2013年3月5日 (火) 掲載

◎ニシン復活へ光明…江差で産卵藻場調査

 【江差】桧山沿岸で資源回復の兆しが見られるニシンについて、江差かもめ島付近で4日、産卵藻場調査が行われた。専門家がニシンの産卵に理想的な海であることを確認し、海藻に付着した受精卵と思われる個体が5つ見つかった。形態からニシンの可能性は低いが、関係者は「産卵活動が行われている証拠。稚魚放流など、ニシンを育てる事業に大きな弾みがつく」としている。

 管内各町と桧山振興局、ひやま漁協などでつくる「ひやま地域ニシン復興対策協議会」(会長・工藤昇上ノ国町長)が主体となって実施。ニシン復活は桧山の悲願であり、同協議会は2011年2月の発足以降、ふ化放流試験や資源調査などを重ねてきた。09年度から桧山振興局が取り組んできた事業を含めると、本年度までに稚魚を約23万匹放流している。

 調査は25人体制で実施。2日の強い低気圧でしけたため、砂浜には大量の海藻が流れ着き、それをメンバーは慎重に手探りで調べた。かもめ島の砂浜では、モク類の海藻に白く半透明の受精卵が見つかった。また、大ぶりの卵もあり、「大きいのはハタハタの卵。ほかの小さな受精卵についてはどの魚種かは不明だが、色合いから産卵間もないものだと思う」(同協議会)という。

 桧山南部地区水産技術普及指導所の宮本正夫所長は「ひと目でニシンと分かる卵は見つからなかったが、普段は海辺に流れ着く海藻に魚卵があることを理解した地元の漁協関係者が『またやりましょう』と熱意を持ってくれたのが大きな成果であり、次につながる」としている。今回見つかった受精卵は道総研中央水試(後志管内余市町)で詳しく調べる。

 同協議会は今後、近海でニシンのまとまった水揚げが確認され次第、同様の調査を展開し、ニシンの受精卵を発見したい考え。桧山沿岸では今年、江差と上ノ国で13匹から多い日では200匹の水揚げがあり、サイズは平均30センチ前後、重さ250〜300グラムと立派な魚体だ。(田中陽介)



◎ひな祭り 空港華やか

 函館空港で3日、ひな祭りにちなんだイベントが開かれた。箏と尺八の演奏や抹茶と茶菓子が振る舞われ、会場は優雅な雰囲気に包まれた。

 イベントは、空港利用者や市民に季節感を味わってもらおうと、函館空港ビルデングが企画。演奏会には函館在住の箏奏者、宮崎加奈古さんと函館空港事務所の金子守夫空港長が尺八奏者として出演した。

 2人は独奏と合奏で「島のように」「変奏曲『さくら』」「春の海」などの曲を披露。1曲ごとに観客は大きな拍手を送っていた。函館で演奏会に参加するのは初めてという金子空港長は「空港の活性化に役立てた」と笑顔を見せていた。

 また、茶席も設けられ、表千家同門会函館支部青年部の会員が抹茶をたてて、来場者をもてなした。会場の国内線旅客ターミナルにはひな飾りが置かれたほか、3月31日の日本航空函館—伊丹線開設を記念し、大阪国際空港ターミナルから送られた南京桃も飾られた。(松宮一郎)



◎おしょろ丸 新船建造へ

 北大は、水産学部附属練習船「おしょろ丸」の代船を建造する。現船の老朽化や船室の狭さなどから新造船を計画し、国から約67億円が措置された。今月21日の起工式、11月の命名進水式を経て、来年3月末までに竣工(しゅんこう)予定。新船により海洋教育・研究の一層の充実を図る考えだ。

 北大函館キャンパス事務部によると、練習船は初代忍路(おしょろ)丸が1909年、おしょろ丸U世が27年、同V世が62年、現Y世が83年に建造された。今回が5船目となる。

 新しい船は、三井造船玉野事業所(岡山県玉野市)で建造。総トン数が1600トンで、全長が約78メートル、幅が約13メートル、定員は99人(うち学生60人)。現船並みの規模という。

 新造船には、現船にはない航行時の揺れを低減する「フィンスタビライザー」を船底に設置。「初めての学生でも船酔いせず、研究意欲を持続しやすい」と同事務部。このほか、最新式の海底地形探査装置も導入。船室は研究室・学生実習室を拡大する。電気で推進力を得る仕組みで、従来船のディーゼルエンジンに比べて燃費が良く船内の静寂性を確保できる。

 また、女子学生の増加に対応して専用トイレや浴室なども新設する。

 北大は2011年10月から、東日本大震災の影響で実習船を失った岩手県立宮古水産高(宮古市)に、おしょろ丸を活用してもらっており、国から震災対応が評価されて予算化が実現した。

 新船は来年4月から使用を始め、同6月にオープンする「国際水産・海洋総合研究センター」(弁天町)の岸壁に係留予定。

 同事務部の三浦征則事務長補佐は「学生の安全を確保し、高度で多様な教育・研究を実践できる環境が整う」と話している。(山崎大和)


◎平和テーマに8人熱く…日本ペンクラブが集い

 第29回「平和の日」函館の集い(日本ペンクラブ、実行委主催)が3日、函館市民会館で開かれた。同クラブ会長で作家の浅田次郎さんら著名な作家や俳人ら8人が、平和をテーマに激論を交わした。

 同集いは、言論表現の自由を守る目的で、1935年に創立した同クラブが、1984年から3月3日を「平和の日」と定め、毎年各地で行っている、対談形式のイベント。今回は市制施行90周年を記念し、道内の初開催地として函館が選ばれた。

 出演者は浅田会長のほか、タレントで元国会議員の中村敦夫さん、七飯町在住の作家新井満さん、俳人として活躍する黛まどかさんなど華やかな顔ぶれで、テーマに沿って2人ずつが登壇するバトルトーク形式で進められた。

 このうち浅田さんと中村さんは原子力発電問題をテーマに取り上げた。2人は昨年4月に、1986年に発生した旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故の影響を知るために、現地を視察。中村さんは「26年たった今も、30キロ圏内は立ち入り禁止状態で、いまだに内部被ばくにより甲状腺がんを発症する人が後を絶たない」と強調。浅田さんは「原発は一度事故を起こすと取り返しがつかないことを痛感した。函館の対岸で大間原発が建設され続けていることは絶対に間違っている」と訴えた。(小川俊之)


◎一般会計0.4%減91億…七飯町予算案

 【七飯】七飯町は4日、2013年度の各会計予算案を発表した。一般会計は前年度当初比0・4%減の91億円。5特別会計と水道事業会計を合わせた総額は、168億566万円となった。国の緊急経済対策を受け、町営団地の改修や児童公園の施設更新など計1億2996万円は本年度の補正予算として前倒し計上した。ともに6日開会の町議会定例会に提案する。

 歳入は地方交付税が同3・2%減の29億8000万円、町税は同0・1%増の24億9327万円を見込む。歳出では保育所の民間委託費や医療扶助費の増加に伴い、民生費は同5・5%増の29億6007万円。公債費は同1・1%減の10億3238万円となった。

 主な新規事業では、福祉施策推進の一環として「地域貢献ポイント制度」委託事業に245万円を計上。詳細は現段階で未定だが、ボランティア活動に対してポイントを付与し、町内で使用可能な商品券と交換できる制度で、「今秋をめどにスタートさせたい」(福祉課)という。

 また、老朽化が進む施設の改築事業にも着手する。大中山小は基本設計に1770万円、学校給食センターは土地利用構想図作成に60万円を計上。継続事業の七飯消防庁舎改築事業では実施設計や用地測量などで3108万円を負担する。

 中宮安一町長は「東日本大震災の教訓を踏まえ、町民の安全・安心のため、消防庁舎や大中山小、給食センターの3つの改築事業をしっかりと進めなければならない」と述べた。

 このほかの新規事業では新エネルギーの利用促進を図るため、一般住宅用太陽光発電システムの設置補助金として560万円を計上。1キロワットあたり7万円(上限4キロワット)を補助する制度で、20件分を盛り込んだ。(森裕次郎)