2013年4月20日 (土) 掲載

◎豪華客船「フォーレンダム」寄港

 ホーランド・アメリカ・ライン社の豪華客船「フォーレンダム」(オランダ、6万1214トン)が19日、函館港に寄港した。2009年以来3回目の入港で、今年道内に寄港するクルーズ船の第1号。市内で10時間の滞在を終えた後、市民有志のいか踊りに見送られながら、釧路港に向けて出港した。

 アラスカをめぐるクルーズの最中で、神戸、横浜を経て函館に寄港した。乗客はシャトルバスで市内観光に出発し、港町ふ頭では、市民が大きな船体を前に写真を撮影するなど、楽しむ姿が見られた。

 同日午後4時から船内で行われた歓迎セレモニーで樋口道雄函館運輸支局長が「函館周辺にはユニークな見どころがある。次回寄港時には足を伸ばして」とあいさつ。フレッド・エバーセン船長に市港湾空港部の平井等部長から地ビール、ミスはこだての堂下明日香さんから花束が贈られた。

 フレッド船長は「乗客から、函館山からの景色を楽しんできたと良い反応を聞いている」と話していた。

 出港時には、遺愛女子高校の生徒約80人をはじめ、市民有志の「見送り隊」がいか踊りで航海の安全を願った。3年生の三浦菜さん(17)は「外国の方と触れ合う機会は少なく、うれしい。船の上から手を振ってくれたり、喜んでくれて良かった」と話していた。(今井正一)



◎女性4人を一日消防官に

 春の全道火災予防運動(20〜30日)に合わせ、函館市消防本部は19日、市内の社会福祉施設で働く女性4人を一日消防官に任命し、防火意識の高揚を図ろうとさまざまな体験を行った。

 一日消防官に任命されたのは、坂田志帆さん(20)、金澤千彰さん(20)、佐藤ひと美さん(29)、中村恵美さん(43)。同本部の大坂晴義消防長は「火災による65歳以上の死傷者が増えているので、今日の体験を生かし、地域の防災リーダーとして活躍できるよう頑張って」と述べ、4人に委嘱状を手渡した。

 4人は同市西旭岡町の養護老人ホーム「まろにえ」で、建物火災を想定した消防訓練を見学。その後は、同本部の通信指令センター内で火災や救急時の出動体制などについて職員から説明を受け、119番通報の応対も体験した。

 佐藤さんは「消防士の実際の動きや声掛け、誘導などを見てとてもためになった。この経験を職場で生かしたい」と話していた。(柏渕祐二)



◎西部地区バル街にぎわう

 函館市内の西部地区をスペインの伝統的な飲食文化バル街に見立てはしご酒を楽しむ「第19回函館西部地区バル街」(実行委主催)が19日に開かれた。市内を中心に全国各地から大勢の来場者が訪れ、街はにぎわいをみせた。

 参加店が特別に用意したピンチョス(つまみ)と酒を楽しんでもらうイベント。毎年春と秋の2回開かれており、19回目となる今回は市内西部地区の飲食店を中心に市内近郊や青森などから68店が出店した。

 生ハムやワインなどが振る舞われたアクロス十字街前には、市民や観光客が長蛇の列をつくった。そのほか、着物で来場した人に酒を振る舞う「きものdeバル」や世界の雑貨や食べ物を販売する「世界ガチャガチャ夜市&春バル函館みんたる市」など多彩な協賛イベントも開かれ、会場を盛り上げた。

 友人と3人で訪れた市内湯川町の主婦、屋敷知代さん(52)は「3年ほど前から欠かさず参加している。普段はあまり来ることがない西部地区のお店に入るのが楽しみ」と話した。

 参加店41店がピンチョスの提供を続ける「あとバル」は25日まで行われる。(金子真人)


◎函館市の特養200増床へ

 函館市の特別養護老人ホーム(特養)の総定員が来年3月から計200人増える。市の「第5期介護保険事業計画」(2012〜14年度)に基づく施設整備で、入所待機者の減少を目指す。市の公募で選ばれた3法人が、広域型特養(定員30人以上)の新設や増設をする。

 市は増床に当たり、昨年5〜7月に施設の整備・運営事業者を公募。入所者の居住地を限定しない広域型特養は最終的に8事業者から計542増床の応募があった。9月に選定会議を開き、敬聖会(100床分)、心侑会(60床分)、禎人会(40床分)の3社会福祉法人に決まった。

 敬聖会は桔梗1に「桔梗みのりの里」(仮称)を新築し、延べ床面積約5000平方bの4階建てとする。心侑会は亀田港町456に同約2900平方bで3階建ての「あい亀田港」(同)を新築。禎人会は既設の「シンフォニー」(中野町74)を増築して40床増やす。いずれも来年3月までに整備する。

 増床は、入所待機者の増加が背景にある。市が2011年にした調査によると待機者は2263人で、08年の介護保険3施設を対象とした調査から238人増えている。

 これに対し、市内の広域型特養は現在13施設993床。床数が待機者数を下回っている現状を緩和しようと、市は整備補助金として約7億円を計上した。増床分は在宅介護や入院中の要介護度4・5の待機者を優先的に入所させる予定。

 市は「待機者の存在は深刻な問題。増床で待機者の減少に少しでもつながれば」としている。

 一方、3施設87床分の整備を予定している地域密着型特養(定員29人以下)は昨年応募がなかったため、26日まで事業者を再公募中。これまで3法人から応募の意向が寄せられており、選定された場合は補正予算を組み来年3月までに整備する予定。(後藤 真)


◎道南4JAの合併白紙に

 JA新はこだて(畠山良一組合長)は19日、道南3JA(函館市亀田、今金町、きたひやま)との合併協議が破綻していたことを明らかにした。函館市亀田、今金町の両JAが合併不参加を表明したため。

 同日、北斗市総合文化センターで開いた通常総代会で、畠山組合長が報告した。同JAは3JAが足並みをそろえて合併することを求めており、今回の破綻で道南1JAの実現は当分の間なくなった。

 畠山組合長は「2年ほど協議をしてきたが、協議の結果、2JAが合併に参加しないことになったため、昨年、いったん白紙となった」と述べた。ただ、「今後は希望の申し出があれば、再度協議が行われることになる」とも述べ、柔軟に協議のテーブルにつく方針を示した。

 函館市亀田は都市型JAで、今金町は全国ブランドとして知られる「今金男爵」を持ち、それぞれ健全経営が可能と判断したとみられる。きたひやまは財政状況などの理由から、合併に前向きだという。

 また、畠山組合長は、現在控訴審で係争中のカーネーション共選料問題について「判決の内容については予断を許さない状況である」と報告した。(山崎大和)