2013年4月16日 (火) 掲載

◎市電にも春到来 ハイカラ號発進 今季運行開始

 函館市企業局交通部は15日、復元チンチン電車「箱館ハイカラ號(ごう)」の今季運行を開始した。赤と白のかわいらしい車体を揺らしながら、観光客らを楽しませている。

 明治末から昭和初期にかけての客車の姿に復元したハイカラ號は、1993年に営業運行を開始。レトロな制服に身を包んだ運転士と車掌のツーマン体制で、例年4〜10月に運行している。

 初便は予定通り午前8時59分に駒場車庫前を出発。独特の走行音を響かせながら、市内を走行した。沿道では市民や観光客らがカメラを向け、ハイカラ號の勇姿を楽しみ、車内では車掌の深江麻衣さん(28)が乗客から「頑張ってね」と声を掛けられ、笑顔を見せていた。

 初便に乗車した市内松川町の中里俊之さん(39)は「車内もコンパクトで乗っていてゆったりとでき、優しい気持ちになれる。運行が始まると、冬が終わって春が来たなと感じます」と話していた。

 火、水曜日、悪天候時などは運休。問い合わせは同交通部(TEL0138・52・1273)へ。(今井正一)



◎鮨処ひろ季のおかみ、緋田さん日本酒学講師に

 鮨処ひろ季(函館市本町26、緋田広樹代表)のおかみ、緋田和美さんがこのほど、日本酒学講師の資格を取得した。2009年に取得した「●酒師(ききさけし)」の上位資格で、日本酒や焼酎の魅力を消費者に伝えるプロの認定。緋田さんは「合格は私の勉強を支えてくれた家族やスタッフのおかげ。日本酒の魅力を広められる人材になれれば」と話し、7月中旬にもセミナーを開く予定だ。

 資格試験は、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合が主催。1泊2日間の講習合宿に加え、日本酒や焼酎のテイスティング、専門用語、解説方法などの筆記問題、活動目標をテーマとした小論文などが課された。

 仕事で生かせる知識を身に付けようと、●酒師のほか、昨年「酒匠(さかしょう)」の資格も取った緋田さんは、今回さらに上を目指そうと受験を決意。仕事の空き時間や、家族の就寝後、睡眠時間を削って勉強に励んだ。緋田さんは「私がしっかり試験準備できるよう、家族が時間を確保してくれるなど協力してくれた」と振り返る。

 日本酒学講師は、一般の消費者を対象にセミナーを開催できるといい、「日本酒ナビゲーター」「焼酎ナビゲーター」の認定もできる。緋田さんが7月開催予定のセミナーでは、日本酒の歴史や製法などを伝える。

 緋田さんは「日本酒は季節を問わず楽しめる魅力があり、世界でも注目を集めている。国内外にその素晴らしさを発信できるようになれば」と意気込んでいる。(虎谷綾子) ●=口へんに利



◎新たな防災拠点に 函館市北消防署末広出張所落成式

 函館市北消防署末広出張所の落成式が15日、同所で開かれた。市や町会などから約70人が出席し、地域の新たな防災拠点の完成を祝った。

 消防組織再編計画の一環で、青柳と弥生の2出張所が統合され、末広出張所となった。鉄筋コンクリート造2階建ての庁舎は、延べ面積が約815平方b、停電時に72時間稼働できる自家用発電設備を設置し、高さ約10bの屋上には、400人以上を収容できる避難スペースを確保している。

 落成式で、中林重雄副市長は「出張所は市民が安心、安全に暮らせる町づくりの拠点。地域と一体になって消防体制の充実に努めたい」とあいさつ。同出張所に配置されている職員や庁舎内の設備が紹介された後、出席者は職員の案内で庁舎内を見学していた。

 小林尚彦所長は「観光の中心地でもある重要な場所。地域に根差した防災に取り組み、安全を提供したい」と話していた。(柏渕祐二)


◎函館旅行を贈り物に 市が開発「9月発売目指す」

 函館市は本年度、観光振興の新たな取り組みとして、函館への航空券やホテル、各種体験がセットになった、新しいタイプの旅行ギフトの開発に乗り出した。定年を迎えた高齢者や、若者の進学、就職祝いなど“節目”に適した贈答用商品として売り込みを図っていく考え。市内の民間企業に事業を委託し、9月中の発売開始を目指す。

 旅行商品は代理店を通じて航空券やホテルを手配したり、自らインターネットを調べて航空券などを入手し、旅行先でフリーで活動することが一般的なパターンとなっている。

 近年では旅行先を選べるカタログギフトが増え、「感動」を感じてもらうための商品づくりが盛ん。これらの流行にヒントを得て「ありそうでなかったギフト」(市観光コンベンション部)を作ろうと、行き先を函館に絞って移動手段やホテル、食事、観光体験をすべて盛り込んだギフトを企画。国の緊急雇用対策事業への提案が認められ、本年度予算で1200万円を計上した。

 国はシステム構築業者を創業10年以内の企業に限定しているため、市は対象業者をプロポーザル(提案型)方式で公募。イベント企画や制作を手掛けるガイアクリエーション(宇賀浦町、大井清二社長)に委託先が決まった。

 ガイア社はギフトのプラン作成を進め、9月中をめどに自社のネット上で全国展開する考え。移動手段やホテル付きのギフトは提携する旅行会社が作り、同社は代理店として販売する。

 一例として、さばいたイカをその場で食べる体験ができるプランや、障害者向けには福祉タクシーやバリアフリー型宿泊施設をセットにしたプランが考えられる。市や同社は定年退職や喜寿、金婚、就職祝いなど、人生の節目を迎えた人に最適なプレゼントとして売り込んでいく考え。

 大井社長は「地域限定型の旅行ギフトは全国的にも少ない。関東、東北と札幌をターゲットに、通常の観光に魅力や感動をプラスした商品を作りたい」と意気込んでいる。(千葉卓陽)