2013年3月9日 (土) 掲載

◎旧図書館 書庫に活用 新年度から

 函館市教委は新年度から、閉館している旧市立函館図書館(青柳町)を書庫として活用する。市中央図書館の本の保管容量が満杯に近づいているためで、主に永年保存の必要がある郷土資料を収納。併せて市公民館(同町)についても、バリアフリー化と耐震補強工事に向けた実施設計を新年度に着手する予定だ。

 両施設の活用・整備方法については、2011年に市教委が構想案として市議会に提示していた。

 1928年開館の旧図書館は本館、書庫棟の一部を書庫とする。市中央図書館の所蔵資料数は年々増えており、同館によると「あと10年ぐらいで満杯になる」という。

 保管環境を整えるために、老朽化で水がしみ込むことのある本館地下1階に防水加工を施す。外壁も塗装が剥がれていたり、壁がひび割れしているため補修。整備費として3400万円を計上した。整備は夏ごろに行い、年内までに終了させる予定だ。

 必要性の上がっていた耐震補強は約5億円を要する上、歴史的建造物としての外観を損なう恐れがあったため見送っている。

 同館は「外壁はペンキで塗り直し、内部も除湿や換気をして保存環境を良くしたい」としている。

 市公民館は2014年度にバリアフリー化と耐震補強工事に着手。耐震補強は鉄筋コンクリート造りの本館棟の壁に施す。バリアフリー化については利用者や有識者らでつくる市民懇話会の要望を基に、多目的トイレやスロープの設置を想定している。

 新年度は実施設計費として1470万円を計上。改修工事を含めた総事業費は約3億円を見込んでいる。

 市教委生涯学習部文化課は「公民館はサークル活動や高齢者大学の場として年間延べ約3万人が利用している。生きがい活動に欠かせない建物なので、長く使えるよう整備したい」と話している。(後藤 真)



◎風、波など天候まとめた小冊子発行

 円滑な情報共有を図り海難事故防止に取り組む津軽海峡海難防止研究会が、航行環境などの情報を盛り込んだ小冊子「津軽海峡の海と安全−天気・ことわざと海難防止」(A5判、13ページ)を発行し、函館海上保安部で無料配布している。

 同会は昨年6月に発足し、同海保、函館海洋気象台、運輸安全委員会事務局函館事務所、函館地方海難審判所で構成。半年ごとの会議で情報を交換し、同海峡について理解を深めている。

 冊子には、同海峡での風や波、潮などの天候の特徴のほか、地域別で通航の注意点をまとめている。また、「春のクダリはしけとなる」(春先に南風が吹くと大しけになる)などの天気に関することわざも。

 同海保の小林貢次長は「海に出る人だけでなく、多くの人に役立つので、ぜひ一冊持っていてほしい」と話している。

 同冊子は200部作成。問い合わせは同海保交通課(TEL0138・42・1118)へ。(柏渕祐二)



◎「開業 地域が試される」 はこぜみ

 3年後に迫った北海道新幹線開業に向けたまちづくりや観光の先行事例を学ぶ「新幹線開業はこだて魅力創造ゼミナール(はこゼミ)」が8日、函館市内のホテルで開かれた。JR東日本グループびゅうトラベルサービスの高橋敦司社長が開業に向けた心構えなどを伝えた。

 旅行商品や観光開発に取り組む高橋社長は「少子高齢化社会では鉄道の利用者の増加は見込めず、シニアマーケットと外国人観光客を取り込むしかない」と強調。シニア戦略について「新たな旅の価値と本物の感動を提供することが重要」とした。

 また、「新幹線で移動時間は短くなり、距離感も近くなる。滞在時間が増えるということであり、その分の時間の使い方を提案できるかどうかがポイント。『早い』『近い』以外のことをPRしなければならない」と指摘。

 最後に「開業の前と後でどれだけ変化したかを見せることができるか、常に新しさや魅力を提供できるか、地域が試されている」と力を込めた。

 昨年7月に開講したはこゼミの講義はこの日が最後で、22日に行われる修了式で本科生が函館の新しい名物や地域の魅力について考えたアイデアを発表する。(松宮一郎)


◎函病 津波浸水で機能不全も

 函館市議会第1回定例会は8日、個人質問を続行し6氏が登壇。市津波避難計画で避難対象地域内にある市立函館病院(港町1)について、吉川修身病院局長は電気設備を設置している地下1階が浸水した場合、機能不全となる可能性について言及した。吉川局長は「浸水時には、被害のない近隣病院に入院患者を搬送し、医師、スタッフを分散配置する。被災者治療を含め、災害医療の提供に全力を尽くす」と述べた。

 見付宗弥氏(民主・市民ネット)の質問に答えた。 建物自体は震度6強の地震に耐えられる免震構造だが、道が昨年示した津波浸水予測図によると、最大級の津波被害で1メートル未満の浸水区域内に本棟西側、精神病棟の一部が入るという。

 地下1階には、受電設備や非常用発電設備などの主要電気設備が設置されているが、移設は配線の変更が難しいことから「事実上不可能」とし、吉川局長は「地下に浸水すると電気供給が止まり、病院機能を維持できないことが想定される。浸水被害を防ぐ施設改修が可能か調査を進める」と述べた。

 見付氏は「災害時の医療は市立函病が中心。函病を含めた4病院が浸水域にあり、医師会や道などと協議して万全を期していただきたい」と要望した。

 この日は、緊急経済対策事業費など、歳入、歳出に9億1154万円を追加し、総額1274億9556万円とする本年度の一般会計補正予算案と、緊急雇用対策費5340万円を追加し、総額を1297億4840万円とする新年度一般会計補正予算案を追加提案した。(今井正一)