2013年3月18日 (月) 掲載

◎観光客の散策手助け「まちあるきネット」 新幹線開業見据え24日設立

 観光客が自らの足で函館の名所散策を楽しんでもらう「まちあるき観光」を盛り上げようと、ボランティア団体や個人ガイドらを集めた新組織「函館まちあるきネットワーク」が24日に設立される。2015年度の北海道新幹線開業を見据え、ガイドの技術力向上や新たな散策ルートづくりを目指す。

 まちあるきは長崎市が市民レベルで展開している「長崎さるく」を手本に、函館市などが観光客の滞在日数を延ばそうと推進しており、3年前からガイド養成セミナーや名所・旧跡を網羅したマップ作成を進めている。

 市内では現在、2つのボランティアガイド団体が存在するほか、セミナー受講者が個人でガイドを請け負うことも。新組織はガイドに取り組んでいる人々が一つにまとまってスキルアップを目指し、将来的にガイドで生計を立てられるよう、産業として育てることが狙いだ。

 同ネットは旅行会社からの要望に応じてガイドを提供するほか、ガイド、ホスピタリティ(もてなしの心)と新たなマップ作成に関するワーキンググループを設置。代表幹事にはボランティアガイド「函館一會の会」の佐藤喜久恵会長が就任し、歴史や自然、文化、ロケーションなど市内観光に精通した7人をオブザーバーに迎える。

 24日午後1時半からウイニングホテル(末広町)で設立総会を開くとともに、「まちあるきと観光のまちづくり」をテーマにしたパネルディスカッションを開く(参加無料)。

 今後、会員を募集していく方針。事務局の函館観光コンシェルジュセンターは「まちあるきは観光の手法として有益。行政主導だった取り組みを民間レベルで受け継ぎ、観光の力を結集したい」と力を込め、「新幹線開業までに新分野として育て、雇用につなげていきたい」としている。(千葉卓陽)



◎函館駅前電停 改修へ 函館市新年度

 函館市は新年度、市電函館駅前電停を改修し、デザイン性の高い壁や屋根を整備する。函館の玄関口にふさわしい景観として、駅前通や周辺のバス停などと合わせて検討している整備案が今月末にも完成する見通しで、白系の明るい壁面に開放感のあるプラットホームに生まれ変わる。

 中心市街地活性化基本計画(中活)事業。事業費は駅前電停2カ所で8000万円。現電停の解体や工事中の仮設電停設置に1400万円、上屋の整備に4000万円などを見込む。財源は社会資本整備総合交付金で3600万円を見込むほか、合併特例債を活用し、市の実質的負担は2割程度となる。

 2月に市内で開かれたフォーラムでデザイン案の中間報告があり、壁面の色は市電車両で使用されているスノーホワイトかアイボリーを基調とし、採光のためのスリット窓を配置。入り口部分の屋根を高くして、開放感を出し、プラットホームには折りたたみのベンチや手すりなどを配置する構想が示された。

 15日の市議会予算特別委員会で、市は駅前電停に続いて2014年度に五稜郭電停の整備を実施する考えを示した。中活エリア内の他電停も統一デザインで順次改修するため、新年度に整備計画を策定する方針。経済部中心市街地等再生担当の入江洋之参事は「既存の電車やバスを活用し、市民、観光客の回遊性をこれまで以上に高めることが重要。利便性が高まることで、公共交通の維持にもつながる」と話している。(今井正一)



◎手で触れて縄文鑑賞 視覚障害者、土器や土偶の魅力満喫

 視覚障害者を対象に縄文土器や土偶に触れ、縄文の魅力を体感する見学会が17日、函館市縄文文化交流センター(臼尻町)で開かれた。視覚障害者と介助ボランティアら約60人が、通常、ガラスケースに入れて展示されている土器や国宝・中空土偶のレプリカなどを手で触り、貴重な体験を楽しんだ。

 函館視覚障害者福祉協議会(島信一朗理事長)が企画した試みで、同センターが依頼に応じ協力した。

 最初に阿部千春館長が縄文文化について講話し「縄文は1万年以上も続いた文明。小さな集落がネットワークを形成し、自然と共生しながら助け合ってきた」と述べた。

 その後、3グループに分かれて土器の手触りを体験し、視覚障害者は介助者に誘導されながらテーブルに並べられた土器や石製の道具類などを順番に触れ、手のひらや指先で感触や形状を確かめながらイメージを膨らませた。

 中空土偶のレプリカでは「国宝に触れて感激」などと話す障害者も見られ、高谷幸子さん(73)は「中空土偶は目鼻がきちっとしていて姿が想像できました。一度は見学したいと思っていたので、触れる機会を与えてくれて感謝です」と話していた。

 このほか、縄文式の組紐作り体験も行われた。島理事長は「視覚障害者にとって博物館は足の遠のく施設の一つだが、目が見えなくても楽しむ術(すべ)があれば参加意欲につながる。意義ある試みだった」と話し、阿部館長も「通常の展示よりも縄文の魅力が伝わったはず。文化を核とした学び観光として期待でき、今後検討していきたい」と話した。(鈴木 潤)


◎残雪払い、彼岸の入り 函館市内

 春の彼岸の入りの17日、函館市内の墓地では墓参りに訪れた多くの家族連れが見られた。春めいた陽気の下、まだまだ目立つ残雪を払い、先祖をしのんだ。

 函館海洋気象台によると、この日の函館の最高気温は6・0度、積雪量は9aといずれも平年並み。東山墓園(東山町)を訪れた市民は、通路や墓石周囲の雪をスコップで掘り出してから花を手向けていた。

 家族3人と訪れた市内谷地頭町の佐々木雅三さん(42)は「春の彼岸は2年ぶりだけど、3、4年前より雪が多くて驚いた」と話し、手を合わせていた。(長内 健)