支援へ決意新たに

 函館の市民団体「夢と声で未来を創るユメこえ」(川村陽子代表)は11日、杉並町の復興カフェで、東日本大震災の「復興を語る会」を開いた。ユメこえ副代表のシェフ高島啓之さん(43)が再現した「元気福島カレー」を食べながら、被災地に寄り添う思いを新たにした。

 「3・11」に合わせたイベントとして初めて企画。震災を忘れず復興支援について考えようと、静岡や埼玉からも含む約15人が参加した。

 ランチに提供したカレーは、フェアトレード商品を扱う「プレス・オールターナティブ」(東京)が、被災地支援のために商品化したレトルトカレーで、レシピは高島さんが考案。この日は小麦粉を使わず野菜と鶏肉、スリランカ産スパイスだけで作る甘口カレーを再現した。今後、同カフェのメニューに加える。

 盲目の写真家、大平啓朗さん(33)=函館=も訪れ、2011年6月に宮城県石巻市と南三陸町で撮影した写真15点を店内に展示。大平さんは「あの日から遠くなっている自分がいたな、と感じる。風化させないために支援活動を続けたい」と話した。

 震災発生の午後2時46分には、キャンドルをともし全員で黙とう。高島さんは「福島の現状を知って古里を強く意識するようになった。私たちの古里・函館を守っていかないと」と話していた。(山崎大和)


◎函館市部長級人事固める

 函館市の工藤寿樹市長は、4月1日付の部長級人事をほぼ固めた。定年退職する上戸慶一総務部長の後任に川越英雄保健福祉部長、財務部長には山田潤一農林水産部長を充てる方針。7人が定年退職することに伴い、次長・課長級から8人が昇任するとみられ、近年にない大幅な異動となる見通し。13日に内示する。

 複数の関係者によると、定年退職する沢田寛之競輪事業部長の後任に三上武一恵山支所長、同じく退職する小柳辰夫環境部長の後任には高橋良弘市民部長を充てる方向。

 保健福祉部長に種田貴司市教委生涯学習部長が回り、後任の生涯学習部長には政田郁夫土木部次長が昇格する見通し。

 定年退職する妹尾正白港湾空港部長の後任に平井等経済部長、市民部長には大竹教雄財務部長を充てる方向で調整している。塚谷善次監査事務局長も定年退職し、後任には藤田光企業局交通部長が就く見通し。交通部長の後任には藤田秀樹環境部次長の昇格が有力視されている。

 併せて、佐藤洋一南茅部支所長の定年退職に伴い國安秀範港湾空港部次長、同じく退職する田中俊弘選挙管理委員会事務局長の後任には、下中修子保健福祉部次長をそれぞれ昇格させる意向。

 農林水産部長には小上一郎議会事務局長が就き、これに伴い小野浩企画部次長を議会事務局長に起用する方向。経済部長に入江洋之同部参事1級(中心市街地活性化担当)、同参事1級には上戸泰雄椴法華支所長が回り、椴法華支所長に山田隆嗣都市建設部次長、恵山支所長には坂野昌治市教委生涯学習部次長をそれぞれ起用する方向で、東部4支所は戸井以外の3支所長が代わる見通しだ。

 また、市教委学校教育部長には小山みゆき南北海道教育センター所長が就任する見通しで、女性の部長職は計3人となる模様。(千葉卓陽)