2013年4月11日 (木) 掲載

◎佐藤泰志作品 再び映画化

 函館市本町の映画館シネマアイリス(菅原和博代表)は、函館市出身の作家、佐藤泰志(1949〜90年)の小説「そこのみにて光輝く」の映画化を企画し、6月下旬から函館市内で撮影を開始する。公開は来年夏の予定。

 2010年に函館の有志が企画し、上映された佐藤氏原作の映画「海炭市叙景」に続く市民映画。「海炭市叙景」は、キネマ旬報年間ベスト10に選出されたほか「シネマニラ国際映画祭」でグランプリを受賞するなど高い評価を得た。

 今回映画化する「そこのみにて光輝く」は、夏の函館を舞台に、太陽の照りつける海で、互いにひかれ合う男女の波乱に満ちた物語を描いた作品。監督は「オカンの嫁入り」で新藤兼人賞を受賞した呉美保(おみぽ)さんが務める。キャストは未定だが、海炭市叙景同様、メーンキャストを含む多くの登場人物を市民オーディションで選ぶ予定だという。

 菅原代表は「佐藤泰志さんの小説は函館の財産。市民の皆さまに協力していただき、函館の街から全国へと発信できる映画を作っていきたい」と意気込んでいる。(金子真人)



◎「ウィンドウズXP」1年後サポート終了、各事業所 対応急ぐ

 パソコンのOS(基本ソフト)「ウィンドウズXP」に関し、日本マイクロソフト(MS)は来年4月9日で、セキュリティー対策などのサポートを終了する。函館市内では現在もXPを使用している事業所も多く、対策を取るところも出始めている。

 MS社は「ウィンドウズビスタ」「7」「8」と次々と新しいOSを発売しているが、XPは古いパソコンでも素早く動作し使いやすい点などから、OSが代替わりしても使い続けている人や企業が少なくない。サポート終了後もXPは使用できるが、新たに見つかった欠陥などを修正するプログラムは提供が終わり、ウイルス感染などへの危険性は高まる。

 函館市は、庁内LANにつながっている約1900台の事務用端末について、「正確な数は不明だが、半数近くはまだXP」(情報システム課)。事務用端末は各部局単位で購入したりリース契約しているため、同課は「セキュリティーの問題として順次更新するよう呼び掛けていく」とする。住民記録や税などを管理するホストコンピューターに接続している端末約330台に関しても、順次切り替えていく方針。

 民間企業は機器のリース期限に合わせて、他のOSに移行させるケースが多いようだ。函館商工会議所は、現在あるパソコン25台はXPを搭載したものだが、「ちょうどこの春にリース期限を迎えるので、タイミング良く更新できる」という。

 一方で対応に苦慮する企業も。函館どつく(弁天町)は、機器自体がリースではなく購入したもので、事務から設計まで1人に1台パソコンを与えており、300台のパソコンがXPのまま。同社では「社内のIT業務改善推進室で対応を検討しているところ。年内に変えなければならない」としている。

 中古パソコンの販売、修理のPCaGOGO(ピーシー・ア・ゴーゴー、市内富岡町3)は陳列している中古商品でもXPがまだまだ“健在”。水野大二代表(46)は「XPでなければ動かないソフトが多く、引き続き使いたいというニーズが多い」と分析。買い替え用ソフトの中には40〜50万円の高額な品があることも理由の一つに挙げる。

 水野さんは「たまに調べ物をする程度なら十分と言う人もいるが、XPでは不可能なことが少しずつ増えてくることが予想される」とした上で、リスク回避の面から取り替えを勧める。事業所に対しては「来年4月になったらネット接続を外し、経理などの専用とすることでリスクは防げる」と話している。(千葉卓陽、松宮一郎)



◎市電「1006号車」が第二の人生の地へ

 函館酪農公社(柴田満雄社長)に売却が決まった函館市電「1006号車」の車体が10日、市交通部の駒場車庫から同公社のある市内中野町に搬出された。約4時間の作業で、車体は牛の放牧地付近に設置したコンクリート製の台座に置かれ、静かな地での第二の人生≠スタートさせた。

 午前8時から作業が行われ、2台のクレーン車で慎重につり上げた車体から台車を取り外し、大型トレーラーで移送した。台車は今後、乗務員の教育などに用いる予定という。

 同車庫では、職員が感慨深げに作業を見守った。1000形の運転経験のある石村義明事業課長は「ほかの車両より車幅が狭く、函館駅前や五稜郭電停など渋滞する場所は走りやすい車両だった」と話していた。

 また、1006号車は1988年から99年まで「函館牛乳」の広告入りカラー電車として使用されたことがあり、同公社にとって縁のある存在。柴田社長(63)は「カラーリングは今のままで、きれいに塗り直しをする。たくさんの人に見てもらえれば」と到着を喜んでいた。

 同車両は55年に東京都電として製造され、70〜2010年に市内で運用。長く市民に親しまれた車両の有効活用を図ろうと、市企業局が市内に保管することなどを条件に3月に一般競争入札を実施し、同公社が10万円で落札した。(今井正一)


◎鳥インフル感染拡大、函館空港に注意喚起ポスター

 中国で感染が拡大している鳥インフルエンザ(H7N9型)の予防に向け、小樽検疫所函館空港出張所は函館空港国際線の出国・入国エリアに注意喚起のポスターを掲示した。

 ポスターには渡航時の注意事項として▽不用意に動物に近寄らない▽積極的な手洗い—などを明記。またWHO(世界保健機関)が発表する現地の死者数や患者数といった最新情報を伝えている。今月3日から掲示している。

 函館空港国際線で現在、定期便があるのは台湾のみ(韓国は運休中)で、中国は就航していない。このため函館を訪れる外国人観光客は台湾人が毎年最も多く、2011年の外国人宿泊数のうち台湾人は73%を占めているが、中国人客も5%ほどいる。

 同出張所の平野弘章所長は「入国時に体調の悪い人はしっかり検査をする。めったにないケースだが、警戒を強めたい」と気を引き締める。その上で「中国に渡航した際の一番の予防策は動物に近寄らないこと」と説明する。

 一方、市立函館保健所でも現地の動向を注視。同所保健予防課は「情報収集に努めて、必要があれば関係機関と対策を練っていきたい」としている。(後藤 真)