2013年3月15日 (金) 掲載

◎情熱注ぎ10年 熱帯植物園・坂井園長が退職へ

 函館市熱帯植物園園長の坂井正治さん(75)が、今月末で同園を退職する。この10年間、園内の環境整備に努めたり、季節ごとに市民向けの行事を始めたりと活性化に貢献。「植物園は彩り豊かになったけど、もっときれいにできるはず」。職場を離れる日まで、花々を見守り続ける。

 坂井さんは函館出身。北海道学芸大函館分校(現道教育大函館校)卒業後、教員になり各地へ赴任。教頭、校長として計8年間勤めた知内湯ノ里小時代には、地域住民と一緒にホタルの観賞スポットを造った。退職後も児童館館長を務める傍ら、親子に菊の育て方を教えてきた。

 2003年、市から同植物園の維持管理の委託を受けたNPO法人函館エコロジークラブ(福西秀和理事長)から「仕事しないか」と声が掛かった。「少しでも古里への恩返しになるのなら」。1カ月近く悩んだ末、坂井さんは決断した。

 目標に掲げたのは「また行ってみたくなる植物園」。水やりはもちろん、土壌改良や肥料、腐葉土を入れる作業を、汗水流して毎日続けた。ボイラーで暖まった温室では、一日でも水やりを欠かせば花は枯れる。年月をかけ、300種3000本の植物が楽しめる環境を整えた。

 園芸店や市民ボランティアの協力もあり、「花の市」(春)、「収穫祭」(秋)などの行事も展開。いずれも毎回1000人以上の市民が訪れ、リピーターを増やした。坂井さんは「『花の市』に3000人来てくれた年もある。憩いの場となってうれしい」。

 就寝時間は毎晩午後11時過ぎ。園内の掲示板を手書きで作ったり、行事などの準備をしたりと、自宅でも寸暇を惜しんで手を動かす。活動の原点にあるのは、植物を育てる喜び、命の大切さを子どもに伝えたいとの情熱だ。

 新年度以降は、植物に関する慈善活動をしたい考え。坂井さんは「園芸店や地域の学校、市民ボランティアと一体になってやってきた。皆さんと出会わなければ私はがんばることができなかった」と話し、「今後もきれいで美しい植物園を保ち、お客さんを迎えてほしい」と期待している。(長内 健)



◎料理で知ろう 地元農産物…「あぐりへい屋」28、30日に体験会

 【北斗】JA新はこだて(畠山良一組合長)のファーマーズマーケット「あぐりへい屋」(北斗市東前62)は28、30日に、調理・加工室「テーマクッキングルーム食と輪」で、料理体験教室を相次いで開く。開店後初めて同室を使う一般向けイベントで、地元農産物の大切さを知ってもらう狙いだ。

 28日は「ジュニアカレー教室」と銘打ち、調理タレント橋本舞子さん(函館)が小学生にカレー作りを教える。店内に並ぶ野菜の中から、好きな食材を選んで調理。カレーを煮込む間に小麦粉を練ってナンも作る。4〜6年生10人ほどを募集。参加費は500円。

 30日の「親子でそば打ち教室」は、4〜6年生の親子10人程度を募集。知内産そば粉を使い、上磯そば打ち同好会のメンバー5人が、熟練の技を伝授する。冷たいそばと温かいそばの両方が楽しめる予定。子ども500円、大人1000円が必要。

 同室は女性部のみそ造りなどのほか、消費者との交流の場として設置。同JA大野基幹支店の田山光幸営農センター長は「食育と地域貢献が目的。次回は主婦向けの弁当作り教室なども企画したい」と話す。

 両日とも午前10時〜午後1時半。定員になり次第、受け付けを終了。申し込みは同店(TEL0138・77・7779)へ。(山崎大和)



◎ファミマ 7月にも道南進出

 コンビニエンスストア大手の「ファミリーマート」が7月にも函館を拠点として道南地域に進出することが分かった。道内では札幌を拠点に道央圏で店舗を展開しているが、それ以外の地域での出店は初めて。道南を道央圏に続く集中出店地域とする考えだ。

 ファミリーマートが道内に進出したのは2006年で、札幌市を中心に出店を続け、現在は江別、千歳市を合わせて58店舗を展開している。

 道南の第1号店になるとみられるのが五稜郭町の店舗で、7月のオープンを目指して準備を進めているという。また、8月に函館新道沿いの桔梗町と石川町をまたぐ地区にオープンする大型複合商業施設への入居も検討している。

 道内でファミリーマートを運営する北海道ファミリーマート(札幌)は、セイコーマートグループのセイコーフレッシュフーズ(同)とファミリーマート本体の共同出資会社で、同社では道南進出について「計画段階」とし、物流体制についても「検討中」としている。

 ただ、道央圏で足場固めをしたうえでの地方展開で、物流効率を高めるためにも今後、出店が加速するとみられる。(松宮一郎)


◎水産・海洋センター 複数民間企業が入居の意向

 函館市議会の予算特別委員会(佐古一夫委員長)が14日から始まり、初日は総務常任委員会所管分(教育委員会を除く)を審議した。旧函館ドック跡地に整備している函館国際水産・海洋総合研究センターに関し、市企画部は複数の民間企業が入居する意向があることを明らかにした。また、地球深部探査船「ちきゅう」などを所有する独立行政法人海洋研究開発機構(本部・神奈川県横須賀市)が市との連携に前向きな意向を持っていることを示した。

 茂木修氏(公明党)の質問に答えた。

 同センターは2014年3月の完成、同6月の供用開始を目指して建設工事が進んでいる。市は入居機関を公募する方針を示す一方で、北大大学院水産科学研究院や北大北方生物圏フィールド科学センター、公立はこだて未来大学などと入居を前提に協議している。

 同部は「地域の大学と連携して研究開発に取り組む民間企業からも入居の意向が示され、利用規模や研究内容の確認を進めている」と説明。具体的には道内外の2社が公募に応募する意向があり、4〜5社が検討中としている。

 また、同部は昨年、海洋研究開発機構を訪れ「ちきゅう」の函館寄港を要請したことを明らかにするとともに、13日に理事らが市役所を訪れ、工藤寿樹市長と懇談したと報告。函館国際水産・海洋都市構想に興味を示しており「ちきゅうに限らず調査研究船の寄港を含め、シンポジウム開催など連携を前向きに考えていきたいとの話があった」とした。

 「ちきゅう」はこのほど、愛知県沖の海底地層から天然ガスの一種「メタンハイドレート」の試験採取に使われた調査船。同機構は6500bまで潜れる有人潜水調査船「しんかい6500」なども所有する。

 同部の本吉勲参事は「函館は港のほかに空港もあり、乗組員の入れ替えや補給に便利。少しずつ機構との連携が深まれば」と話している。(千葉卓陽)