2013年3月29日 (金) 掲載

◎JR江差線の廃止決定、バス転換で3町合意

 【上ノ国】JR江差線木古内—江差間(42.1キロ)が、来年5月にも廃止されることが28日決まった。廃止を検討しているJR北海道と、沿線3町の協議がまとまり、バス転換にかかるJRの地元支援策を3町が正式に了承。今後JRは廃線に向けて関係機関との手続きに入り、今年5月をめどに国へ申請する。

 同日、上ノ国町で開かれた沿線の木古内、上ノ国、江差の3町でつくる「第5回JR江差線対策協議会」(会長・工藤昇上ノ国町長)でJR側の地元支援策を3町が了承、同社の小池明夫社長と覚書を交わした。1日の前協議会でJRは、廃線に伴うバス転換の地元負担分9億円(同協議会の試算では18年間分の運行)の拠出を伝えていた。

 覚書によると、9億円は14年度から3年間、各年度初頭に3億円の分割払い。バス運行区間は木古内駅から江差高校の一日6往復。鉄路廃線に合わせて、同区間の定期券利用者への差額補償なども加えている。

 JR北海道の小池社長は「代替輸送の確保、地元負担の軽減にと弊社の厳しい経営状況を理解してもらい、3年後の新幹線開業に向けて当地の観光開発に努めたい」と述べた。

 工藤会長は「互いに誠意を持って協議を重ねてきた。住民の足を確保することが重要。(JRの)経営を考えると、今ここで同意せざるを得ない」、浜谷一治江差町長は「断腸の思いだが将来に向けて決断したい」、大森伊佐緒木古内町長も「一つの風景が変わるという寂しさがあるが、上ノ国などから木古内の病院に通っている住民らのために交通手段の確保に努めたい」としている。

 廃線決定を受け、江差町の男性(74)は「昭和11年以来地域の繁栄を支えた江差線がなくなるのは寂しいが、車社会という時代の流れを考えると(廃線は)仕方ないと思う」。木古内町の禅燈寺住職、好野秀哲さん(50)は「境内を線路が走る姿が人気で最近愛好家が多く訪れている。廃線は致し方ないが、線路が残るのであれば新たな活用法を期待したい」としている。(田中陽介、小杉貴洋)



◎雨活アイデアコン、白百合の寺井さん最優秀賞

 函館白百合学園中学校1年の寺井りりかさん(13)が、「雨活(あめかつ)アイデアコンテスト2012」(NPO法人雨水市民の会、ライオン主催)のスローガン部門中学生の部で、最優秀賞を受賞した。全国規模の大会での輝かしい成績に寺井さんは「自分の作品が高く評価されてうれしい」と喜んでいる。

 最優秀賞に選ばれた寺井さんのスローガンは「雨水は 奇跡の星の 贈り物 —雨水は生命の源 大切に利用しよう—」。

 同コンテストは雨水の活用を通じて環境問題への関心を高めてもらおうと、小中学生を対象に毎年開催。作文、ポスター、自由研究、スローガンの計4部門に分かれ、子どもたちの自由な発想による作品を募集している。本年度は全4部門に計6328作品の応募があったが、そのうち寺井さんが応募したスローガン部門中学生の部には、最多の2771作品が寄せられた。

 同中では毎年1、2年生の理科の授業の中で同コンテストに取り組んでいて、本年度は冬休み中の課題として両学年の全生徒61人が、自分たちの得意分野の作品を仕上げた。

 スローガン部門を選択した寺井さんは、宇宙についての本を読んでいた時に「地球に生物が生存するのは雨水があるから。雨水があるのは地球があるから」という、大循環のイメージが浮かび」作品に反映させたという。作品のポイントについては「『奇跡』という言葉を強調したかった。また「生命」という漢字を「いのち」ではなく「せいめい」と読ませることで、地球上のあらゆる生き物の命を表したかった」と話す。

 小さいころから文章を書いたり物語を創作することが好きだという寺井さん。「今回の受賞を励みに、もっとすてきな文章を書けるようになりたい」と意欲を見せている。(小川俊之)



◎「ななえ町物産振興協」誕生

 【七飯】北海道新幹線開業を見据えた地元食材の魅力アップや情報発信力の強化を目指そうと、28日夜、町文化センターで「ななえ町物産振興協議会」の設立総会が開かれた。設立を契機に開業効果を最大限に生かす取り組みを加速させる狙い。

 総会には町内の農業生産者や加工品製造業者など20以上の事業者に加え、七飯大沼国際観光コンベンション協会と七飯町商工会がオブザーバーとして参加。同協議会は既存商品の販路拡大や町の知名度アップに向けた宣伝活動、新たな特産品の開発などを実施して地域活性化に取り組むと同時に「開業機運」を盛り上げる狙いもある。

 この日は会長に山川牧場モータウンファクトリー(町大沼)の山川俊郎氏を選出した後、新年度事業計画案を承認した。同計画では函館や札幌で開かれる物産展への参加や、特産品開発や広報宣伝などの専門部会を設置することを予定。さらに試食会を兼ねた新商品発表会「逸品グランプリ2013(仮)」を開催することも盛り込んだ。

 山川会長は「新幹線開業に向けて皆が持っている力を結集し、行動できる組織を目指したい」と意気込みを語った。(森裕次郎)


◎駅前市有地再開発、菓子工場見学施設柱に

 函館市が昨年公募したJR函館駅前再開発事業の最優秀案となっていた市内の洋菓子製造販売ペシェ・ミニョン(湯浜町、中沢美樹社長)と、土地を持つ市、JR北海道が28日、事業協定を締結した。“函館の新たな顔”として、人気スイーツの製造工程が見学できる菓子工場を軸に観光客や市民が集える場とする考えで、北海道新幹線開業前の2015年5月のオープンを目指す。

 施設は「函館らしさを兼ね備えた美しいまち」がコンセプト。総事業費11億5400万円を投じ、スイーツ製造を見学できる3階建ての菓子工場(延べ床面積2150平方b)と、飲食店や物販店が入る1〜2階のテナント棟5棟を整備。

 敷地内には雨や雪をしのぐガラス屋根とともに歩行者用の高架回廊を設け、アーケードのような機能を持たせた。さらに屋外イベントスペースを設けるほか樹木を多く配置し、工場の屋根での太陽光パネル設置も検討している。駐車場は82台分設置する。

 市役所で開かれた会見には中沢社長、谷口諭企画部長とJR北海道の平川敏彦開発事業本部副本部長らが出席してスケジュールなどを説明。土地を26年間貸し出し、来年5月に建設工事に着手。1年後の15年5月に開業、年間70万人の利用を見込むとした。

 中沢社長は「次の世代にまちづくりを引き継ぐ考え方で進めていきたい。市民が函館の素晴らしさを認識してもらえるように頑張りたい」と意気込みを語った。テナントについて「国内外の何社かに打診している」とし、海産物中心の朝市との差別化を図る考えを示した。工藤寿樹市長は会見後に同社長と会談、「地域に波及効果を及ぼし、人を呼び込めるようにしてほしい」と期待を込めた。

 再開発対象地は、市有地とJR北海道の土地の計9887平方b。昨年10月に業者を公募し、応募は同社のみだった。(千葉卓陽)