2013年3月31日 (日) 掲載

◎観光振興 青函圏で連携

 【弘前】津軽海峡を挟んだ函館、青森、弘前、八戸4市による青函圏観光都市会議の設立総会が30日、青森県弘前市内のホテルで開かれた。2015年度の北海道新幹線新函館(仮称)開業を見据えて都市間連携を深め、国内外に発信できる広域観光圏を目指す。工藤寿樹函館市長は「4市は各地域の中核都市であり、互いに力強い味方になる。都道府県の枠組みを超えた観光振興は他地域にはないケース。発展させることを楽しみにしている」と抱負を語り、スピード感を持った事業推進を確認した。

 工藤市長、鹿内博青森市長、葛西憲之弘前市長、小林眞八戸市長が出席し、共同代表に就任。事務局は函館市が担い、今後、年1回の総会と、各市の観光部局長らによる幹事会を開催。周遊観光コースの検討などを重ね、具体的な観光商品開発に結びつける。

 13年度は、首都圏からの修学旅行生の誘致や仙台、札幌でのPR活動、各市で開かれるイベントへの相互参加など、一体的な取り組みを展開。周遊共通フリーパスの実現に向けて検討部会を立ち上げるほか、既存観光パンフレットを活用した共同宣伝媒体の作製や、観光施設や飲食店で利用できる共通クーポンの発行を進める。

 また、15年度までは各市で行われるイベントを活用した事業を進め、開業後の16年度には、大型キャンペーンの実施と、4市の観光地やイベントをパビリオンに見立てて各地域を周遊させる「青函圏博覧会」(仮称)を通年で実施する見通しが示された。

 会議では、開催地を代表して葛西市長が「圏域の未来にとって大きな第一歩になると確信している。世界に誇る広域観光圏を形成したい」とあいさつ。工藤市長は4市共通の観光ポスター製作を提案。青森側の3市長からは、九州や北陸新幹線との競争力を高めることが必要だとする意見や、観光振興効果を東日本大震災で大きな被害を受けた三陸地方の復興につなげる取り組みなどが提言された。(今井正一)



◎恵山に迷いハクチョウ 住民に見守られ「ハク」すくすく

 函館市の恵山地区で、1羽の飛べないオオハクチョウが地域住民に見守られながら生活している。群れからはぐれたとみられ、昨年夏ごろからこの地に居ついたという迷い鳥。住民からは「ハク」と呼ばれ、人懐こい姿が親しまれている。

 ある日の昼下がり。「ハクー、ちょっと待ってなさい」。近所の女性がハクの姿を見つけると、すかさず食パンを手に家の中から飛び出してきた。慣れた手つきでちぎったパンを小さなバケツに投げ込むと、元気に頬張るハクの姿に、女性は目を細めた。「きょうは初めて来た。来てもこっちが気づかずにいると、玄関まで来るのよ」

 住民の話を総合すると、ハクは近くの女那川に生息。恵山地区には毎年数組のハクチョウが飛来して越冬しているが、ハクは1羽でいることが多い。「飛ぶ姿は見るが地面すれすれで、長くても100メートル程度」(ある住民)といい、他の海鳥に混じって波打ち際を行き来する姿も見られる。

 昨年夏ごろからやつれた姿で住宅地に来るようになり、大澗町の男性宅の敷き石がいつしか“定宿”のように。男性(80)は「浜に来て、おなかがすくとやって来る。時折道路に出てくるので危なっかしく、皆で面倒をみるようになった」と振り返る。

 近くで理髪店を営む野呂裕さん(72)もハクの愛くるしい姿に魅せられている一人。「大きな体に目玉がちょこんとあり、パンをやればクーッ、クーッと鳴く。それがまためんこいんだ」。今では毎朝、双眼鏡でハクの姿を確認することが日課だ。

 一部住民は、ハクが生活していける土地に移転させようと行政の保護を願い、今月下旬には渡島総合振興局が現地を視察。しかし、捕獲が難しいことなどから当面は静観する考え。「鳥インフルエンザ感染のリスクがあるので餌やりは控えてほしいが、居付いてしまっており、遠くにも飛べない。住民が善意でやっているなら見守りたい」(環境生活課)と話す。

 日本野鳥の会道南桧山の会員、一戸静夫さん(77)は「会としては鳥獣保護員に任せたい」とした上で「地域の人々が野鳥と交流を持つことは悪いことではない。優しい気持ちで見守ってほしい」と話す。

 今ではすっかり地域の一員となったハク。ハクチョウはこの時期に日本を離れてシベリアへと旅立つが、「このまま居続けるのでは」というのが大方の予想。野呂さんは「いつまでも元気で、私たちのそばにいて」と話し、すくすくと成長することを願っている。(千葉卓陽)



◎谷地頭温泉 「市営」営業に幕

 函館市営谷地頭温泉(谷地頭町)が30日、60年続いた市営としての営業に幕を閉じた。4月1日からは、民間の「ケーケーエム」(昭和2、金沢桃一社長)が運営する。

 同温泉は1953年に開設。施設を改築した98年のピーク時から利用者数が落ち込み、99年から赤字が続いていたため、市は売却先を公募。市内2カ所で温泉施設を展開する同社に売り渡した。

 週に1度は訪れるという市内旭町の会社員、木村健一さん(46)は「引き継いでくれる会社があってよかった。多くの人に来てもらえるよう、魅力ある施設にしてほしい」と期待する。

 31日は引き継ぎのため休館。1日からの営業時間は、閉館時間を30分延ばし、午前6時〜午後10時。料金は20円値下げして大人400円。11枚つづりの回数券を4000円で販売する。

 市が発行した回数券は額面420円の券のみ引き続き利用可能だが、差額の返還はない。市企業局温泉課では1日から回数券の払い戻しを実施する。問い合わせは同課(TEL0138・27・0581)へ。(金子真人)


◎はしご酒 弾む会話 大門で街コン

 JR函館駅前地区で約400人の男女が店をはしごして楽しむ街コン「ハコパ函館巨大飲み会in大門」(実行委主催)が30日に開かれた。

 駅前・大門地区を活性化しようと函館都心商店街振興組合青年部が中心となり、昨年初めて開催した。今年は43店舗の飲食店が参加。テーマを「巨大飲み会」とし、男女の出会いだけではなく友人同士で楽しみたい人にも気軽に参加してもらえるようにした。

 午後6時の開始から参加店には多くの客が集まり、友人同士や初対面の参加者同士が飲み会を楽しんだ。また、はこだてグリーンプラザ特設会場には、男女が会話や酒を一緒に楽しんでもらうスペースを設けたほか、松風町のカクテルスナックアトムでクラブイベント「ジャポニカ楽習帳」を開催し、ハコパを盛り上げた。

 友人と参加した市内元町の男性(26)は「普段は入りにくい初めての店でも、イベントなら気軽に入れる。また来たいと思う楽しい店も見つけられてよかった」と話していた。(金子真人)