2013年3月21日 (木) 掲載

◎商店街交付金 利用好調 本年度87%消化

 函館市が実施している「元気いっぱい商店街等支援交付金制度」は本年度、18団体から延べ38件、約3500万円の利用申請があり、予算額に対する執行率は約87%に達する見通しだ。開始2年目となる本年度は、大売り出しなどでの活用に加えて趣向を凝らしたイベントを行う商店街も増えている。市は「各事業を検証し、さらに有効活用を図ってほしい」と求めている。

 交付金は商店街の存在の再認識や活性化を目的に工藤寿樹市長が政策に盛り込んだ事業の一つ。集客イベントや販売促進事業、遊休施設の活用などに対して事業費の全額を交付する。

 商店街や商店街振興組合、市場、商工会など市内の21団体を対象とし、本年度は4030万円を計上。参加店数に応じて30万〜300万円を配分し、各団体は上限の範囲内で複数回申請できる。 市商業振興課によると、交付金は夏祭りや歳末大売り出しといった既存事業の充実やプレミアム商品券販売に活用されたほか、弁当の開発(十字街商盛会)や抽選券付きクーポン発行(函館梁川商興会)、学校と連携した七夕飾りの作製(柏木商友会)など、個性的な事業を展開した商店街もあった。

 梁川商興会は2月10日から1カ月間、飲食店やショップなど町内40店で使えるクーポン券と、市内人気ホテルの宿泊券などが当たる応募券が付いたちらしを新聞に折り込んだ。クーポンは延べ565枚が使われたほか、2、3月に開いたステージイベントに計500人が来場。「閑散期に各店舗でくまなく利用があり、一定の効果があった」と話す。

 新年度は交付対象が1団体減るため、3930万円を予算に盛り込んでいる。併せて、国が緊急経済対策として上限400万円、事業費の全額を交付する制度を設けており、市は各商店街に対し、市の制度と合わせて国の制度の利用も呼び掛けている。

 同課は「個店の売り上げ増加に結び付いた例もあるが、各商店街が目指す姿を考えるきっかけになっているのが一番の効果。新年度も積極的に活用し、活性化が図れれば」としている。(千葉卓陽)



◎函館大火の教訓忘れるな 市消防本部かせ訓練

 21日は函館大火の日—。函館市消防本部(大坂晴義消防長)は20日、函館市役所前の東雲広路で、烈風下での火災を想定した消防訓練を行った。

 1934(昭和9)年3月21日に発生した函館大火は住吉町から出火、強風の影響を受けて市内の約3分の1を焼き尽くし死者2166人を出した。

 訓練は函館市消防本部の職員や消防団員、近隣住民など約150人が参加した。旭町から出火し、強風で延焼が広がる恐れがある状況を想定。消防団員は住民を誘導して避難させ、発煙筒をたいた小屋に向けて放水した。その後、消防車両7台が出動、一斉に放水して飛び火を防止する水の壁をつくった。

 同本部の荒木克行警防課長は「この時期は空気が乾燥しており強い風も吹くので、大きな火災につながりやすい。甚大な被害を出した大火が二度と起こらないよう、市民の皆さんも防火の意識を高めてもらいたい」と話した。(金子真人)

 



◎高校の制服商戦ピーク 市内・近郊の百貨店など

 公立高校の合格発表が終わり最初の休日となった20日、函館市内・近郊の百貨店や衣料品店などでは、高校の制服の採寸に訪れる親子連れでにぎわいをみせた。新入生は期待に胸を膨らませながら、制服に腕を通していた。

 棒二森屋(若松町17)では本店とダイエー上磯店(北斗市七重浜4)にそれぞれ特別展示会場を設置。この日は、午前10時の開店と同時に続々と新入生らが来店した。本店ではスタッフ15人が対応し、袖丈や胴回りを計測。新入生は家族らと相談しながらサイズを確かめ、喜々とした表情で試着していた。

 函館工業高校に入学する黒川沙彩さん(15)は「憧れのセーラー服を着ることができる。文化祭などの学校行事が楽しみ」と笑顔で話していた。

 函館市本町32の函館丸井今井では、2月半ばに特設制服売り場を設置。これまでは推薦と私立高合格者が中心で来店者は少なかったが、18日の公立高合格発表以降に一気に数が増えた。

 同店のセールスディレクター吉原浩幸さんは「制服は基本的にオーダーメードなので、メーカーに発注して現物が出来あがるまで時間がかかる。今週の土日までに注文してもらえれば、確実に入学式に間に合う」とし、早めの注文を呼び掛ける。同店ではシャツやバッグ、靴などの必需品も同時に並べていて、まとめて買い求める人も多いという。

 七飯高校に進学する高野紗奈さん(15)は「まだ高校生になる実感は薄いが、制服が届いたら気持ちが高まると思う」と話していた。(小川俊之、平尾美尾子)


◎取引企業をマッチング 函館信用金庫

 函館信用金庫(函館市大手町、上條博英理事長)はこのほど、取引先企業間の事業拡大、販売促進を図ろうと、業務内容などを紹介した情報誌「はこしんビジネスマッチング」を作成した。同信金では「情報誌をうまく活用してもらい、企業間の連携を強めてもらえれば」と話している。

 同信金の取引先企業から冊子作成の要望があり、昨年4月に同信金と企業で検討会を立ち上げ、1年間かけて完成させた。A4判、カラーで198ページ。900部作成。

 冊子には同信金の取引先約730社のうち、22業種604社の情報を掲載。業種ごとに企業を紹介しており、設立年月日や従業員数など基本情報のほか、業務内容や自社PRを載せた。「互いに仕事内容を詳しく知ることで企業同士の連携が深まる。マッチングに向け有効なツールになる」と同信金の石田修業務部長。

 3月はじめに完成し、取引先企業に配布。同信金によると、情報誌をきっかけに取り引きに発展した企業があるほか、10件を超す相談や照会があるという。

 杉崎和紀理事は「マッチングの実現、拡大に向けて取り組みを充実させていきたい」と話している。冊子は同信金の取引先企業のみの配布。(松宮一郎)