2013年3月22日 (金) 掲載

◎青函企業がパートナー探し真剣、新幹線開業見据え初の商談会

 2015年度の北海道新幹線開業を見据え、函館商工会議所と青森商工会議所は21日、函館市内のホテルで青函両地域の企業を結びつける商談会を初めて開いた。ビジネス環境が大きく変化する新幹線開業を双方の商機拡大に生かそうという取り組みだ。この日は青森側の企業が自社の取り組みを紹介し、互いに事業のパートナーを探した。

 両市は1989年に「ツインシティ」の提携を結び、行政や民間レベルでの交流を進めてきたが、経済やビジネス面での交流成果は挙がっていなかった。商談会は、新函館開業をビジネスチャンスととらえた青森側が函館側に提案。「会員事業所パートナーシップ支援事業」として実現した。

 商談会に参加した青森の企業は、函館側との連携を希望する建設業や菓子製造業、駅ビルなど8社。函館側は22社が集まった。青森側が提案し、商品などをPR。「新しい土産品を作ろう」「商品、サービスを函館に浸透させたい」などと呼び掛けた。続く個別の商談会でも、事業のアイデアなどを話し合った。

 これまで青森とのつきあいが浅かったというコンブ加工の梶原昆布店(若松町)の梶原健司社長は「面白いアイデアや提案があり、協力できそう。ガゴメコンブにも興味を持ってもらえた」と手応えをつかんだ様子。一方、青森市の総合卸売業、角弘の小田桐健藏社長は「新函館開業を機に函館との交流を活発にしていく」と意気込んでいた。

 年1回のペースで両市交互に商談会を開く予定で、次回は秋に函館側が青森を訪れるという。(松宮一郎)



◎学生アプリコンテスト、未来大の數原さん最高賞

 はこだて未来大情報アーキテクチャ学科4年の數原綾華さん(22)が、携帯端末用アプリケーションソフトを対象とした「HOKKAIDO学生アプリコンテスト」(北海道経済産業局主催)で、最高賞にあたる優秀賞を受賞した。21日に同大を卒業し、東京での就職が決まっている數原さんは「大学生活の最後に最高の栄誉をいただき光栄」と喜んでいる。

 同コンテストは道内の高校、高専、専門学校、大学の学生が対象。數原さんの受賞作品は、卒業論文として制作した「アニメーションを利用した小学生のための英単語学習アプリ」。

 同アプリは携帯端末の画面に「ヒトデ」や「キツツキ」などの動物の画像が並び、指でタッチすると「Starfish」「Woodpecker」などと英訳が表示される仕組み。さらに「Star」=「星」、「fish」=「魚」などと語源を分解しながら、効率的に単語を暗記することを狙っている。

 數原さんは大学4年時に角薫教授の研究室に所属して、このアプリの開発に取り組んだ。実際に小学生の授業で活用してもらいながら、より使いやすい仕様に改良していったという。

 數原さんは「自分自身が英語が苦手だったので、どうやって子どもたちに楽しく学んでもらえるかが開発の出発点。賞がもらえるとは予想していなかったのでうれしい」と笑顔。角教授は「アニメーションを使って遊びながら英単語を記憶できるアイデアが素晴らしい」と賛辞を送る。

 同アプリは、4/6〜21に、KDDIデザインニングスタジオ(東京都渋谷区)とドコモスマートフォンラウンジ札幌(北海道札幌市)に展示される。(小川俊之)

 



◎青函観光モニターツアーに首都圏から22人

 函館市と青森市のツインシティ交流事業として、首都圏の観光客を対象とした観光モニターツアーが20日から開かれている。3年後に迫る北海道新幹線開業に向け、青函ブランドの強化が目的。60歳以上の観光客22人が訪れ、街歩きや名所散策を楽しんでいる。

 2009年の青函ツインシティ(双子都市)提携20周年を記念し、太宰治の作品にヒントを得て青函圏域の新たな魅力づくりを目的に実施している「赤い糸プロジェクト」の一環。JR東日本が展開する「大人の休日倶楽部」の会員から参加者を募り、青函観光の魅力を知ってもらおうと企画した。

 一行は20日に東京を出発後、青森観光を楽しみ、21日午後に函館入り。函館観光ボランティアガイド「愛」の小島洋一さんが案内役となって箱館奉行所や五稜郭タワーを見学。行き帰りの市電内では、スイーツや揚げたてのかまぼこに舌鼓を打っていた。

 3月下旬とは思えない寒さでも、参加者は満足そうな表情。埼玉県川口市の青山イツさん(68)は、友人の長谷川昭子さん(69)=千葉県成田市=と一緒に参加し「青森では普通の観光では行かないような場所を楽しめ、函館ではガイドの説明が分かりやすかった。もう一度来て、土地深く知りたい気持ちになった」と話していた。

 一行は22日まで滞在し、青函観光が有意義だったかどうかのアンケートを行う。同プロジェクトは本年度で終了し、市国際・地域交流課は「今後は25周年記念に向けた事業展開を考えていく。アンケート結果を今後の青函連携に活かしたい」としている。(千葉卓陽)


◎函館大火80回忌慰霊法要で冥福祈る

 函館市に甚大な被害をもたらした函館大火の80回忌慰霊法要が21日、函館大火慰霊堂(函館市大森町33)で執り行われた。遺族や消防署員など約50人が参列し、読経と焼香で犠牲者の冥福を祈った。

 1934年3月21日、住吉町から出火。風速30b以上の激しい風で瞬く間に燃え広がった。翌22日に鎮火したものの、22町を焼失。被害世帯2万2667世帯、被災者10万2001人、死者は2166人に上った。

 全国からの義援金により建てられた慰霊堂には、このうち679人の身元不明者を無縁仏として納骨。同所で毎年犠牲者を慰霊している。

 法要では市仏教会の僧侶18人が読経する中、参列者が焼香。目を閉じ、手を合わせながら念仏を唱え、犠牲者への思いと防災の心構えをあらためて胸にしていた。

 毎年参列している高盛町の近藤幸治さん(89)は「小学生のときに大火が起き、母と2人で大森浜まで逃げたが、火が浜まで迫り逃げ場がなくなって母は波にさらわれた。このようなことが二度と起きないよう、子や孫に伝えていきたい」と話していた。(後藤 真)