2013年3月26日 (火) 掲載

◎石積み防波堤ほぼ完成 函館漁港

 函館開発建設部で行っていた函館漁港の石積み防波堤(函館市入舟町)の復元工事がほぼ完了し、25日、報道陣に公開された。

 同防波堤は北海道で最初の近代港湾施設として1899(明治32)年に完成。近代港湾施設の先駆けとの評価を受け、2004年に土木学会の「選奨土木遺産」、06年には水産庁の「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財100選」などに選定されている。

 建設から110年以上が経過し、老朽化が激しいことから昨年2月から劣化した石を積み直すなどして復元工事を進めていた。

 同防波堤の高さは約6bで、北側が長さ105b、南側が11b。修復工事は近代土木遺産として技術や意匠の価値低下を招かないよう、当時の施工方法を尊重。積み石をいったん取り外し、劣化の激しい石を取り換えるなどして約2400個を積み直した。既存の石と新たに積み直した石とに違和感のないよう一体性を図る施工。劣化要因となっている雨水や海水の浸水を抑えるため目地の数を極力減らした。

 今月末には完成し、4月以降、道が管理する。同部函館港湾事務所は「価値のある歴史遺産。地元の誇りとして観光資源などに活用していただければ」としている。  (鈴木 潤)



◎防災・津波 対策拡充 ハンドブックと津波ハザードマップ作成

 函館市は津波避難計画の策定に伴い、新たな「防災ハンドブック」と「津波ハザードマップ」を作成した。ハンドブックには各災害の対策方法や避難所一覧を記載、ハザードマップは浸水予測範囲を詳細に示している。今月末までに市内全戸に配布する。

 A4判のハンドブックは12年ぶりの改訂。前回より津波の対策方法を拡充し、津波発生の仕組みや「津波は繰り返しくる」「引き潮がなくても注意する」などの注意点をイラストで分かりやすく紹介。避難施設や高台への移動、徒歩で避難するといった津波から身を守る方法も載せている。

 また火山災害対策を新たに盛り込み、駒ヶ岳と恵山の噴火警報発令時に想定される火山活動状況などを記載。このほか各避難所の連絡先や場所も載せている。

 ハザードマップは4年ぶりの改訂で、前回より4倍大きいA1サイズにした。特に津波の影響が大きいとされる函館駅前周辺などの拡大図と旧4町村の浸水予測範囲を新たに載せた。

 同計画では沿岸部102町を「避難対象地域」、徒歩での避難距離が700b以上で避難対象地域外への避難が難しい52町を「避難困難地域」に指定。避難対象者は約8万人としている。

 市総務部は「災害から身を守るには自助の姿勢が大切。万が一のために活用してほしい」と呼び掛けている。  (後藤 真)



◎「道新幹線新駅は新函館で」 市議会が決議可決

 函館市議会は25日の本会議で、2015年度に開業予定の北海道新幹線新函館駅(仮称)に関し、駅名を「新函館」とするよう求める決議案を全会一致で可決した。27日にJR北海道や道に要請する。

 決議は市議会の北海道新幹線新函館(仮称)開業に関する調査特別委員会(出村勝彦委員長)が提出。新函館の名称に関し「1998年の駅・ルート公表以降あらゆる場面で使われ、全国的にも浸透している」と指摘。新駅が道南の基幹駅となることから「仮称ではあるが、これまで名称が広く使われてきたことや、利用者にとってのわかりやすさを考慮し、引き続き『新函館』を用いることはごく自然な流れ」としている。 決議では名称に加え、新駅では函館駅とを結ぶアクセス列車と新幹線の利便性を考慮すること、アクセス列車は利便性・快適性が確保された車両とすることを求める。

 新駅の名称は開業1年前をめどにJRが決定するが、新駅が設置される北斗市議会は昨年6月に「北斗函館」を求めることを決議。道商工会議所連合会(道商連)の高向巌会頭は「函館北斗」が望ましいと主張している。

 27日の要請には、正副議長と特別委の正副委員長が赴く。能登谷公議長は取材に対し「函館圏域全体を考えた上で要請していきたい」とし、出村委員長は「長年の新幹線に対する考えをはっきりさせようと決議した。北斗とは同じ生活圏で、発展を共有するものがある」と理解を求めた。

 工藤寿樹市長はあくまで市議会の決議とし「新函館が望ましいという立場は変わらない」とコメント。一方、北斗市の高谷寿峰市長は「互いの主張は尊重しなくてはならない。北斗は駅ができる街なので第一当事者。JRには考えをよく聞いていただきたい」と述べた。 (千葉卓陽)


◎三セク準備協 経営基本方針で合意

 北海道新幹線開業に伴い、JR北海道から経営分離し第三セクターに移行する江差線五稜郭—木古内間(37.8キロ)の運営を検討する、道南地域第三セクター鉄道開業準備協議会の第3回会合が25日、渡島総合振興局で開かれた。経営・運行に関する基本方針を決定するとともに、事務局の道は来年5月をめどに三セク会社を設立し、今夏から民間企業に出資を要請する考えを示した。

 会合には高井修副知事と工藤寿樹函館市長、高谷寿峰北斗市長、大森伊佐緒木古内町長が出席した。

 基本方針は今年1月の前回会合で、道が示した骨子をベースにまとめた。開業当初から赤字が見込まれるため、運賃の値上げや五稜郭駅以外の無人駅化、JR函館線との乗り継ぎ割引を検討するとしたほか、函館駅への乗り入れについてJRと協議する。施設や設備は近年のJRの列車事故などを踏まえ、譲渡前に必要な整備や修繕を求めることを盛り込んだ。

 今夏から三セクへの出資を募り、来年4月の発起人会を経て同5月の会社設立を目指す。出資金は開業準備に充て、先行他県を参考に要請額を検討。他県では電力会社や地方銀行、信用金庫などが出資者に名を連ねている。

 併せて国に対し、鉄道資産など初期投資や赤字補てん、運行経費に対する支援制度の拡充や、鉄道資産に対する税制特例の拡充などを求めていくことを申し合わせた。

 質疑応答では大森町長がJRとの施設譲渡に関し「三セク経験者らの意見を参考に交渉してほしい」と求めたほか、高谷市長は駅舎の無人化について「前の協議会でもあまり議論されていなかった。丁寧に進めてほしい」と述べた。

 高井副知事は取材に対し「当初から赤字が見込まれた中で厳しいスタートを切らなければならないが、利用を促進しながら赤字幅を縮小したい」、工藤市長は「運賃と採算性が一番の問題。4者で一致して、国やJRへの支援措置を要望していきたい」としている。 (千葉卓陽)