2013年3月25日 (月) 掲載

◎養殖コンブ研究 大船、石崎地区を拠点に 函館水試

 道総研函館水試(湯川町)が新年度から5カ年計画で取り組む「養殖コンブ生産安定化試験」で、調査・モニタリングを行う場所が函館市内の大船、石崎両地区に決まった。地元漁協との調整を経て太平洋、津軽海峡に面した漁場を選定。研究は5月連休明けから本格的に動きだす。

 2カ所を拠点に毎月、調査・モニタリングを実施しデータを収集。内容は@コンブの成長や実入りなど生育状況調査A水温や塩分、栄養塩、流況など海洋環境調査B穴あき症、付着生物被害の実態解明—が柱。

 同水試によると、太平洋では、穴あき症が1998年以降発生しており、葉体に多くの穴ができて藻体の流出や商品価値の低下を招く。また、ヨコエビ類による「芽落ち」と呼ばれる幼体の消失が発生し、減産の一因となっている。

 津軽海峡では、クラゲの仲間「ヒドロゾア」が付着し、製品の価値を下げてしまう問題がある。地元からはこれらの要因解明と対策を望む声が強く、研究成果を活用し対策を検討する。

 また、養殖コンブに関する情報ネットワークも構築し、いち早く情報を受発信できるようにする。

 担当するのは赤池章一研究主幹と奥村裕弥主査。赤池さんは「生産量の年変動が大きく、現場は苦労している。改善を手助けすることで、さらに養殖コンブ漁業を安定させたい」と話す。

 2011年の道内コンブの大減産を受けて道総研として対応する方針を決め、道内7カ所ある水試のうち函館、稚内、釧路で事業を始める。函館水試が養殖コンブ研究を事業化するのは約30年ぶり。(山崎大和)



◎函館の魅力発信しよう まちあるきネットが設立

 観光客が自らの足で函館の名所散策を楽しんでもらう「まちあるき観光」を盛り上げようと、ボランティア団体や個人ガイドを集めた新組織「函館まちあるきネットワーク」(佐藤喜久恵代表幹事)の設立総会が24日、ウイニングホテルで開かれた。2015年度の北海道新幹線開業を見据え、観光客に質の高いガイドサービスの提供や、新たな散策コースの構築を目指すことを決めた。

 ガイドに取り組む団体や人々が技術向上や将来的なガイドの産業化を目指そうと設立。まちあるきイベント「てくてくはこだて」の運営や、マップ作製など3つのグループを設ける。総会には約60人が参加。佐藤代表幹事は「魅力を掘り起こし、市民全体で魅力を伝えていこう」と呼び掛けた。

 続いて、まちあるきと観光まちづくりをテーマにパネル討論。箱館歴史散歩の会主宰の中尾仁彦さんは「市民が函館の街を愛し、街を知ってもらうことがスタートでは」と指摘。旧相馬邸代表の東出伸司さんは「元町が空き地だらけの街になるのではと焦りを感じた」と話し、旧相馬邸改修の原動力になったとした。

 市立博物館館長の田原良信さんは、明治期の西部地区の街並みに関する貴重な写真を紹介。「大火のたびに素早く復興し、れんが造りの建物が増えていった復興力の強さが函館のすごさ」と力説した。(千葉卓陽)



◎ふくしまキッズスタート 春休み、道南満喫へ

 島県の子どもたちに春休みを過ごしてもらう「ふくしまキッズ春プログラム」(実行委員会主催)が24日、始まった。JR函館駅に到着した子どもたち46人は初日宿泊先の道立森少年自然の家「ネイパル森」(森町)に移動し、スタッフらの歓迎を受けた。4月2日まで七飯町東大沼の流山温泉を拠点に道南各地で活動する。

 東日本大震災、福島第一原発事故が発生した2011年の夏から学校の長期休暇に合わせて実施し、大沼開催は6回目。参加者だけではなく、学生スタッフにもリピーターが多く、企画や運営は学生らに委ねた。スタッフの1人廣瀬遥さん(22)=道教育大札幌校の=は「被災地に行かなくても道内でもできることをやろうと集まった」と話す。

 滞在中、低学年は七飯町近郊のホストファミリー宅で民泊、高学年は集団での合宿や、自分たちで行き先や活動を決めてのフィールドトリップなどを交え、自主性や生活面の自立を促す内容とした。南相馬市の小学5年生菜花歩夢君(11)は「雪遊びのできる場所に行きたい」と目を輝かせた。

 総責任者の上田融さん(39)は「全国各地に受け入れ先は広がっている。支援金が集まりにくくなっている現状もあるが、福島の子どもたちのためという事業の核は変わっていない」と話していた。(今井正一)


◎20周年飾る壮大な響き マキシマムが記念公演

 函館のマーチングバンド「マキシマム・ドラム・アンド・ビューグル・コー」(マキシマム、福崎進一代表)の創立20周年記念公演が24日、市民会館で開かれた。出演者は総勢150人。節目を飾る壮大なサウンドを繰り広げ、ホールを埋め尽くした来場者を楽しませた。

 マキシマムは、福崎代表ら函大付属有斗高OBが1993年に設立。現在は20代中心に約40人が所属し、市青年センターで練習を重ねている。

 「片目の水夫伝説」を披露したオープニングから迫力満点の舞台を展開。息の合った金管、打楽器のハーモニーに、カラーガードと呼ばれるフラッグパフォーマンスが華やかさを演出。ゲスト出演した創価学会函館吹奏楽団、有斗高、亀田中、青柳小の各バンドとの合同合奏も披露し、拍手喝采を浴びた。

 2部は、マキシマム編曲の「もののけ姫」を、3部は過去の公演で大好評だったという「オペラ座の怪人」を奏でた。家族を連れて来場した市内の男性(40)は「多彩な編成の演奏は初めて。大満足です」と興奮した様子で話していた。(長内 健)