2013年3月28日 (木) 掲載

◎ニンジン種まき盛ん

 【七飯】道内一早い露地ニンジン産地の七飯町で、種まき作業が本格化している。融雪剤をこまめに散布した圃場(ほじょう)には、保温のためのトンネルマルチが整然と並び、春到来を告げている。

 約2ヘクタールでニンジンを作る大川2の木村隆夫さん(62)方では、26日から開始。晴れ間が広がった27日は、家族3人とパート2人の計5人で種まきやトンネル被覆などの作業を進めた。今年は、積雪量が多く雪解けが大幅に遅れた昨年より10日ほど早いという。

 木村さんは「融雪剤は4、5回まいた。今年はまずまずのスタート。天候に恵まれて、いいニンジンが出来てほしい」と期待を込めた。6月末〜7月初めに収穫・出荷が始まる。

 渡島農業改良普及センター(北斗市)によると、同町内ではダイコン、ニンジン、白カブをトンネルマルチ栽培。今年は早い人で今月16日から種まきを始めたが、その後天候が悪くて今週に入って始めた人が多いという。(山崎大和)



◎函教大教育学部 存続の意向

 道教育大の新学部設置計画に伴い、函館校(八幡町)で小学校の教員養成機能の廃止が検討されている問題で、同大の本間謙二学長が方針を撤回し、現行の教育学部を存続させる意向を道南の関係者に示していたことが、27日までに分かった。存続を要望してきた函館の関係者は「地域事情に配慮してくれてありがたい」と安堵(あんど)している。

 複数の関係者によると、本間学長はこの日までに、函館校の教育学部を存続させる考えを伝えたという。1学年の定員を現在の330人から280人に減らし、機能を維持するとみられる。道南の各首長は昨年11〜12月、同大本学や文科省を訪ね、教員養成機能や附属学校の維持を要望していた。

 地元からは喜びや評価の声が上がった。ある首長は「我々の要望はおおむね聞き入れてもらった。文科省も配慮してくれたと受け止めている」と評価。別の首長は「地域のための教育大として残るよう、引き続き要望活動を続ける」と気を引き締める。

 嘆願書提出や署名活動をしてきた「道南の教育を考える会」の橋田恭一副代表は、「本当に存続されるのであれば」と前置きし、「私たちの活動だけでなく、地域の強い要請が本間学長に翻意を促したのでは」と指摘。「正式発表があるまで各市町と協力し、従来通り機能存続活動を続ける」とし、今後の動向を注視する考え。

 教員志望という函館校の地域創生専攻2年、阿部雄太さん(20)は「学部再編の話が出て以来、学生同士気にしていた問題。何とか機能維持が本決まりしてほしい」と話していた。

 同大は2011年10月、函館校に国際地域創造学部(仮称)を創設する計画を発表。函館校は道南で唯一、小学校教員免許が取れる機関で、同校OBら教育関係者を中心に反対活動を展開していた。(長内 健、千葉卓陽)



◎道新幹線戦略推進会議が発足 会長に高橋知事選出

 【札幌】北海道新幹線の開業効果を道内全域に波及させていく取り組みを推進しようと、道や経済団体、道南の駅周辺自治体などでつくる北海道新幹線戦略推進会議が27日、発足した。札幌市中央区内のホテルで初会合を開き、会長に高橋はるみ知事を選出したほか、今後の取り組みについて意見交換した。

 同会議は経済界や産業・観光関係団体、交通関係団体など35団体で構成。道が事務局を担う。

 初会合では、高橋知事が「新幹線開業までカウントダウンに入った。道としてもオール北海道、さまざまな関係機関と連携しながら新幹線の開業効果を最大限に高めていきたい」とあいさつ。

 次いで、道が実施する新年度の主な取り組みとして、統一テーマやキャッチフレーズ、ロゴマークを決めていくことや、東北地域との連携、交流促進を目的としたフォーラムの開催などが示された。

 意見交換では、道南から出席した3市町の首長が新幹線対策の取り組み状況を説明。工藤寿樹函館市長は「交通網を整備し、新幹線効果を最大限享受したい。また、函館に来た客をまんべんなく道内全域に行き渡らせることも考えていきたい」、高谷寿峰北斗市長は「道のアクションプランとの整合性をとりながら市独自のプラン策定を進めている。道南全体で開業をPRしていきたい」、大森伊佐緒木古内町長も「木古内駅に降りていただくことを考え、取り組みをしている。札幌延伸に向けて良いモデルになるよう努力していきたい」とそれぞれ述べた。(鈴木 潤)


◎新駅前への企業誘致PR 北斗市 札幌で説明会

 【札幌】北海道新幹線新函館駅(仮称)前への進出企業を誘致しようと、北斗市は27日、札幌市内のホテルで説明会を開催した。北海道商工会議所連合会(道商連、高向巌会頭)などとともに初めて企画した企業誘致説明会で、高谷寿峰市長や担当課長が市の魅力や新駅前の立地メリットを紹介し、進出を呼び掛けた。

 新駅前の企業誘致をめぐっては、最大3億円を補助する市独自の助成制度を創設してPRしているが、進出企業は今のところない。新年度中に企業誘致の道筋をつけようと、今回初めて高谷市長がトップセールスをした。

 説明会には観光業や流通業、不動産業など札幌市内の企業110社約150人が出席。冒頭、高谷市長がトラピスト修道院、桜回廊といった市の観光資源の魅力や、進出企業に対する助成制度があることをPRし「遠慮しないで助成を受けて。早めのご英断を」と訴えた。

 次いで、天満淳一水産商工労働課長が駅前で整備を進めている土地区画整理事業の進捗(しんちょく)状況や助成制度の具体的な内容を説明。駅が道南の広域交通ネットワークの拠点となることや、新幹線の開業で首都圏、東北との移動時間が短縮し、日帰りの出張が可能になることなど、メリットを挙げた。

 その後の個別説明会では2社が参加し、そのうちの1社で、札幌市内の旅行業、サンビクトリーの山崎太祐社長(48)は「きじひき高原に関心を持った。駅ができるとたくさんの人が訪れるのでビジネスとして魅力がありますね」と興味を寄せていた。

 高谷市長は「興味を示したところにはこちらから積極的にアピールし、道商連とも連携をとりながら今後も誘致活動していきたい」と述べた。(鈴木 潤)


◎近鉄百貨店 初の道南・函館特集

 2015年度の北海道新幹線開業を見据え、近鉄百貨店(本店大阪)は、28日から橿原(かしはら)店(奈良県橿原市)で開催する北海道大物産展で「函館&道南エリアグルメ特集」を目玉に据える。道南の食の魅力を売り込み、観光客を呼び込む足掛かりとしたい考え。開業まで3年を切り、地方でも道南への注目度が高まってきた。

 阿倍野店(本店)のほか、関西を中心に10直営店がある。直営店で函館・道南に光を当てた特集を組むのは初めて。昨年10月に函館市内で開いた2012道南食と観光ブランドフェア(渡島総合振興局、桧山振興局主催)に参加した橿原店の催事担当バイヤー森島尚さん(45)が、道南の食に着目し企画した。

 4月3日までの期間中、道南からはイートイン2店を含む14店が出展。瑠瞳(るとう)木古内の「はこだて和牛弁当」や華隆(北斗)の「ホッキしゅうまい」、キングベーク(函館)のラスク、わっかけ岩(せたな)の乳製品など、地元で親しまれている特産品が並ぶ。

 イートインに出店する、函館塩ラーメン専門店えん楽の吉川寿樹店主(41)は「この機会に、伝統の函館塩ラーメンを大いに宣伝し、新幹線開業後に足を運んでもらうきっかけになれば」と期待を込める。

 会場では、北海道新幹線開通に関するパネル展のほか、道南商品を買って当てる「お買い上げ抽選会」も開催する。

 森島さんは「道内の中でも、道南は長い歴史に培われた多様で優れた食材が多い。開業に向けて注目度が高く、他の直営店バイヤーも道南に目を向けている」と話す。渡島総合振興局は「開業について、地方の人たちにも知ってもらうことが大事」(食と観光振興室)としている。(山崎大和)