2013年3月6日 (水) 掲載

◎道内初の生活保護不正受給専任職員…函館市新年度

 函館市は新年度から、道内の自治体で初めて生活保護の不正受給に対応する専任職員を配置する。市民からの通報を一元的に管理し、調査を徹底することで不正受給を防ぐことが狙い。警察官OBとケースワーカーの2人を配置する。

 現行ではケースワーカーが個々に不正受給に対応しているが、日常業務の傍らとして行っている上、市民からの通報内容が職員間で共有されていない事例もあった。

 このため新年度からは通報を専任職員が一元的に集約。通報内容を精査した上で、より徹底して事実確認する。悪質なケースは刑事告発も検討する。

 市生活支援第1課は「ケースワーカーは日常の業務で手いっぱいで、調査が十分にできない面もあった。悪質なケースには厳正に対応する」と話す。

 不正受給に関する通報は昨年度、市に約170件寄せられた。不正受給が発覚したケースは106件あり、過去10年間は100〜200件で推移している。不正に得た受給額は昨年度約5100万円で、保護費全体の0・25lに上っている。(後藤 真)



◎糖尿病患者も楽しく食事を…ビーズ・ビー12日から低カロリーコース料理

 函館市柏木町のカフェ&レストラン「ビーズ・ビー」は12日から、糖尿病患者向けのコース料理を提供する。低カロリーながら満足感が得られるメニュー内容で、同店の平山憲シェフは「食事制限を気にすることなく、思い切り料理を楽しんでもらいたい」と話している。

 このメニューは、国立病院機構函館病院(函館市河原町18)の糖尿病患者による勉強会「クロッカス」のために考案されたもので、同病院の木幡恵子室長が監修した。

 コースは「大豆のパテ」など3種の前菜に、「海藻のサラダ ノンオイル」「野菜たっぷりミネストローネ」。2種から選べるメーン料理は「タラのポワレ ブロッコリーソース」と「若鶏のマスタードソース煮」にライスかパンが付く。さらに「イチゴの寒天ゼリー フルーツ添え」にコーヒーまたは紅茶が選べるフルコースながら、総カロリーは通常の洋食コースの半分以下の約600キロカロリーに抑えている。

 糖尿病患者は料理全体のカロリーが制限されるとともに、食物繊維やタンパク質などをバランスよく摂取することが必要とされる。平山シェフは「食物繊維の多い野菜をたっぷり使用し満腹感を出すとともに、脂を極力減らし人口甘味料を使うなどしてカロリーを抑えた。食事制限によってメニューが限られている人にも、おいしく味わってもらえるように工夫した」という自信作に仕上がった。

 1人前2200円。事前に予約が必要。予約・問い合わせは同店(電話0138・51・7881)へ。(小川俊之)



◎ロシアの神学校一行 来函

 ロシアのモスクワ州中部・ジェルジンスキー市にあるニコロ=ウグレシスキー修道院の神学校から神父、学生など7人が4日から7日まで函館市を訪れている。5日には函館ハリストス正教会(元町3、ニコライ・ドミートリエフ司祭)を訪れ、祈祷(きとう)などを行った。

 来函したのはイオアン学長(35)のほか2人の神父、学生1人など。同正教会によると、ロシアの神学校関係者が函館に来るのは珍しく、日本で初めてロシア正教を函館に伝えた聖ニコライの足跡、功績を検証するという。同正教会では祈祷し、聖ニコライに関する資料や当時の写真などを見学した。

 イオアン学長は「日本の文化を壊すことなく布教し、正教会を植え付けたニコライの活動は興味深く、宣教師の資質として必要なことを学べる。現在の神学生が学べる仲間を見つけることも大切」と話した。函館について「ハリストス正教会を街の顔の一つとして大切にしてくれるのはうれしい」と語った。

 このほかでは「日本の障害者を優先するシステムが素晴らしい」「函館は礼儀正しく、食べ物はおいしい」などと印象を話した。

 同神学校は15年前に創立で、昨年9月に来函したロシア正教会の最高指導者、キリル総主教の直属。学生は17〜35歳で5年制。現在は約50人が在籍し、これまで約100人の卒業生を輩出。うち90%が神父となっている。一行は函館出発後、関西、東京を訪れる。(山崎純一)


◎椴法華・元村地区の道有林に津波避難路設置へ…渡島総合振興局

 渡島総合振興局が新年度、函館市椴法華の元村地区で、道有林を活用した津波避難路の設置を計画している。住民と協議した結果、必要箇所を元村町32の1の民家裏に決定。歩道や階段、案内板などを整備し、津波発生時に一時避難する。東日本大震災後、道有林を津波対策に生かす道内初のケースだ。

 同地区は、道の津波浸水予測で最大水位予測値が10・0メートル。市津波避難計画では「避難困難地域」に指定される。海に面し、背後には急な山が迫ることから、まず住民が逃げられる場所が必要だ。

 同振興局東部森林室によると、昨年10月に住民10人も参加して検討会を開き、2案を一時避難適地として提案。高齢者が多い現状に配慮して、比較的傾斜が緩い民家裏を選定した。

 選定地は、標高約20メートルにある既存の治山施設の背面部のトドマツ林70平方メートル。道道椴法華港線(同約12メートル)入り口から約30メートル山側に入ったところで、大人の足で歩いて3分ほどという。同地区住民の一部約30人を収容できる。

 避難路は、治山事業(国費)と合わせて整備する。同室の木戸口和裕次長は「避難困難地域の解消のために道有林を使って、より速く、より高く逃げられるようにしたい」と話す。

 同室は民家のすぐ裏手に道有林がある点に着目、逆転の発想で避難路使用を提案。本年度から「道有林モデル津波避難林・避難路検討事業」として検討を進めてきた。

 同様の要望がある南茅部の木直地区でも、2014年度の設置に向けて検討していく。(山崎大和)